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変見自在 高山正之の本は面白い12 裁判官の相場

2013-11-09 00:39:19 | 読書と映画
裁判官の相場(2008/6/12)

裁判には裁判官が作った相場がある。
一人殺すと求刑は懲役10年前後。裁判官は判決を、その7掛けにするというのが基本相場だ。
これにむごい殺し方だとか逆に同情すべき点があれば5%の増減をつける。
それで「罪と向かい合って生きなさい」と付け加えれば判決が出来上がる。

実際の裁判もこの通りで、例えば横浜・伊勢崎町で古希間近の夫が若い妻に不倫をなじられ、ナイフで刺し殺した事件は求刑の7掛けで懲役7年だった。
群馬・安中で理容業を営む妻をカネの恨みから夫が殺した事件は殺し方がひどかった。夫は鉄棒で殴って半殺しにし、灯油をかけて焼き殺している。
求刑は15年で、判決は7掛けに惨さ5%を加えてぴったり11年だった。
東京・足立区でNHKの集金人が妻をいたぶり、ついには殴り殺した。
愛人も同居させるNHKそのものみたいな変態亭主は、その愛人に手伝わせて妻をバラバラにした。
判決は懲役10年、殺人分が相場の7年、バラバラにした分が3年という計算で、日ごろの暴力は見逃してもらっている。
この「バラバラは3年」も相場だ。お台場のマンションでフィリピン女性を殺して洗濯機で血抜きをした野崎浩の前科がそれを証明している。
彼は8年前に当時交際していた女性をバラバラにした廉で裁かれた。

日本の裁判官は指紋とかの状況証拠を好む。考えないで済むからで、高度な状況証拠は頭が痛くなるので採用しない。
だから野崎が女性を殺した状況証拠は却下し、バラバラにした分だけで懲役3年とした。ただ殺害は間違いなさそうで、それを加味して3年6月とした。
裁判とはその程度のもので、だからストーカーしながらでもこなせる。

ただ、これは男が犯人の場合で、女にはこの相場は使わない。
例えば福田和子の場合、彼女はカッとなって同僚を殺してしまう。彼女は名を変え、顔も変えて時効ぎりぎりまで逃げ回った。
逃亡は犯罪者の心理として当然で、それで罪を重くされることはない。
それに彼女には情状もあった。18歳のとき悪い男につまずき、盗みの手伝いをして捕まった。
その未決拘留中、彼女は房内で強姦される。収監中の暴力団組長が看守を買収して刑務所内で飲んだり打ったり好きをやった。
いわゆる松山刑務所事件だが、組長はこのとき彼女に目をつけ、看守に房を開けさせ暴行した。
彼女が世間に不信感を持つに至った原因だ。
そんな情状も踏まえればまあ5年でもおかしくないが、判決は仰天の無期懲役だった。

96歳の母が知的障害の息子の先行きを思って道連れ心中を図ったが、息子だけが死んだ。
名古屋地裁はそんな母を1年間、拘留させたうえ3年の実刑を宣告した。女に情けは無用。白寿は刑務所の麦飯で祝え、と。
東京・渋谷で夫を殺して遺体をバラバラにした三橋香織はどうか。
夫は家庭内暴力の常習者で、彼女を拳骨で殴り、鼻の骨も折っている。
裁判では検察、弁護側双方が彼女の精神鑑定を行い、「夫からの絶え間ない暴力にさらされ一時的な心神喪失の状態にあった」との鑑定結果が出されていた。
米国で判例として確定している「殴られる妻症候群」と同じ内容だ。
男の相場ならバラバラ分が3年。殺しが7年だが、心神喪失を考慮してこっちは無罪。合わせて3年というところか。
しかし河本雅也裁判長は職権でその鑑定をボツにして懲役15年とした。
女は原罪を背負うというユダヤ教徒もここまでは差別しない。

同じ渋谷で兄が妹を殺してバラバラにした。
同じ地裁の秋葉康弘裁判長は懲役17年の求刑に対して、殺人分は相場通りに7年と計算。
しかし、バラバラ分については「15にも切り分けた獰猛さはまるで別人」という鑑定を根拠に「別人格の犯行」だからゼロとした。
というわけで判決は香織の半分の7年だった。
偏見のない、まともな神経を持った裁判員が待望される理由がここにある。

裁判官は難関の司法試験を通ったのだから、優秀なのは確かだろう。しかし、優秀と言うのは「頭がいい→記憶力がいい」のであって、人間的に優れている訳では勿論無い。
世間から隔絶しての生活で国民の付託に応える判決が導けるのか?

裁判員制度が導入され一般市民の感覚が司法に生かされるかと期待した。
しかし最近、裁判員が決定した死刑判決が上級裁判所で覆される事例が多い、上級裁判所には裁判員は含まれない。一般市民はどちらかと言えば”人一人を殺した判決の罪が軽い”と見ているのではないか?私はそう感じている。
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