Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

ベルナールすなわち カミーユ・デムーラン

2015-01-27 00:02:14 | つぶやき

 今週の週めくりカレンダーは、黒い騎士と彼を追うオスカル。ナイフを口にくわえ、こちらを見ているようで、でも私と視線が合っていないところが何とも不思議な感じ。

 黒い騎士ことベルナール・シャトレには、モデルがいる。名前はカミーユ・デムーラン。革命派のジャーナリストで編集者、およびダントン派の政治家。1789年7月、「武器を取れ、市民諸君!」の名演説をしたことで知られている。彼を描いた2枚の肖像画がある。

 実際のカミーユは劇画のように、貴族の館に押し入り、宝飾類を盗むようなことはしていない。若い頃は弁護士を開業していたが流行らず、ジャーナリストに転職。1794年、「恐怖政治を終焉させよう」とのキャンペーンを実施。このことで彼はギロチン行きになる。最期はマリー・アントワネットが収監されたコンシェルジュリで過ごす。

 このカミーユの名前を「ベルナール」に改め、オスカルにフランスの一般大衆の姿に目を向けさせ、その後の彼女の生き方に大いに影響を与える人物に脚色した池田先生の手腕はお見事!

 アンドレは黒い騎士との対決で左目を失明してしまうが、そのことでベルナールを恨んだり責めたりしない。そこがアンドレの凄いところだといつも思う。本当ならさぞ憎いだろうに---。「武官はどんな時も 感情で行動するものではない」の名セリフが彼の口から出た時は、それまでどちらかというと三枚目的なキャラだったアンドレが、いつの間にこんな立派なことを言えるようになったのかと感動した。

 オスカルの人生の分岐点に立っていた人物---それがベルナールだろうか?

 読んでくださり、ありがとうございます。



コメントを投稿