GLAYのモバイルファンクラブ「GLAY MOBILE」が10周年を迎えた。彼らは本年2月に画期的なアーティスト単体の月額制ストリーミングサービス「GLAY公式アプリ」もスタート。時代の変化に敏感に対応していく彼らが今、考えるファンクラブの在り方とは。
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■「独立した人格を持つもの」として「GLAY MOBILE」を立ち上げた
GLAYのモバイルファンクラブ「GLAY MOBILE」が10周年を迎えた。GLAYはいわゆる“時代の変化”に対して敏感なアーティストだ。本年2月にはデビューから現在までに発売した音源や、100を超えるミュージックビデオや音源等が月額制ストリーミングサービスで聴き放題&見放題になる「GLAY公式アプリ」をスタート。画期的なアーティスト単体によるサブスクリプションサービスの登場は多くの注目を集めた。
今回、10周年を迎えた「GLAY MOBILE」も同様で、当時、デジタルの会員を作った。スマートフォンへの対応も素早かった。音楽の視聴環境、視聴習慣の変化とともに、アーティストとファンの関係性も変化し始めている今、彼らが考える「ファンクラブ」の在り方について、TAKUROに語ってもらった。
「音楽はスマホからBluetoothで飛ばして聴くというのが一般的ですよね。それはCDから配信へといった音楽業界における変化だけでなく、スマホを手にした人たちの生活様式が変わっていっているということだと思う。そういう時代が迫りくる中で情報を迅速に届けたいと思ったら、俺たちとしては、ファンクラブの在り方をもう一度考え直さなければならなかった」(TAKURO/以下同)
そこで、「“紙”とも違えばPCで見る公式ホームページとも違う、独立した人格を持つもの」として、「GLAY MOBILE」を立ち上げた。
「『GLAY公式アプリ』は、“楽しい”とは言ってもアプリ自体には感情はなくて、そこにあるのはGLAYのアーカイブ、要するにコンテンツの図書館です。アプリはひたすらデータを示し、意味を付けるのはユーザー。アプリのほうがより(ユーザー側が)能動的であって、エンタテインメントではない、とも言えます。エンタテインメントは楽曲や映像自体で、アプリがユーザーを楽しませるわけではないですから。だけど、「GLAY MOBILE」はやはり俺たちがユーザーを楽しませようとしているし、楽しんでほしいと思っている。そういう意味で「GLAY MOBILE」は公式アプリと「HAPPY SWING」(年会費制ファンクラブ)の間にあって、この3つは足りないものを互いに補い合っています」
■会費はチケット入手のための“白紙の委任状”ではない
現在の「GLAY MOBILE」について、TAKUROは、「配信サービスの発展もあって音楽がどんどん身近になり、ある意味、無料化されている今、音楽だけではなくて、“自分たちが何を考え、何を思って活動してるか?”ということを、時代のスピードに合わせて伝えられる、自分たちの“想いの置きどころ”をうまくつくることができた」とも語る。
大切にしているのは、メンバーの想いや感情を「GLAY MOBILE」のメインコンテンツにすることだ。ファンクラブというと、「ライブのチケットを優先的に手に入れるための手段」と割り切っているファンもいるかもしれないが、そうしたモノとはまったく違い、毎日撮り下ろしの写真が配信されていたり、メンバー間のたわいもない会話からそれが意外にも深い話に発展したり…と、メンバーは自分の好きな世界を思いっきり発信している。
「会員になることイコールチケット当選の確約、という発想だと、自分たちにとっては重たい鎖になってしまう。だから、会費はインタビューや写真、他のイベントなどのコンテンツ制作費であり、決してチケットを優先的に回すという“白紙の委任状”ではないんです」
来年25周年を迎えるGLAY。TAKUROは「本当に面白い時代に生きてるなぁ、としみじみ思う」とも語る。彼らが時代に合わせ、強く、しなやかに音楽を、楽しみを届けている姿は、他のアーティストにも影響を与えていくだろう。
(取材/大前多恵)
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