そして歌は誕生した なごり雪
今週の末 2023年1月21日ごろ 雪が降るようだ
雪といえば
名曲「なごり雪」に、故郷の駅の風景がよみがえる。
作詞 作曲した伊勢正三は大分県の名門進学校舞鶴高校の出身だ
「神田川」で有名になった南こうせつの後輩である。
彼は今は寂れてしまった日豊線津久見駅から歩いて20分のところに
住んでいた。
「君が去ったホームにのこり、
消えてはとける雪をみていた
今 春が来て 君はきれいになった
去年より ずーときれいになった」
というホームは この津久見駅のホームである。
寝台列車 いまでいうブルートレイン「富士」で東京とながっていた。
ブルートレインの窓は開けることができた。
雪のなかに佇み、見送ってくれた姉が原風景
自分もこの「富士」で高校卒業を待たずに受験で東京にゆくために乗った。
1月下旬だ。
自分には誰も見送りに来た人はいなかった。
ホームから乗る人は私のほかに 見当たらなかった。
家から駅は遠く、バスも1日2本しかなかった時代だ。
家から出てバス停まで30分、チラつく雪の中 姉が見送ってくれた。
自分の姿が見えなくなるまで、最後は黒い塊にしか見えなくなるまで、
雪の中に ジーと佇んでくれていた。
この風景が、私にとって原風景となった。
折に触れ この風景を思い出しては 頑張らなくちゃーと鼓舞してきた。
今 その見送ってくれた姉は90歳を超え 故郷の村のグループホームに入っている。
年2回 春と秋に必ず帰省して、姉に会っている。
「なごり雪」の唄を聞くたびに 雪のなかに佇む姉のことが思い出すのだ。
高校の卒業式には帰れなかった。
入学金と授業料を払ったら 金が残らなかったからだ。
父が代わりに行ってくれた。
地元の新聞に「大学合格者」に私の名前があり、
卒業式で校長に喜びの挨拶をうけた、と後に語ってくれた。