教会史における「新しい歌」 ー賛美と礼拝の歴史神学的考察ー

「新しい歌」がどのように生み出され、受け継がれ、また新たな歌を必要とする状況を生み出したかを歴史的に検証します。

本論⑰ 歌と踊りを伴うイスラエル・ジューイッシュ・ソング <3>

2005-06-22 11:21:17 | 講義
4. メシアニック・ダンス

(1) 用 語

◆今日、いろいろな言い方がなされている。
① イスラエル・フォークダンス (Israel Folk Dance)
② メシアック・ダンス (Messianic Dance)
③ メシアニック・ジュウイッシュ・ダンス (Messianic Jewish Dance)
④ デイヴィディック・ダンス (Davidic Dance)

(2) 現代におけるダンス(踊り)の回復

◆今日、ダンバリンによる踊り、またワーシップダンスなど、踊りをもって主を賛美するということは、イスラエルの歴史においてかなり早くからあったにも関わらず、新約の教会においてダンスが主への賛美と礼拝に取り入れられたのは、実に、近年のことである。神はこの終わりの時代の主の教会において、踊りを回復しておられる。なぜなら、神は終わりの日に〔喜び〕を教会に回復しておられるからである。手をたたくことも、手を上げることも、声をあげることも、そして体を動かし、踊ることもすべて賛美礼拝の表現形態なのである。
◆今日、イスラエルの国では祭りの日にイスラエルの町々で踊っている。彼らが回復された母国をもつことができたという本当の喜びであるゆえに、このことは、今日、霊のイスラエルである教会にもまた起こりつつあるのである。今日のキリストの教会に祭り(Celebrate)の季節がやってきた。というのも、神がとうとうご自身の民を訪れ、回復の時が近づきつつあるからである。
 
(3) 踊りと歌をもって喜びを表現する<クレズマー音楽>

◆”Klezmer(クレズメル)”というタイトルのフォークダンスがある。タイトルである「クレズメル」ということばは、ひとつの音楽スタイルを意味しており、「クレズマー音楽」というひとつのジャンルでもある。この音楽スタイルが形成される裏にユダヤ民族のたどった軌跡がある。   
  ① 用 語
◆「クレズメル (klezmer)」という言葉はヘブライ語の「クレ・ゼメル」を語源としています。「クレ」は「道具・用具・器具・用品」、「ゼメル」は「歌唱・演奏、歌・曲・旋律・メロディー」のことで、「クレ・ゼメル」は直訳すると「演奏の道具」とでもいった意味で「楽器」を示していた。この言葉が中世の東ヨーロッパで発展したイディッシュ語では「演奏者」を意味するようになった。今世紀に入ってからは、このユダヤの演奏者が演奏する音楽そのものを意味するようになった。
  ② クレズマー音楽とそのメロディの特徴
◆クレズマー音楽とは、東ヨーロッパから発祥したユダヤ人の音楽のことである。クレズマー音楽はヨーロッパ各地(主に中欧・東欧)の民族音楽を取り込んで発展し、今世紀に入り多くのユダヤ人たちがヨーロッパからアメリカへと移住し、このクレズマー音楽に大きな変化が訪れる。もともと放浪とともに現地の音楽を取り込んできた音楽であるゆえに、アメリカで芽生え始めたジャズやブルースやチャールストンやスイングなどをも積極的に取り込んで大変化を遂げた、いわば、音楽てんこ盛り状態である。そうした無国籍的混沌とした中にも、ユダヤの民族性という1本のしっかりとした太い筋が通っていて、この音楽に秩序を与えている。明るく楽しい中にも、魂の奥から込み上げてくるような、激しい情感のこもった魅力あふれる音楽である。
◆クレズマー音楽は、踊りと歌をもって、人生の喜びを表現する音楽である。それゆえ、クレズマーなしの結婚式は涙のない葬式よりも悪いと言われてきた。
◆その音楽のメロディーの特徴は、増2度音程にある。たとえば、F#―G―F#―Eb―D である。D―F#-Eb―D のようにである。

(4) 終末論的賛美

◆イスラエルのジューイッシュの歌には終末の神の訪れを待ち望む歌が多い。終末とは、キリストの再臨によって実現される千年王国の到来である。千年王国においてキリストは王の王、主の主として世界を統治する。イスラエルはその支配国となり、イスラエルに約束されたすべてが成就する。地の呪いは癒され、すべての戦いは終わりを告げ、神の平和が実現する。そのときを待ち望む歌と喜びの踊りこそ、イスラエル・ジューイッシュ・ソングの特徴であり、これからますます盛んになっていくと思われる。その担い手の一人に、Paul Wilberがいる。

①イェヴァレヘハ
主はシオンからあなたを祝福される。あなたのいのちの日の限り、
エルサレムの繁栄を見よ。あなたの子たちを見よ。
イスラエルの上に平和があるように。(詩篇128篇5、6節)

②バール・ハァバ ベ シェム アドナイ 
主の御名によって来る方に、祝福があるように。
主よ、立ち上がり、安らぎの地に来ませ みいつと栄光もて
民は喜び、義の衣まとい声の限り歌おう (words & music by Paul Wilbur)

③メゴサレ 
喜び、楽しみ、神をほめたたえよう 小羊の婚宴の時が来たから
輝く衣を身にまとい 花嫁は整い 主は王となられた 喜び叫べ メゴサレ


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