1710年、現ドイツのドレスデンに「王立ザクセン磁器工場」が設立され、本格的にマイセン焼が生産されるようになった。
マイセンといえば陶器でありながら、堅さを感じさせない優美さと柔らかな色合いが特色で、日本にも多くの愛好者がいる。食器などの実用的な陶磁器に加え、18世紀の人々の日常生活を表現した置き物にもなかなか傑作が多い。
↓ 1775年の作。恋人に文をしたためる男性。ずいぶん前かがみの姿勢で書いている。足元に落ちている緑色の物体は何?
↓ "Mademoiselle ! Vôtre beauté adorable me fait à un devoir"...フランス語の自動翻訳を試したら、「マドモアゼル!あなたの愛らしい美しさ、私は義務」と出た。恋人の美を讃えているのだろう。羽根ペン・インク壺・時計など彼の持ち物を眺めるのも楽しい。
↓ 制作年代不明。 海軍の少年。(ちょっとオスカルを彷彿とさせます。)
↓ タイトルは “The Lucky Parents (幸運な両親)” で、 Michel Victor Acier が1772年~75年頃に制作。ジャルジェ将軍夫妻、またはルイ16世とアントワネットのように見える。二人の後ろには、赤ん坊の兄が立っている。
↓ タイトルは “The Loving Mother (愛する母)" で、制作者は上と同じ Michel Victor Acier。制作年代は1774年。母親の足元には、少年が落としたトランプが散らばっている。子ども服が洒落ている。
↓ タイトルは「マスク 顔 Das Gesicht」で、1765年ごろ、カール・クリストフ・プンツによって作られた。男性の持ち物は望遠鏡?女性は左手に仮面、右手には何を持っているのだろう?この二人はどういう関係?女性は夫のある身だったりして。この写真からいろいろと妄想が広がる。
マイセンの陶器から、ロココ時代に生きた人たちの生活風景が垣間見えて興味深い。絵画と同じくらい、上流階級の人たちはこれらを好み、自宅に飾っていた人もいただろう。ジャルジェ邸にも1つか2つ、素敵なマイセン焼があったような気がする。
読んでくださり、本当にありがとうございます。
私がマイセンを知ったのは『エロイカより愛をこめて』です(笑) 本当に物知らずで(ーー;) 陶器のひとつひとつにドラマがありますね。当時、流行の服装だったりするのかな~とか、いろいろ考えられて楽しいです。
今日もありがとうございました!
>私がマイセンを知ったのは『エロイカより愛をこめて』です(笑)
青池保子先生ですね。懐かしいお名前です。私はこの作品を読んでいないのです。
>当時、流行の服装だったりするのかな~とか、いろいろ考えられて楽しいです。
そうなんですよね。たかが陶器と言ってしまえばそれまでですが、当時の上流階級の人々のありふれた日常を表現しているとしたら、宮廷画家の描く絵と同じくらい、あるいはそれ以上、興味深く感じられます。これからももっと探してみたいです。