心の山を歩いていこう!

単に山頂を目指すより、山歩きそのものを楽しみたい。
そんな思いを備忘録として綴ります。

雁坂峠から雁峠ヘ、その2。

2018-05-30 09:00:00 | 山日記

南側は大きく開け、富士山がスッキリ見える。今日一番の眺望で、思わず声が出る。



山頂付近はなだらかな笹の原。静かな夜をここで過ごしたいと思えるくらいのお気に入りの場所。



明るく伸びやかな尾根道。こんな道ならずっと歩いて行きたい。



木々が増え少し薄暗くなって来ると、燕山が近くなってくる。



燕山山頂。山頂と気が付かず通り過ぎるところだった。



この先は木々が生い茂る尾根道となる。



秩父方面の斜面はシャクナゲの森。あちこちで赤、ピンクの色が咲き誇り、見頃を迎えていた。



降って行くと、今度はミツバツツジがあちこちで色を添えていた。今日は花日和。 



降って行くに連れて緑が濃くなって行く。


木々の間から笠取山が見える。
ひと目で笠取山と分かる容姿に惹かれ、次に行きたくなってきた。



雁峠に近くなると、今度は小梨が花盛り。



雁峠は草原の峠。



今降りてきた斜面を見上げる。今日歩いた稜線はあの山の向こう。



きょうの稜線歩きはこれでお終いとなり名残惜しいが、峠を下っていく。



雁坂峠とは違い、なだらかな草原はカエデの森。さぞ秋は見応えのある森だろう。



春ゼミの蝉しぐれが響く森。
森の涼しさが心地良い。



せせらぎの音も聞こえてきた。ゆっくりと下っていく。



渓流沿いの道を歩いて行く。
この先は長い林道歩きが待っていた。



今回は予想していた五月らしい景色に恵まれていた。それだけでなく予想もしていなかった花盛りにも出会えた、本当に充実した山歩きとなった。
宝物のように大切に記憶に留めておきたい。

(終わり)


雁坂峠から雁峠ヘ、その1。

2018-05-29 20:00:00 | 山日記
「一年中でのよき日である五月になると、私は秩父の山や谷を思い出す。」
木暮理太郎を魅了した秩父の山々に思い焦がれるようになった。
今の時季、緑濃く輝きを放っている頃だろうか。


林道を約一時間歩くと、雁坂峠への登山道が始まる。いにしえから数多の人が通った道に今回も足跡を付ける。



山腹につけられた道。鳥たちの囀りと渓流の音が響き渡る森。これぞ五月の山歩き。



緩やかな流れを跨ぐ。新緑の森の空気に少しずつ馴染んできた。



対岸に渡ると坂道がキツくなる。段々としんどくなるが、鳥たちの囀りに励まされる。



つづら折りの坂道になると、緊張も解れ今日は気持ちに余裕が持てる山歩きとなりそう。



こんな風景の中にこの森の歴史がこめられている。



やがて笹が生い茂る山腹となる。
まるで笹の波の中を漕いで行くかの様に錯覚する。



歩いてきた道を振り返ればもう稜線と同じぐらいの標高にいる。



笹の原が広がる光景になる。まるで笹の海に木々が呑み込まれているかの様。



雁坂峠に到着。
初冬、甲武信ヶ岳から縦走してきた事が懐かしく思える。



これから向かう水晶山方面。
今日は高曇りながら周りの山々が見える。陽射しがない分暑くなくていい。



ちょっと寄り道して雁坂小屋に寄ってみた。次の機会にゆっくりとテント泊したい。



水晶山北側は苔の回廊。梅雨の頃苔の鮮やかな色合いが戻ることだろう。



水晶山山頂。木々に邪魔されて周囲の山々が、見えないのが残念。



南側は打って変わって笹が下草の明るい森となっている。



木々のすき間から、これから目指す古礼山が顔を覗かせている。



古礼山への登り。薄暗い木々の間から見える空間が目印。



登り切り、明るい所に出ると、古礼山山頂に至る。



(続く)


新緑萌える雨飾山へ、その2。

2018-05-17 20:00:00 | 登山
荒菅沢から尾根に取り付く。夏道の入り口から登るが、雪で先が塞がっているので直登する。



木々をかき分け尾根に上がり、後ろを振り返る。あの辺りを辿って荒菅沢に降りたんだと、確認できる。



山頂への尾根を見上げる。まだ先は長い。



山頂方面。
今日は雲一つない青空。夏のような暑さで南斜面は辛い。


所々雪が残っているので、アイゼンが外せない。雪はザラメ状態で滑りやすい。



なかなかペースが上がらないが、この辺が我慢のしどころ。


そして、この先もうひと、ふた頑張りで登りが終わりそう。自分を鼓舞する。



笹平へ至る。今日は殆ど雪がなく、カタクリがあちこちで花をつけていた。



山頂への最後の登り。登山道には雪はなく、ガラガラの道となっている。



荒菅沢を見下ろす。下から雪がべったり付いている。いつもながらこの高度感はクラクラする。



今日の山頂は人ひとりいず、静かなもの。ゆっくりと想いにふける。



快晴のおかげでパノラマが開ける。日本海もみえそうだが、海の色と空の色が混じりはっきりとは解らない。



笹平を見下ろす。ハイマツの緑が冴えるのはまだ先の様子。



天狗原、金山方面。いつか行こう行こうと思っているのに先延ばししているので、胸が痛い。



今年も雨飾山の新緑を堪能出来て本当に良かった。来る度に新鮮な感動に浸る。
次はどの季節に来るのか分からないが、雨飾山の自然はまた自分を癒やしてくれる。またここへ帰って来よう。

(終わり)

新緑萌える雨飾山へ、その1。

2018-05-16 22:00:00 | 登山
前回訪れた上高地の新緑も良かったが、ブナの新緑も見たい。
となると、気持ちは雨飾山へ。
いつの時期でも雨飾山はお薦めだが、特に新緑の季節は格別だ。


雨飾荘までしか、クルマが入れず、そこから先は林道歩き。
やがて雨飾山が姿を見せる。やはりしっかり雪が残っている模様。



大海川沿いに歩いて行く。
まだ雪は所々残っているが、川岸の木々はすでに葉の緑を濃くしている様子。



雪解けで地面が見えた所から水芭蕉が顔を出している。



この滝の先を進めば、大海川と別れて登りが始まる。



急坂の途中、コブシとオオカメノキか白い花を付けている。



次第にヤブからブナ林へと植生が移り、森の明るさが増してきた。



急坂が終わると、ブナ林の斜面をトラバースしていく。



木の根元のみが雪解けしている、残雪期ならではの風景。



一旦森が開けると、雨飾山が見えてきた。



この辺り木々が少ないので、春先雪崩やすい場所なのかも。今の時期、雪はしっかりと締まっている。
この先藪を越えていく。



木々がまだ若いため、見晴らしがよく、山頂方面が青空を背によく映えている。



荒菅沢への急な下り。
これだけの高度差を登り返すのはかなり大変だ。まずはスリップに気を付けないと。



荒菅沢から布団菱を見上げる。たおやかな雨飾山らしかなる荒々しい姿に目も心も奪われる。





この後はいよいよ登りのハイライトが待ち構えている。

(続く)

五月の涸沢、北穂へ、その2。

2018-05-12 20:00:00 | 登山
朝日が奥穂、涸沢岳を染める。
風も収まり、雲一つない青空が広がる。



北穂方面を眺める。
北穂沢はなんて急峻なんだろう。でっかい山に対してちっぽけな自分は果たして登れるのだろうか。



昨日の雪が薄く積もり、雪面は汚れ無き無垢の白。先行者の踏み跡について行く。



デブリを抜けて行く。気温が上がる前に登っていかないと。



見上げるような急斜面。緊張感に包まれ、ヘバッてなんていられない。



60度近い斜面を直登。足元の雪面は踏ん張りが効かないし、帰りはどうするんだろう、と考えながらも登って行く。



下から見上げた時、この辺りから斜度が緩むはずなのに、変わらずキツい登り。もうここまで来たら登り切るしかない。



ようやくコルに辿り着き、ホッとする。吹き上げる風が冷たい。ここは3,000mの世界だと実感する。



目の前には奥穂、前穂が聳える。そして視線を下にすると、今し方登って来た斜面が。壁の様に急で怖くて見ていられない。



そして北穂の山頂へ。 
頭の中は帰りは如何に降るかで一杯なため、達成感のカケラも無い。



降りて来てしまえばなんてことない、なんてうそぶくが、何とも中身が濃すぎる3時間45分だった。まぁ無事が一番。



青空の下での涸沢。名残惜しいが
またいつか戻って来るぞ。さらば!



帰り、横尾から見た前穂高岳。
惚れ惚れする程凛々しい。



横尾〜徳沢間からの前穂高岳。
自分にとって五月と言えば、この光景が浮かぶ。



今の時期らしい「春もみじ」。周りの新緑と相まってなお一層美しい。



河童橋付近からの穂高連峰。上高地に来たからにはこの景色を目に焼き付けて帰ろう。



たった二日間の山旅、されど二日間の山旅。
貴重で忘れられないこの二日間の思い出は自分の人生の宝物。またいつの日か残雪の涸沢に行こう。

(終わり)