海と空

天は高く、海は深し

春の訪れ

2008年03月28日 | 日記・紀行

春の訪れ

今年も春が訪ねてくる。里山は華やぎを増してくる山にひとり静かに咲く梅は小町の肌のようにほのかな紅の中にしっとりと白い。

西行法師のように歌を詠めればいいのだけれど、不肖不才の我が身を嘆いても仕方がない。歌の修行を積んでせめて師のその影でも踏みたい切ない気持ちはあるけれども。

我が師、西行法師の御歌四首を今日の記憶とともに。

     題しらず

756  さらぬだに   世のはかなさを    思ふ身に
                ぬえ鳴きわたる   あけぼのの空

そうでなくても、この世のはかなさを思い沁みている私に、
ぬえこどりのか細い鳴き声が、追い討ちをかけるように、夜明けの空に聴こえてくる。

法師の心の痛みが伝わってくる。

759   世の中を    夢と見る見る    はかなくも 
          なほ驚かぬ    わが心かな

この世を夢のようにはかないものと知りながら、愚かなことに、
いまだ覚めることもなく
悟ることさえできない我が心よ。

760   亡き人も    あるを思ふも    世の中は  
          ねぶりのうちの    夢とこそ見れ

すでにこの世になく時間の彼方に消え去ったあの人も、かってはこの世に私と同じように生きていたことを思うと、すべてが深い眠りのなかの夢のように見える。

薄い紅を染めたようなほの白い梅の花を見て。

1248     色に出でて   いつよりものは    思ふぞと 
            問ふ人あらば    いかが答へむ

いつから思い初めてお前の恋心は顔色に出るの、と訊ねる人がいるなら、梅の花よ、あなたはどう答えるのでしょうね。

 

(短歌の試み)

        薄い紅を染めたほの白い梅の花の                                      野山に咲いているのを見て。

         薄紅の唐衣着なれし小梅   小町が面影宿しつ  野に佇みし

気にかかっていたジャガイモの仮り植えを今日ようやく終えた。桃の木とイチジクは木の芽の膨らみから根付き始めたのは何とか確認できた。木の堅い柿はまだわからない。

 


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