教会史における「新しい歌」 ー賛美と礼拝の歴史神学的考察ー

「新しい歌」がどのように生み出され、受け継がれ、また新たな歌を必要とする状況を生み出したかを歴史的に検証します。

結論 新しい歌を主に向かって歌う今日的課題とは何か

2005-06-27 19:28:29 | 講義
1. それぞれの時代に新しい歌が生まれた歴史的必然性があった。

①教会が制度化、組織化、固定化、伝統化されていく中で、つまり、キリストのいのちが希薄になっていた状況の中で生まれた新しい歌。例: ダビデの歌、ドイツ・コラール、ジュネーブ詩篇歌、創作賛美歌、リバイバル・ソング、Praise & Worship song等。

②苦しみの中で生まれた歌もある。例: バビロンの捕囚中の詩篇、黒人霊歌、黒人ゴスペル,ハシディズムの歌。

③主のみわざによる喜びから生まれた歌。例: 捕囚後の詩篇、ルカの預言的賛歌、
Messianic Jewishの賛美、等。

④歴史的使命感から生まれた歌もある。例: テゼの和解を目指す祈りの歌

2. いのち(本質)と器(いのちの表現スタイル)との関係

①スタイルは時代と共に変わる。しかし変わらないものはいのち、すなわち、Jesusである。いのちは器を必要とする。ダビデの幕屋礼拝がソロモンの神殿を必要としたように。

②賛美のスタイルはその時代の人々の信仰のスタイルと大きく関係するため、しばしばスタイルの相違が世代間の断絶をもたらした。

③「新しいぶどう酒は新しい皮袋に」というイエスが教えたように、新しい真理の啓示、いのちの回復には新しい皮袋が必要であるということが歴史をみるとわかる。

④ひとつのスタイルはそれ自身、ある種の完結性をもっている。

⑤ひとつのスタイルが完結し、固定化し、見捨てられても、いのちそれ自体は流動的に次の時代の新しい皮袋に受け継がれていく。

⑥時代時代において、いのちを入れる皮袋(器)を形成する人々の存在を通して、それが拡大し、広められていった。器がなければ人々の間に共有されることはないからである。その器はその時代の人々が共有できるものでなければならない。

⑦各時代のスタイルとしては、旧約の神殿礼拝(モーセの幕屋構造)、シナゴーグ礼拝、中世のローマ式典礼、修道院の聖務日課、グレゴリオ聖歌、コラール、福音唱歌、テゼの祈りの歌、プレイズ&ワーシップ・・等。

3. いのちの通路となった担い手の存在

①ダビデ(詩篇)
②聖アンブロシウス(創作賛美歌)
③中世の修道院(グレゴリオ聖歌)
④ルター(コラール)
⑤カルヴィン(詩篇歌)
⑥チャールズ・ウェスレー(福音唱歌)・・等。

4. 今日的課題

①絶えずいのちの源泉である神に立ち返ること。
②各時代のいのちの表出スタイルに対して謙虚に学び、良いものを現代的に応用すること。
③いのちの通路となるスタイルに対する柔軟な態度と認識をもつこと。
④賛美の中におられる主との親しい交わりを楽しむこと。


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