コロナが暴走するよりも前の2016年
「文春砲」
という言葉が日本中で広まり、認知された。
その名の通り、「週刊文春」が、様々なスクープを次々に出したことで
「文春砲炸裂!!」とか
「文春砲にやられた!」とか
そんな表現がなされていた。
当時、一番大騒ぎされていたのは、「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音とベッキーによる不倫だったのかな。
「センテンススプリング!!!」と描かれたLINE画像は何度も何度もテレビ画面に映されていた。
当時を覚えている人なら分かると思うけれど
「週刊文春」に記事を書かれたら、もう人生は終わる・・・
かのように多くの人が認識していた。
そして、文春の記者に狙われないことを多くの芸能人たちが考えていたと言う。
2023年末から24年初めにかけて大騒ぎされた、ダウンタウンの松本さんの性加害疑惑
あるくくまもんも当時、あの糾弾の空気を、気持ち悪がっていたけれど
その後の報道で、もし仮に、この疑惑が間違いであることが裁判で結審したとしても
「文春の雑誌売り上げによる儲け」>>>>>「文春が松本さんに支払う賠償額」
になることが広く伝わっている。
日本において、「マスゴミによる間違った報道」は結局、「書いたもん勝ち、正しいかどうかよりも買う人が増えるかどうか」
という、ゆがんだ構造になっているのだ。
その極みともいえるのが
今から23年前
2001年3月に週刊文春によって放たれた
「聖嶽洞窟遺跡捏造疑惑」だろう。
聖嶽(ひじりだき)洞窟遺跡は、大分県にある鍾乳洞であり、1961年に発見された。
翌年の1962年に、別府大学の賀川光夫先生を中心に調査が行われ、石器時代の人骨や石器をはじめとして、様々な時代の「もの」が埋まっているということで、大騒ぎになり、教科書にも載るほどであった。
しかし、40年が経った1999年の、2回目の調査で、発見された「もの」は、後の時代に、人工的に埋められた可能性が高いことが分かり、2001年の3月にその報告書が発表された。
ここまでだったら、よくある話だろう。
「すごい古いものが見つかった!」と思っていたら
「実は、後に誰かが埋めた可能性が高いから、そこまで歴史的に価値はない」ことが判明した。
日本の歴史上、そういったことは多く存在している。
ただ
当時、この報告書に目を付けた週刊文春は
「1962年の調査の時に、賀川光夫が埋めた」に違いない。
と勝手に決めつけて、記事を書き続けた。
会見を開き、どれだけ賀川先生が説明をしても、それは無視をして
「賀川光夫が捏造をした」と書き続けた。
3回目の捏造疑惑報道が書かれた週刊文春が発売された3月8日
その翌日、賀川先生は週刊文春に対する抗議の意思を示すためとして、78歳で首つり自殺をした。
その後の裁判の結果
名誉棄損に当たるとして、週刊文春は遺族への賠償金を払うことになった。
実は賀川先生は、そもそも1962年の調査当時に
「なんか怪しい。今後、もっと詳細な調査をする必要がある」
といった趣旨の指摘をしていたらしい。
「俺が見つけたぞ!発見したぞ!」
みたいな態度はとっていなかったらしい。
そして、賀川先生が死んだ後のさらなる調査で
「賀川先生が捏造した可能性はとっても低い」
という結果が示されている。
賀川先生の名誉はどうにか回復した。
【自ら命を絶つことを通して、どうにか】
それが今の日本の現状なのだろう。
週刊誌やテレビで報道されると、あたかもそれが真実であるかのような思い込みを多くの日本人はしてしまっている。
松本さんの件もそうだけど、日本人の多くは
「正しいか、間違っているか」ということを、自分で判断する力がとても弱くなっているように感じる。
「あの人が言っているんだから正しい」とか
「本に書かれているから真実だ」とか
そういう思い込みをしたがる傾向にある。
賀川先生のような被害者が、二度と現れないように
週刊誌やテレビと、1人1人が上手に付き合ってほしいと思う。