仕事の結び目

コンサルタント&ファシリテーターの朝尾直太が仕事に関係するテーマについて記すコラム。

「MBA式 面接プレゼン術」

2005年09月16日 | Weblog

翻訳した本が出ました。一人で訳したものとしては2冊目です。1冊目のIBMを世界的企業にしたワトソンJr.の言葉に続いて、なぜかまた黒い表紙です。

米国のビジネススクールで面接指導をしていた人による著書で、「就職」面接においていかに自分をプレゼンテーションするかという本です。米国のものなので、日本人の感覚では「アピールしすぎ」と感じる部分もありますが、実用書と言えます。

本を読む前、個人的には「自分を売り込む」のと「誠実な答え方をする」のを、どのように両立させるのかに関心がありましたが、とくに倫理的な問題を感じる個所はありませんでした。

例えば、失敗について質問されたとき、あまり最近の失敗の話を避ける、というアドバイスがあります。

・・・また、最近の失敗談よりも、かなり以前のものを選んだほうが有利なことが多いです。つまるところ、質問をすばやく方向転換して、失敗を通して学んだ教訓を、いかにその後の成功に結びつけたかをきっちり話すことが目標です。
 あまり最近の失敗は、そのあとでうまくいった話をするのが難しくなるので避けておきましょう。そうした失敗は、失敗をしてから成果を上げるだけの時間が経っていないに過ぎません。(pp.93-94)

 このように、ぎりぎりの裁量範囲で自分に有利な答え方をするように勧めていますが、基本的には誠実な答え方を求めています。「採用されなかったらどうするか」という質問に対しては、次のようにアドバイスされています。

・・・もしストレートに尋ねられたら、正直にどこの面接予定があり、最近どこの面接を受けたかを答えましょう。
 誠実さはビジネスの世界で非常に重要ですから、どこの面接を受けているかを正直に話さないなど、誠実さに疑問をもたれるようなことはやめておいたほうがよいでしょう。 (p.131)

就職面接を受ける人のための本ですが、採用側の人(経験豊富な人は除く)にとっても参考になると思います。また、間接的に米国のビジネス・プロフェッショナルに求められる人材像がよくわかりますので、そういう観点でパラパラと拾い読みするのも悪くはありません。

 「MBA式 面接プレゼン術」 英治出版 1,600+税 A5判ソフトカバー