海と空

天は高く、海は深し

もし私が聖書を編纂するなら

2005年09月20日 | 宗教一般

 

洗礼を受けていなくとも、また特定の教会に所属していなくても、聖書に価値を認めて愛読している人は少なくないと思います。教会の特定の解釈や教義に縛られることなく自由に研究したいと思う者は、特に、その傾向が強いのではないでしょうか。


それにしても、現行の新旧約聖書は、あまりに大部で、忙しい現代の多くの日本人には質量ともに重過ぎると思います。テキストの形式としてふさわしいとも思えません。新約聖書だけなら、かなり、ボリュームが減るので、取り付きやすくなります。また、ユダヤ人でもない私たち日本人にはそれで十分なのかも知れません。しかし、それでは貴重な旧約聖書の遺産が失われますし、多くのクリスチャンの信仰がユダヤ人のそれよりも劣ることになりかねません。それで、もし私が現代の日本人向きに聖書を編纂しなおすとすれば、どれを選べきか考えてみました。


選択の根拠を詳しく説明するのもわずらわしいので省略しますが、まず、『詩篇』は欠かせないと思います。詩篇は聖書の中の聖書と言えるもので、日常のその朗読と判読は、聖書の宗教の基礎を形作るもので、不可欠だと思うからです。


そして、聖書を多くの現代のクリスチャンのように単なる信仰の書とすることなく、自分の頭で考え直す本とするために、旧約の「知恵の書」に属するテキストも欠かせなと思います。それで『箴言』や『伝道の書』も欲しい。さらに、聖書を芸術の香気豊かなものにしている、『雅歌』も不可欠です。また、旧約聖書の出発点である『創世記』はやはり必要かも知れません。


旧約の中から、最小限選ぶとすれば、これらのテキストを取り上げたいと思います。もちろん哲学書ならぬ宗教の書として、これらのテキストの選択について絶対的な必然性は証明できないのですが。


新約聖書の中からは何を選ぶべきでしょうか。共観福音書の中からはユダヤ教の色彩の薄い『ルカ福音書』と、それからギリシャ哲学の影響の濃い『ヨハネ福音書』を選びたいと思います。


それからキリスト教の教義の基礎を確立したパウロの『ローマ人への手紙』です。新約聖書からは、この三つのテキストで、現代人に必要な信仰と倫理道徳の基礎は十分に養成できると思います。そして、最後に聖書の教えを歴史的に、締めくくるために不可欠な書としてのヨハネの『黙示録』です。
このように聖書を簡易に改めて編纂すれば、現代日本人の多くにとっても「聖書」が『座右の書』となるのではないでしょうか。

ですから、私が私のために現行の聖書を編纂しなおすとすれば、さしあたっては

①創世記
②箴言
③詩篇
④伝道の書
⑤雅歌
⑥ルカ伝
⑦ヨハネ伝
⑧ロマ書
⑨黙示録


のテキストを選ぶことになると思います。そして、これらのテキストのそれぞれに平易な現代英語の対照訳をつけて、日本語と英語で聖書を読めるようにします。そうすれば、日常の聖書の判読が、同時に、英語の習熟と読解のトレーニングにもなります。


個人的にはこのような新編聖書があればと思っているのですが、どこかの奇特な出版社があって、編纂して出版していただければうれしいのですが。それは日本国がキリスト教国となるのにいささか貢献することにもなり、その意義は決して小さくはないと思うのです。もちろん、聖書を本格的に勉強したい者は、オーソドックスな従来の新旧約聖書を利用すればよいのです。


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