マイペースおくやまの進化的考察

進化の研究は楽しい!というわけで、日常の研究生活で考えたこと、感動したこと、あるいは思いつきのネタの備忘録です。

平行進化の分子遺伝学的解析

2006-05-06 00:03:29 | 論文紹介
GWということで久しぶりに論文を読むゆとりができました。本当はチャルメルソウ達にもGWをとって欲しいのですが、、、。彼らの花期は容赦なく過ぎてゆきます。そんなわけで矢原先生がブログに取り上げられて気になっていたNatureの論文を読んでみました。

B. Prud'homme et al. (2006) Repeated morphological evolution through cis-regulatory changes in a pleiotropic gene. Nature 440: 1050-1053.

紹介記事を書こうと思ったら、すでに他にありました。興味の有る方はそちらからどうぞ。Drosophila elegansは和名をカザリショウジョウバエと呼ぶようです。

本研究のミソは、形質をつかさどる遺伝子の、コード領域ではなくイントロンや5'側非転写領域といった部分に起きた変異が平行進化を引き起こしているとい う事を示したという事でしょうか。いずれにせよ分子生物学に疎い私には、非コード領域が機能的に重要だという事自体がちょっと意外です。著者の意見による と、このyellowの様に多面発現的な遺伝子では、タンパク質そのものではなく一部の発現のみに影響するような調節因子に変異が生じる方が、全体の適応度に与える影響が小さいのではないか、ということです。なるほど。

平行進化は生物の多様性を考える上で非常に大切な現象であり、私の最も関心のあるテーマのひとつです。植物においては、特定の送粉者に関連した花形質はしばしば独立に起源し、「送粉シンドローム」と呼ばれ ていますが、いったいどうして複雑な形質が繰り返し進化しうるのか、非常に不思議です。個人的にはレアアリルや交雑が重要な役割を果たしていると睨んでいるのですが、、、。今のところこの送粉シンドロームの起源を分子遺伝学的に解明した仕事 は無いようですが、近いうちにMimulus project teamがやってくれそうな気がします。できるなら私もチャルメルソウで調べてみたいものです。

本日のコーヒー・メモ

キューバ・クリスタルマウンテン
ストレートで飲むとクセの無い味だが、少し物足りない。
ミルクを加えるとナッツのような香りがあり、良く合う。
コメント (1)
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