さて、いよいよ育児本番、赤ちゃんのお世話をする日がやってきました。
つわりがえんえん続いたため、産みさえすれば楽になると思っていた、マタニティー時代。
たしかにお世話は大変だけど、あの時代にくらべれば、かわいい赤ちゃんと過ごせて幸せだわ。
なんてことには・・・。
なりません。
暗かった。とくに新生児の1カ月。
それまで「産みさえすれば、つわりから解放される」って、それだけを心の支えにしてきたせいで、反動(感動ではなく)もひとしお。
どうやら赤ちゃんに夢を見すぎていたようです・・・。
思うに妊娠中、乳児について、もっと学んでおけばよかったんですよね。
学ぶというか、慣れるというか。
私は一人っ子で、赤ん坊というものに接したことって、ほとんどありませんでした。もちろん単に遊んだりあやしたり、くらいならありましたが、長時間接した経験は皆無。
ちなみに、家の中でペット(犬や猫など)を飼った経験もなし。
ペットと赤ん坊、同列に並べるのもどうかと思いますが、とにかく「生きもの」に慣れていなかったという意味です。
ですので、出産翌日、部屋に赤ちゃんがベッドごと移ってきたときには・・・おののきました。もちろん恐怖で!(笑)
いえ、さすがにそれはちょっと言いすぎですが・・・。
実は私、アホなことに、母子同室かどうかをまったく考えずに産院を選んだんですよ。というのも選んだ理由が「出産した親友がほめていた、市内の産院」だったから。遠くの知らない産院なんて、とんでもなかったわけです。
で、産んでからも、同室なんてもうちょい先だろう、とかいう悠長なことを。
リサーチ不足。アホひとつめ(ふたつめもある)。
でも。自分の具合だってまだボロボロ、ドーナツクッション大活躍のおまたの痛みをかかえながら、さらに新生児までかかえるなんて・・・。
つらいですよ。こっちは、生まれたての赤ちゃんを見るもさわるも抱くも初体験なのに。
こっこっこんなちっちゃくて、ふにゃふにゃ、ぐにゃぐにゃ、ホゲホゲ泣いてばかりの生きものを、こんな私が預かっていいのか? ほんとにいいのか?
抱き方はこれでいいのか? いいならなんでこんなに泣くのか? 夜中なのに、いったい私はいつ寝るのか??
大変なときは、ナースルームのほうに預けてよかったんですけどね。そんなことも思いつかないくらい、動揺していたようです。
食事だって記憶にあるのは、赤ちゃんを抱っこしながら、変な姿勢でむりやり食べてたことだけ。おいしくて豪華な食事を売りにしている産院だったのに、もったいないのひとこと。
で、母乳やミルクのときには授乳室に行くんですが、そこにいるママたちがみんなやけに落ちついて見えて・・・。
誰も母子同室で苦労している感じがしなくて。
あとになって考えれば、理由はかんたん。初産の人が少なかったからなんですけどね。どういうわけか、そのときの私は、みんなが初産なんだと思いこんでいて。
アホです。リサーチ以前の問題ですが、まあ、それだけ動揺していたってことにしてください・・・。
後日、別のお友達に産院についてきいてみたら「自分が休みたいから、母子同室じゃないのが条件だった!」と言い切っていました。
それはすばらしい条件ですね・・・。
でもでも。そう思う反面、もちろん、同室でよかったところだってちゃんとあるんですよ。
それは最愛の赤ちゃんの顔をいっぱい眺められたこと・・・では、もちろんなくて(え?)。
退院してからの予行演習が、いっぱいいっぱいできたこと。
産院だから何かあってもお医者さんがいるし、看護師さんとかほかのママさんともお話しできるし、いろいろ教えてもらえる。
5日間の間に、抱っこだって見ちがえるようにうまくなりました。
その証拠に退院間近、授乳室でおとなりにいたママさんに言われたんですよ。「慣れてますね~。2人目ですか?」って。
うれしかったなあ・・・。朝から晩まで特訓した(させられた)甲斐がありました。
特訓というのは、抱っことかおむつがえとか沐浴とか、細かいところでは、ちっちゃい赤ちゃんの、それはそれはちっちゃい爪を切ることとか。
いろいろありますが、中でも私がすごく苦労したのは、授乳のときでした。
赤ちゃんが、乳首に吸いついてくれないんですよ。くわえても、すぐに口からはずしてしまう。
はずすというか、ポロッとはずれる感じなんですが、あわてて入れ直してあげても、またはずれる。入れる、はずれる、のくり返し。
おなかはすいてるはずなんです。だから哺乳瓶だと飲んでくれるんですが、母体の形状に問題があるのか、どうしてもうまくいかず・・・。
母乳が出ないとかいうお悩みはよく聞きますが、こんなのって、想定外。
最初の何日間かは、授乳のたびに、汗だくになりました。
長いつわりが、私のとって育児のつまずき第一弾だとすれば、第二弾はまちがいなく、この乳首特訓(?)だと思います。
でも、私だけじゃなくて、赤ちゃんもすごくがんばったんですよね。
赤ちゃんって、もちろん冬坊のことです。
ふたりでがんばったおかげで、退院するときには、かなり上手に飲めるようになっていました。
が、こんなわけですので、前回の終わりに書いた文章がここで再び登場です。
心から、退院したくなかったです・・・(涙)。
家に帰って、ちゃんとやれるかどうか心配で。退院なんて、おめでたさの象徴みたいな話だというのにね。