Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

18世紀 貴婦人の時計

2016-10-12 22:16:53 | つぶやき

 10月20日に発表される池田先生のベルばら新作エピソード8は、マリー・アントワネット編。天才時計師ブレゲに関する内容であることが明らかにされている。

 ブレゲの時計は今見てもとてもモダンでスタイリッシュ。18世紀、貴婦人たちはどんな懐中時計を持っていたのだろう?時間を知りたくなった時、そっとドレスのポケットから取り出し、美しく装飾された蓋を開け確かめていたのだろうか?

 貴婦人たちが(懐中)時計を携帯する時の大事な小道具が、chatelaine と呼ばれる帯飾りもしくは留め金。ウエスト部分から豪華に装飾された鎖もしくは紐を垂らし、その先端に時計を付ける。「私、こんなスゴイ時計を持っているのよ!」と誇示するため、隠さずに人目につくところに提げていた。

↓  当時の貴婦人がウエストからchatelaineを垂らし、時計を3つも着けている絵が残っている。

↓  マリー・アントワネットの肖像画にも、chatelaine が描かれている。プチ・トリアノンの外、愛の殿堂が遠くに見える場所で、子どもの手を取りポーズを取る王妃。

↓  ウエスト部分に注目。これがchatelaine 。ゴールドとシルバー…左右で色が違うのは計算済み?ただしチェーンのみで時計はなし。ここにどんな時計を付けていただろう?

↓  1740年ごろ、イギリス製。正面。

 

↓  ひっくり返すと

↓  1800年代のもの。時計とchatelaineが、トータルコーディネートされている。

↓  年代不明。

↓  1750年代。時計の持ち主の肖像画だろうか?

 

↓  18世紀、フランス製。

↓   1760年~70年。ロンドンで作られたもの。時計のほかにチャームも付いている。

↓  1760年代、ウィーン製。

↓  18世紀、フランス製。

↓  1760年代。

↓  1800年代、スイス製。時計のほかに、鍵もぶら下がっている。

↓  1800年代。

↓  下の二つは年代も場所も不明。

↓  1725年~50年、イギリス製。

↓  1750年代、フランス製。

↓  18世紀ドイツ製。クリスタルでできた香水瓶を下げている。

 18世紀は貴婦人が、時計や気つけ薬入れなどを提げるために用いたchatelaineも19世紀になると、一般女性がはさみや指抜き、鍵など実用的な物をぶら下げるようになった。ふと現代の美容師さんがウエストベルトに、いろんなはさみやくしなどの仕事道具を入れている姿を思い出してしまった。

 18世紀、時計は単に時間を知るための小道具ではなく、自分がどれだけ贅を尽くした高価なものを持っているかを誇示するための手段でもあった。人が持っている物が羨ましくて、夫や愛人に「ねぇ、○○夫人ったら、瑪瑙やルビー、真珠がいっぱい使われた時計を持っていたの。わたくしも欲しいわ。いいでしょ?買ってちょうだい!」とねだった女性もいたはず。男性たちは「ああぁ…やれやれ。」と思いながら愛を繋ぎとめておくため、やむをえず買ってあげたかも?

 軍人オスカルにも時計は必需品。彼女はどこに忍ばせていただろう?まさか持っていなかったとは思えない。いちいち人に時間を尋ねるのは不便だろうし。ウエストベルトにシンプルなチェーンで取り付けていたかな?オスカルの懐中時計、どんなデザインだったろう?

 読んでくださり、どうもありがとうございます。



4 コメント

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いつもありがとうございます。 (bonbon)
2016-10-12 22:42:03
ほぼ毎日、数々の写真とともに記事を楽しんでいます。ベルばらつながりで当時をしのぶ品々から、また、新たに想像が膨らみ、奥が深いですね。今後ご活躍を期待しています。
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bonbonさま (りら)
2016-10-12 22:58:23
 コメントをありがとうございます。

 いつも好き勝手に書いているので、読む方たちはどう感じていらっしゃるのだろうと心配しておりました。bonbonさまのコメントを読み、とても嬉しかったです。ありがとうございます。
 
 時計は時間さえ分かればいいのでしょうが、それではあまりに味気ないです。さらに装飾を加え、顧客に喜んでもらおうとする当時の職人の心意気を感じます。

 こんなブログですが、楽しんでいただけたら幸いです。どうかこれからもよろしくお願いいたします。
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時計 (伽羅)
2016-10-12 23:42:46
こんばんわ
麗しい時計の数々・・・目の保養ですね

時計といえば・・・ハイドンの交響曲101
2楽章の伴奏部分が振り子のように規則正しく聴こえるところからついたニックネーム・・・・・・ハイドンの曲もニックネームがついたのが多々あります

たしか押入れの奥にほうりこんだ振り子時計のようなのがあったはず
探し出そうかな・・・・置物にはなりそうやから
女性が差し出した手の上で 時計が揺れる・・・時間を見ようと思うと疲れそうな置時計です

祖母の懐中時計はまだ入院中です
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伽羅さま (りら)
2016-10-13 23:16:36
 コメントをありがとうございます。

>時計といえば・・・ハイドンの交響曲101
2楽章の伴奏部分が振り子のように規則正しく聴こえるところからついたニックネーム

 あっ、この曲、私でもわかりました。確かに規則正しくリズムを刻んでいますね。てっきりハイドンが、時計をイメージして作曲したのだと思っていましたが、逆なのですね。曲が振り子のように聞こえるから、ニックネームを「時計」とした。なるほど。目から鱗です。

 18~19世紀の時計は、デザインまでも手を抜かず工芸品のようなものがたくさんあります。だから見ていて飽きません。職人さんを大切にしなければいけないと痛感します。

>祖母の懐中時計はまだ入院中です

 しっかりドック入りしているのですね。退院する日が楽しみです。
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