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4週連続掲載の第3話。起承転結でいうと「転」。扉絵には「フランス王太子妃の日課。それはマダム(=内親王達)との社交」。とある。
↓ 第3話の扉絵。まだティーンエイジャーのアントワネットが嫁いだ先には、手強い小姑が3人いた。いずれもルイ15世の娘たちで身分が高すぎたせいか、彼女たちに見合う(政略)結婚相手が見つからず独身のまま、ヴェルサイユ宮殿で暮らしていた。3人揃って父親の愛妾デュ・バリー夫人が大嫌い。そこで何かとアントワネットに、デュ・バリー夫人の悪口を吹き込んでは自分達の仲間に入れようと画策する。
↓ 3人の小姑の1人、マリー・アデライド。
↓ 2人目はヴィクトワール。
↓ 3人目はソフィー。
10代半ばの少女がこの3人に呼ばれたら、逃げ場はなく相手の言うことをそのまま受け入れざるを得ない。知らず知らずのうちに叔母たちの言うことを鵜呑みにするアントワネット。そんな彼女を「自分自身の目で確かめたわけではないのだから…」と諭すルイ16世。母であるマリア・テレジアからは「叔母たちの言うことをよく聞き、宮廷のあり方をよく学びなさい。」と教えられ、夫と母の間で揺れるアントワネット。
10代の頃って同年代の仲間とお喋りしたり遊んだりするのが一番楽しいはず。けれどアントワネットの周囲には「わ~、きゃ~」言いながら恋バナに興じたり、ふざけあえる10代の相手はゼロ。おじさまやおばさまたちからエチケットや宮廷儀礼を遵守することばかり強要される生活に、嫌気がさしていく。「あ…なんだか つまんない」このあたりの過程がとても丁寧に描かれていて、自然にアントワネットに感情移入できる。 ルイ16世も宮廷は異常でおかしな世界であることは十分承知している。けれど彼はこの状態を変革できない。とうとう二人はある夜…。
この作品は次回が最終回。う~ん、もったいないなぁ。4~5年計画あるいはそれ以上要してもいいので、じっくり長期連載していただけたら嬉しい。惣領先生はもともと他の作品(「チェーザレ 破壊の創造者」)連載の合間を縫って、「マリー・アントワネット」をお描きになっているから、これ以上無理なお願いはできないだろうけれど、純粋な少女がどう変容していくのか、フェルゼンとの出会い、母性愛の目覚め、そして最終的にギロチン台に至るまでの道のりを惣領先生&ヴェルサイユ宮殿監修で読んでみたい。講談社さま、ぜひご検討していただけないでしょうか?
読んでくださり、どうもありがとうございます。
今回の作品はアントワネットとルイ16世の若い日々に焦点を当てて描かれています。「ひょっとして最終回もこの調子でストーリーが展開し、フェルゼンは登場しないのでは?」と思っています。いえ、敢えて登場させないのかもしれません。(それが狙いなのかも?)Unknownさまのお考えも「なるほど、そうだなあ。」と思います。
と同時に、惣領先生とヴェルサイユ宮殿のコラボでアントワネットを描くとき、フェルゼンをどのように解釈するのだろうという疑問も生じます。
ツヴァイクが著したアントワネットは、史料をもとにツヴァイク自身の想像力も加えて書いた伝記小説ですから、イコール100%本物のアントワネット像ではないわけで…。何が真実かは誰にもわかりません。だから皆さん、いろんな解釈をする。(それがまた面白いのです。)
漫画「ベルばら」同様、今回の惣領先生の作品も、読む人それぞれ違った感想を持って当然。いろんな人のお考えを知るのがまた楽しいです。「あぁ、そうかぁ。」と新たな気づきがあります。フェルゼン抜きでアントワネットの人となりに迫る…この切り口も新鮮です。過去に映画・伝記小説・漫画等で何度も描かれてきたアントワネット。私たちがまだ知らないどんな顔を見せてくれるのか、最終回が楽しみでもあり寂しくもあります。まとまらず、すみません。