エンタメモンスターのひとりごと

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『コドモのコドモ』小5女子と同級生達の妊娠出産劇

2017-02-01 20:00:00 | 邦画
今まで観てきた妊娠・出産系の作品の中で、
一番クリーピーな映画。

2008年公開当時、『14才の母』よりも更に低年齢で妊娠出産するというストーリーに驚き、主人公と同年代だったこともあって結構インパクトがあった。
でも劇場に足を運ぶことはなく、それからほどなくしてDVDが出た時にすぐ視聴した。


主人公は男子と対等に張り合えるくらい気が強く、おまけに口も悪いマセた小学5年生・春菜。
ある日シャイな幼なじみのヒロユキと興味本位でした1回の"くっつけっこ"で妊娠してしまう。
春菜の妊娠を知った同級生達は戸惑いながらも一丸となって春菜を守り、大人達に知られることも助けを求めることもないまま、子どもだけで出産を迎える_。

改めてかなりぶっ飛んだストーリーだ。
でも妊娠自体あり得ないことではないし、
正しい知識がないままに好奇心だけが先行すると恐ろしい結果になる可能性があるのだなと怖くなった。


しかしあまりにもスルスルと大人達の目をすり抜ける展開には「んっな訳あるかいっ!」とツッコミたくなったし(まあ静かに気づいている人物は2人いる)、高校生のお姉ちゃんが居て、情報にも敏感そうで、友達同士でぶっちゃけ話ができるのにも関わらず、この年である程度の性知識を持ち合わせていないことに違和感を覚えた。

とは言え物語(宣伝通りファンタジー)だし
知識のばらつきは当然だが、
11歳という微妙な年齢と子ども特有の隠そうとする心理や好奇心や行動力などが複雑に絡み合ったが為に、通常では考えられない事態になったのだなと。

それにかなりお腹が出てきた夏頃、一瞬お母さんが「あれ...?」みたいな感じで気づきかけるシーンがあるのだが、それでも気づかないものなのかなー。
太ったならばお腹以外もむちむちするはずだし、不規則ならば尚更体調どう?とか生理用品の減り具合とか会話があるほうが自然だと思うし、
なにより妊娠を疑わないにしても何かしらの病気を疑うレベルなフォルムなのに。

しかも座った状態で春菜を抱っこするシーンがあったけど、さすがに鈍感すぎるよやっぱり。
お母さんの「あんたたちの顔色みれば、体調も隠し事もすぐ分かる」などというセリフがこれらのシーンに全く生きていなくて、見事にから回っていた。


そして見せ場である出産シーンは色々と凄い。
まず小学生が出産するシーンなんてそれまで観たことがなかったし、そのサポートを各同級生がするというのが唯一無二だと思う。
同級生の中には産婦人科の息子がいて、
その子が中心となってみんなに指示を出すのだが、無事赤ちゃんを取り上げたものの落としかけてしまい、
落ちる寸前でクラスの学級委員長の女の子がキャッチするというファインプレーにはフェイクでもドキッとした。

この物語はまさかの妊娠から出産、そして周りの大人や世間に知られてヒロユキの家族は引っ越し、1年後2人の間に生まれた息子(ひろみ)の誕生日会でみんなが集まってハッピーエンド的な終わり方だったけれど、これから春菜もヒロユキもひろみもどんな人生を歩んでいくんだろう?
きっと様々な壁にぶち当たりそうだし、
その後を想像したら何とも言えない気持ちになった。


こうやって大人になった今見返すと、妊娠出産などは除いて小学生の頃を思い出すようなシーンの数々に少しだけ懐かしさを感じて新しい感覚になったし、
(授業や夏祭り、マセた会話や"やたらとプリクラを撮りたがるなど)
子役達のわざとらしさを感じさせないそのままの小学生を演じている雰囲気が良いなと思った。

脇を固める役者陣が素晴らしい人選なのもこの作品の魅力。