メディアというものは報道機関と言うよりプロパガンダ機関と言った方がいいくらいで、ネタには事欠かないにも程があるが、多すぎて却ってやる気がしない今日この頃だ。
『トリミング、ミスリーディング、そして雰囲気作り - 一人人海戦術』
のエントリーでも述べたが、プロパガンダを成功させるには前もって雰囲気作りが欠かせない(と思われている)ようであり、今回はその例である。
『財政破綻で巨大ゴキブリがナポリを占拠 | ビジネス | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト』2012年08月23日(木)16時19分
は、誤報と言うより、ねつ造の疑いが濃厚であることを『丸山光三さんの「丸山光三或問集」:イザ!』の丸山光三さんが指摘していた。
~引用開始~
その記事に曰く
「巨大なゴキブリの姿を思い浮かべただけでむしずが走るタイプの人は、この記事を読まないほうがいい。イタリアのナポリを訪ねるのも、当分はやめたほうがいいだろう。今のナポリは巨大ゴキブリの大群に、文字どおり占領されているからだ。
市内の下水道で卵からかえった大量のゴキブリが地上に進出してきたのは今月上旬のこと。債務危機のあおりで清掃局の予算が削減されたため、この1年間は一度も下水の清掃や消毒をしなかったせいだ。」
「8センチまで巨大化するものも地面をはうだけでなく、時には空も飛ぶこの害虫は、大きくなれば8センチほどにもなる。主に夜間に活動するが、ナポリでは日中も歩道を走り回って いて、外のテラス席で食事する客を震え上がらせている。今やゴキブリは人間を恐れなくなり、観光客のサンダルの上に乗っかっていることもある。」
このような「情報」は旅行前に知っていたから出発前にナポリの友人に連絡して尋ねてみたが、そんなことは無いし聞いたことも無い、とのことで安心して出かけたのだった。
そして事実も友人のいった通りであった。
~引用終了~
どうやら、2006年頃のものと思われるゴミの山が出来たナポリの写真を持ってきて、ゴミとゴキブリだらけだと主張したいらしい。そのときは、市当局と闇の裏社会とのカンケイがこじれたせいらしく、この記事で言う「清掃局の予算が削減」とも違ったようだ。
どこかの企業の株だかイタリアの国債だかを実力より安く買いたたいて、後で復活してから売って利ざやを稼ぐのか。目的がよう分からん。いったい誰のための雰囲気作りかは分からないが、「イタリア危機」を煽りたい人がNewsweekにはいるようで。現地からの情報が入ってくる時代にこんな技が通じるのだろうかとも思うが、確かに知り合いがナポリにいないと意外とさもありなんと思ってしまいかねない。
ちなみに元ネタの方
“Giant, Red Roaches Invade Italy - The Daily Beast”
は日付が何故か2012年7月 12日 4:45 で(日本に伝わるのに一月かかったのか!)、写真が何とゴキブリ君のドアップであり、本当にナポリの写真であるのかさえも良く分からないという代物である。もしかすると日本語版の時点で写真を差し替えたのかもしれない。そのためいい写真が無くて困ったと。問題のBarbie Latza Nadeau記者はやっぱりアメリカ人らしい。
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