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「学校恐怖症」とは何でしょう?

2004年08月07日 11時43分50秒 | エッセイ

今では「死語」になっていると思いますが、30年以上前には「登校拒否」の事を「学校恐怖症」と呼んでいた時期があったのです。

今では「登校拒否」と言っても、社会現象として誰もが認めている事ですから。驚く人も少ないでしょうが、私が小学校4年生の時から登校拒否になりだした頃には、学校にも近所にも、家族や親戚にも、身近にはそんな子は一人もいませんでした。
ですから、かなり孤独感を味わったものでした。

症状としては・・・。
初めの頃は学校は好きで、行きたくてしょうがなかったのですが、朝学校へ行く時になると、急に頭が痛くなって吐き気がして来るのです。
家から出れば、すぐに吐いてしまいそうですから、出られません。
そして学校を休みます。
(私の場合は「吐き気」でしたが、一般的には腹痛を感じてトイレに駆け込むような症状の人が多いのではないでしょうか?何れにしろ当時は消化器系に影響が出ると言われていました。)

そうやって何日か休み出すと、何かのきっかけがない限り、学校へは行きにくくなって来るのです。

結局2年以上休んでしまったような気がしますが、後になって来ると「学校には行きたくない!」という気持が、自分でもはっきりと分かって来ます。
そうすると、もう朝になっても頭が痛くなったり、吐き気がしたりという事はなくなって来ました。
ただ「学校には行きたくないから、行かない!」という状態です。

原因として考えられるのは・・・。
先天的なものもあるとは思いますが、4年生の進級の当日に、急性腎炎で入院したのがきっかけだと思います。
2、3年の時にはクラス替えがなくて、友だちが沢山出来て楽しかったのですが、4年の時にはクラス替えがありました。

私が退院して、2ヵ月後にその慣れない教室に戻った時には、他の生徒達はもう既に2ヶ月も立っていますから、皆慣れ親しんでいた訳です。
この時の私の心境は、まるで「転校生」のようでした。
自分一人だけが、そのクラスに慣れていないのです。
それまで友だちが沢山いただけに、これはかなりショックでした。

後になって考えて見れば、この時既に「学校には行きずらいな!」という気持があったのですが、自分では全く自覚出来ませんでした。
ですから何故「恐怖症」と言われるのかが、さっぱり分かりませんでした。

私はもうこの時期には既に、「8時から5時までのサラリーマンには向いていないな」と自覚して、科学者か画家になりたいと考えていました。
「サラリーマンにはなれない」とか「人と同じように平凡な事が出来ない」という劣等感は、大人になってからもしばらくは続きました。

ですから、数年前に神経科の医者の話を聞いた時には非常に驚きました。
「登校拒否は病気ではなくて、一つの生き方である」・・・と。
またテレビを見ていたら、不登校の母親までが医者と同じ様に「不登校は一つの生き方です」と言っていたのです。
昔とは随分違って来たものです。
昔は登校拒否の原因は、「母親の甘やかし」や「母親の過保護」である、と決め付けられていて、母親も随分苦しんだ事でした。

しかし登校拒否というものが、本当に「一つの生き方」なのだとしたら、治療の必要もなければ、劣等感を持つ必要もない訳です。
私としては、治療して学校に行けるようになる子も、沢山いるのではないかと思うのですが・・・。

私の場合は、本来なら日数が足りないので、中学には進学出来ない筈なのですが、先生が理解のある人でしたので、「もし中学に休まずに行く、と約束するのなら卒業させる!」と言われたのです。
この約束で、私は中学に行く事が出来るようになり、この時発奮して猛勉強を始めました。
毎日4時間の勉強です。

でも私がいくら猛勉強したところで、2年以上のブランクは埋めようもないと思っていたのです。
ところが友だちに聞いてみると、家で4時間も勉強している人は少なくて、オール5で学年でトップクラスの秀才だけでした。

入学の時には当然学年でビリの成績で入りましたが、卒業の時には学年で(男子のみで)13番くらいまで成績が上がりました。
この時は1クラス40人で8組までありましたから、学年で320人、男子のみで160人ですから、親も先生もかなり驚いてくれました。

「学校嫌い」は「勉強嫌い」ではありませんから、日ごろから自分独自の勉強はしておいた方が良いとは思います。
しかし本当に「登校拒否は一つの生き方」と考え、治療をしなくても良いのでしょうか?
周りの理解と協力と、何かのきっかけさえあれば、私のようにすぐに学校に戻れる場合があるのですが・・・。


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