今年はあまり書き上げることが出来なかった。
そのうえ、感想ご意見などもほとんどいただくことが出来なかった。
作家を目指す者としてこのていたらくはどうかと思うが、ここで諦めることをせず、反省と改善を重ねてこれからも頑張っていきたい。
亀の歩みではあるが、ここでの発表も続けていきたい。
やりたいことを自由に。
そんなのはどこの世界でも許されることではないのだから。 . . . 本文を読む
この騒動がこの後、どんな顛末を迎えたのかはよくわかっていない。
どうせミルヒがなんだかんだと騒いで終わらせたのだと思うが、当のミルヒが忙しいらしく、わしに会いに来なかったし、わしも誰かに尋ねようとはしなかったので、結局はわからないままだ。
あの夜わしの身に起きた奇跡の謎もそう。ロイドのお陰だとはなんとなくわかるが、魂のない彼がどうやって力を貸してくれたのか。何故貸してくれたのか。謎はすべて闇 . . . 本文を読む
★ ★ ★ ★ ★
気がつけば、走っていた。
どこをどう、なんてアンナは覚えちゃいなかった。
ただ、走らなければならない。走って、走って、走り続けないと、追いつかれてしまうから。
これが夢であることは承知の上だ。きっと、ほっぺをつねれば痛みとともに目も覚めるに違いない。だが、覚めれば笑い話になるという夢ではない。立ち止まれば、追いつかれれば、喰われてしまう。闇に潜む、朱い目をしたアレ . . . 本文を読む
誰かが云った。
現世に舞い戻ったのは、悔いがあるからだ、と。
仮にそれが正しいとして、わしの悔いは一体なんだろうか?
その悔いは、晴らすことが出来るのだろうか?
答を得る為に、わしは夜の街に歩を進めていた。
いつものように用心しながらのことだが、不思議なことに今夜は異様に人気がない。影を見ないどころか、声さえ聞こえてこない。
訝しみながらも、チャンスを逃さぬように足を速める。
余計 . . . 本文を読む
★ ★ ★ ★ ★
アンナは大きなため息をついた。
部屋にいるのはひとりだけ。さして広くはないが自分だけの部屋。壁に掛けてあるのは観光客相手に売られていた安物の、けれどもお気に入りの風景画。大好きな本が入っている小さな本棚と、愛用の勉強机はお父さんが作ってくれたもの。枕元に置いてある白い熊のぬいぐるみは、友達からの誕生日プレゼント。好きなもので囲まれた、心安らぐ空間。
だからつい、気が . . . 本文を読む
足音が聞こえてくるのは、二つ手前の角を曲がった辺りからだ。
商店も露店も出ることのない裏通りだが、大通りと大通りを繋ぐ隠れた近道なので人通りは案外多い。大勢の足音の中からでも目当ての音を聞き分けられるのは、軽やかに跳ねるような足取りと規則正しい生活リズムのお陰である。
毎日決まった時刻に訪れるそれは、他の足音のように疲れているのでも急ぎすぎているのでもない。明日に希望を抱き、日々を楽しんでい . . . 本文を読む
今回の蛇足は特別版です。
先日書いた『箭疾歩』の完成までの道筋を、書ける限り詳細に書いてみようと思います。
かなり前になりますが、ゲームセンターで初めて『餓狼伝説』という格闘ゲームを目にしたとき、ぼくはものすごい衝撃を受けました。主人公のひとり、テリー・ボガードの闘う姿にです。彼は万歳をした後「バーンナックル!」と叫びながら、拳を突き出し相手に突進していました。
「なんじゃこりゃあ!! . . . 本文を読む
俺はいつだって殴り飛ばしてきた。対峙した相手には手加減しなかった。どんな困難も二つの拳で乗り越えてきた。
だって俺は漢だから。真の漢の想いは拳に宿るって信じているから。
抑え切れない激情を。
溢れ出す闘志を。
拳に乗せて一直線に突き放ってきた。
決して背が低く、足が短いからじゃないんだ。どんなに足を高く上げても、相手の頭に届かないことが多い、なんてことは絶対にないんだ。本当だぞ!
. . . 本文を読む
小説を書こうとは思うのだけど、なかなか筆が進まない。
忙しすぎて時間がないからだ、というのは、たぶん言い訳だ。
鬱積したものを抱え、重い足を引きずりながら、僕は歩いていく。
深い霧の中を。
その先の光に向けて。
いつか辿り着くことを信じて。
それが明日であることを祈って。 . . . 本文を読む