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晴れときどき・・・

旧街道あるき、古戦場巡り、城攻め、図書館通いの4本立ての日々を綴ります。。

The Best of Heroine in 源氏物語 7

2013-01-29 07:39:22 | 源氏物語
第二十二帖の「玉鬘」から「真木柱」までの十帖を
「玉鬘十帖」と呼ぶ事があります。
これは源氏物語五十四帖のなかで、本筋のお話から外れた、
いわばスピンアウト物語なのですね。

 この十帖だけで一つの物語にもなっています。
高貴な生まれでありながら、流転の半生を送った美人のお姫様が、
都の実力者に見出され、ちょっと麗しの王子様とはタイプが違うけど、
ちゃんと伴侶を見つけて幸せになるという物語です。

 おそらく、「玉鬘十帖」は書かれた当時、
とても人気があったと思います。
ハッピーエンドだし、判りやすい。
この後、源氏物語の本流は女三宮降家に始まり、紫の上死去という
不幸に向かってまっしぐらですから、その前の一休みの十帖です。

 「玉鬘」の母親「夕顔」は源氏が連れ出した廃院で物の怪によって亡くなりますが、
なよやかで、奔放で、まさにオンナを全面に出した存在。
そのせいか、まったく母親らしさゼロ。
子育てしている気配すらない。
身分を隠したオトコと逢引して、そのまま死んじゃうんですから、
娘の側からしたら、許せませんよね。

 おかげで彼女の前半生はずっと不遇でした。
源氏の元へ引き取られてからは、
類稀なる美貌の為、都中の男性に求婚され、大騒ぎになります。
でも彼女は至って冷静です。
殆ど怪しいエロ親父と化した源氏の求婚も必死でかわします。
 
 そして半ば強引ではありますが、不器用だけれど、
真っ直ぐで、地に足の着いた男性と堅実な家庭を作ります。
幼い頃の苦労を肥やしにして、玉鬘は美しさだけでなく
大変に聡明な女人に成長しました。
そして母親とは正反対の人生を歩むのです。

 源氏物語では、この玉鬘だけでなく、
秋好中宮や、明石の女御等、恋愛に泣いた母親を反面教師として
第二世代の姫君は幸せで堅実な人生を送ります。

The Best of Heroine in 源氏物語 6

2013-01-27 08:15:05 | 源氏物語
「更級日記」の中で菅原孝標女が、源氏物語に夢中になる話は有名ですね。
13歳の少女は「大きくなったら「浮舟の女君」のようになるんだぁ」って
憧れます。 これ、古文の時間にやりましたよね。

 でも、ちょっと待ってください。
あれほど沢山いる源氏の女君の中で、何故「浮舟」なんでしょう?

 「浮舟」は、宇治に隠棲している故桐壺帝の八の宮の三人娘の末っ子です。
と言っても認知さえして貰っていない子です。
特に美人でも、頭が良い訳でもなく、無口で控えめな子です。
でも、当代一の貴公子二人に激しく言い寄られます。

 皆さんの周りにもこうゆうタイプの女性っていませんか?
私は一度だけ遭遇したことがあります。

 以前勤務していた会社に半年だけいた派遣社員の女の子ですが、
本当に地味で、無口な子でした。
仕事振りも必要最低限をギリギリクリアしている程度で、
遅刻やら、欠勤が非常に多い子なのです。
それなのに、下は新入社員から上は管理職まで、
残らず男性社員を虜にする魔力を持っていました。

 その仕草の全てが色っぽいのです!歩き方も話し方も、全てが・・・。
すさまじくフェロモン全開なのです。

 当然同じ年頃の女子社員は怒り心頭でしたが、
私は内心「こいつには敵わない」と思っていました。 

 そして、「浮舟」ってこんな感じだったんだぁと
明確に思い当たりました。

 宇治十帖ってこれまで長い長い物語を書き込んできた紫式部が、
より小説家らしく書いた作品だと思います。

 そして特に「浮舟」と「匂宮」の逢引シーンなど、
ぞくぞくくるエロティシズムに溢れています。
学校では絶対現代語訳は教えてくれません。

 だって、心は「薫の大将」が好きだけど
身体は「匂宮」が好きなの~って状態ですよ・・・。

 そんなエロい「浮舟」に何故に憧れるんだ、13歳が!




The Best of Heroine in 源氏物語 5

2013-01-26 08:12:00 | 源氏物語
友情は羽根の生えない恋である

 これは別に源氏物語とは全く関係なく、
中学の時、同級生が卒業記念にまわしたサイン帳に書いてきた言葉です。
でも、「槿(あさがお)の斎院」は一生自分の恋心に、
羽根が生えて飛んで行かない様に
漬物石を乗せていたイメージがあります。

 「槿の斎院」と呼ばれる人は源氏とは従兄弟同士で同年です。
幼馴染といっても一緒に遊んだりとかはしてないと思いますが、
それでも、若い頃から、折に触れ手紙のやり取りは絶えなく続いています。

 大変聡明なひとで、源氏と趣味が合ったのでしょう。
ばっちりツボにはまった返答をしてくるので源氏はいつも大満足です。

 桐壺帝の弟の子供ですから、源氏が葵上亡き後、
正妻として迎えるにあたり家柄は文句なしです。
世間の人はみんな次の正妻は「槿の斎院」だと噂します。
この「噂」が紫の上を苦しめるのですが、当の本人も悩みます。

 この人、頭いいだけに、先を見越しすぎて、
恋愛に没頭できないんですね。
源氏と結婚しても、彼には他に沢山通っている女性がいるし、
六条の御息所みたいになっても嫌だし・・・。とかぐずぐず考える。

「アナタなんかに恋の深淵はわからないわ、おっほっほっほ」
御息所の高笑いが聞こえてきそうです。

 確かに恋とは落ちるものでしょうけど、
最後まで源氏と逢うこともなく、数多いる源氏の女君の一人に加わらず
孤高を貫くのも彼女なりの恋愛のカタチだったのでしょう。
 
 皇女に生まれて、長らく斎院として俗世から離れていた姫君には、
まったく免疫がないのです。唯々美しい従兄弟のアタックが恐ろしく、
それでも持てる限りの教養を以って必死に対抗します。
いじらしいし、可愛くもあるのですが、
「誰か背中を押してやれよー」とも思います。




The Best of Heroine in 源氏物語 4

2013-01-25 07:40:58 | 源氏物語
 俗に言う、「不良少女」なんですね、この人。
いいところのお嬢ちゃんで時々そんな人いますね。
パパは右大臣で年の離れたお姉ちゃんは皇后です。もう怖いものナシ。
そんな環境で、彼女は思います。
 「親の決めた結婚なんて、真っ平御免だわ。
 私は自由に恋愛を楽しむのよ。だってこんなに美人なんだもーん」

 春の夜、彼女をナンパしたのは、
ある意味、彼女以上に不良で自由を満喫しているオトコでした・・・。

 親に内緒で逢引を重ねるのは、スリル満点です。
しかも、相手は超イケメン。
雷の夜に親に現場を押さえられても、
彼は動じることなく「しれ~」っとしてます。

 所謂「キズ物」となった彼女は、ほぼ決まっていた玉の輿婚も潰れます。
じゃぁってんで、パパが怒りを抑えて申し込んだ彼との結婚も、
彼は「しれ~」っと断ります。
「今のままの関係でいいじゃ~ん」って完全に自己都合・・・。

 でもそんな無敵の彼も彼女との密通事件がもとで
一時的に失脚してしまいます。因果応報です・・・。

 事情を知っても尚、彼女の事が好きだった「玉の輿」の相手は、
実は彼のお兄ちゃんなのだけれど、
正式な妻には出来ないけど、秘書としてそばに置いて愛しみます。
スリルもときめきもないけど、そこで初めて彼女は誰かに愛されると言う事が
どうゆうことだったのかを知ります。

 それなのに、あぁそれなのに、
彼に誘われるとつい言いなりになってしまう、駄目駄目な彼女です。
若い頃の、傲慢で、世間知らずで、
でもとても輝いていた日々が彼といると蘇ってきます。
今や飛ぶ鳥落とす勢いの彼も気持ちは同じですが、心のどこかで
相変わらず、ふらふらしている彼女を軽んじています。

 どろどろの愛憎関係の中で、しかし彼女の引き際は見事です。
彼との不埒な関係にある日突然、自らの出家と言う形で終止符を打ちます。
不良は不良なりに、きっちり落とし前を付けました。

 華やかな宮廷劇として源氏物語を見たとき、
彼女「朧月夜」の存在は欠かせません。
読んでいても、本当に綺麗な人だったんだろうなぁと思います。




The Best of Heroine in 源氏物語 3

2013-01-20 07:51:02 | 源氏物語
「うるわし」とか「をかし」とか「あはれ」とか
紫式部は登場する女君を様々に形容していますが、
「うつくし」という言葉を使ったのは「葵上」だけです。

 左大臣の長女で「頭の中将」の妹だった、
「葵上」は大変に美しい女人でした。
「女御」として入内していずれは「中宮」にそして「皇后」に
なる事を約束された女性でした。
そのように育てられた女性でした。

 それを父大臣は臣籍降下した帝の庶子「光源氏」に
娘を嫁がせます。

 深窓の姫君は世情など知る由もなく、
何故に東宮妃ではなく、父よりも位階の下のものに
嫁がねばならぬのか、理解できませんでした。

 しかも、相手は年下ながら物凄いイケメンなんです。しかも優しい。
葵上は混乱し、この少年とどう接していけばよいのか見当もつきません。
不幸な事に、彼女の周りには気の利いた女房もおりませんでした。

 この最初の結婚が不幸だった事、
それが源氏に影を落とします。
もし、この二人が最初から打ち解けて、
幼いなりに少しずつ愛を育んでいたら、
「藤壺の女御」への初恋は淡いまま、
いつか思い出に変っていったでしょうし、
「六条の御息所」は女王様のままで君臨できたでしょう。

 「葵上」は子供を授かったことで、
また出産の苦しみの中で、初めて自分が着けていた
重い仮面を外す事ができました。
遅まきながら漸く源氏とも人並みな夫婦になろうとした矢先、
命を落としてしまいます。
 
 今も昔も出産とは命がけの作業です。
あの恥も外聞もかなぐり捨てる瞬間、
女は必ず変わります。