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komaの こまごまひとりごと

気が向いたときに更新しています。ただいま「歌の力」カテゴリ工事中。すみません。

子どもといっしょに百人一首 49

2018年06月22日 | 百人一首 黄札

 

 

         ゆら           ふなびと
        由良のとを わたる舟人 かぢをたえ

            ゆくへも知らぬ 恋の道かな

 

 

 

 詠んだ人・・・曽禰好忠(そねのよしただ)

 詠んだ人のきもち・・・由良川の河口をわたっていく舟のりが
            かじを流されて、ただようように
            私の恋のゆくえも、先がわからないなあ

 

     由良・・・京都府の由良川

     と・・・海と川とのさかいめ。せまくなっているので流れが急。

     舟人・・・舟をあやつる船頭

     かぢ・・・舟をこぐ道具の櫓(ろ)や櫂(かい)

 

 


         

 


子どもといっしょに百人一首 48

2018年04月16日 | 百人一首 黄札

 

 

        あさじう       しのはら
       浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど

           あまりてなどか 人の恋しき

 

 

 詠んだ人・・・参議等(さんぎひとし)

 詠んだ人のきもち・・・まばらに茅がはえている野原と
            その野原の篠。
          私は恋をたえしのんでいるが
          どうにもしのびきれない。
          どうしてこんなにあなたが恋しいのだろうか。

 


     浅茅生・・・まばらに茅(ちがや)のはえたところ。
          
茅はススキに似たイネ科の草。
         「小野」のまくらことば。

    小野・・・野原

    篠原・・・篠(しの)のはえた野原。
        
 篠は細くて小さい竹。

    あまりて・・・「しのぶれど」をうけて、ここでは
           しのぶにあまる、つまり
           たえしのぶことができない、という意味。

    などか・・・どうしてだろうか

    人・・・ここでは、あなた

 

 


「浅茅生」から「篠原」までは、実際の風景というより「しのぶれど」という言葉をみちびきだすための長い序詞になっています。
そういう序詞を使ったおかげで、静かでさびしい風景のイメージと忍びがたい恋の思いが同時にうかび、味わいを深めているわけです。ちょっとわかりにくいですけどね~。

            

 

 


子どもといっしょに百人一首 47

2018年04月03日 | 百人一首 黄札

 

          

          しらつゆ
        白露に 風の吹きしく 秋の野は

          つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける

 

 

 詠んだ人・・・文屋朝康(ふんやのあさやす)

 詠んだ人のきもち・・・草葉の上にある白露に            
            しきりに風が吹きつけている秋の野原は
            ひもでつながれていない玉が
            散りこぼれているようだなあ。

 

  玉・・・ここでは真珠のこと。
      この時代、真珠や宝石に
      ひもや糸をとおして飾りにしていた。
      


            

 


            


子どもといっしょに百人一首 46

2018年03月14日 | 百人一首 黄札

        

   

         ひさかたの 光のどけき 春の日に

         しづ心なく 花のちるらむ
               ごころ

 

 

 詠んだ人・・・紀友則(きの とものり)

 詠んだ人のきもち・・・光がのどかにさしている春の日に
            どうして落ちついた心もなく
            桜の花はいそいで散るのだろう

 

    ひさかたの・・・「光」にかかる枕詞(まくらことば)

    しづ心・・・落ちついた心

  

 

 

 余談ですが、いまこれを書くために調べるまで「しづ心(ごころ)」のところを
「しづ 心(こころ)なく」だと思ってました・・・。しづ、って何だろうと不思議だった、そういえば(笑)。
 それと「ひさかたの」は「ひさしぶり」の意味だと思ってたら、枕詞だったんですね。お勉強になりました~。

 

 


子どもといっしょに百人一首 45

2018年02月16日 | 百人一首 黄札

 

 

         やまがわ
          山川に 風のかけたる しがらみは

          ながれもあへぬ もみぢなりけり

 

 

 

 詠んだ人・・・春道列樹(はるみちのつらき)

 詠んだ人のきもち・・・山の中の川に、風がかけたしがらみは
            よく見ると、流れきれずにたまっている
            川面に散ったもみじなんだなあ。

 

    しがらみ・・・川の水をせきとめるために
           木や竹などで作った、さく。
       ここでは人ではなく風が作ったと見立てている。
              
 

 


子どもといっしょに百人一首 44

2017年12月25日 | 百人一首 黄札

 

 

      すみの江の 岸による波 よるさへや

                 夢のかよひ路 人めよくらむ
                  

 

 

 詠んだ人・・・藤原敏行朝臣(ふじわらのとしゆきあそん)

 詠んだ人のきもち・・・すみの江の岸に寄せる波、
            その「よる」という言葉ではないが
            どうして私は夜の夢の中までも
            あなたと会うのに人目を避けてしまうのだろう

 


    すみの江・・・大阪府住吉区の海辺

   夢のかよい路・・・夢の中で恋人たちが会う道

   よく・・・避ける

 

 

 

(上の解釈だと「人目を避けるのは私」ですが、「避けるのは恋人」という説も有力なようです。
「私」の場合は、人目を気にしてしまう自分の弱さを嘆く歌になりますが、「恋人」だと「どうしてあなたは、夢の中でまで人目を気にするのですか」という意味の歌になりますね。
 どちらにしても「人目を避けなければ会えない状況の恋」に変わりはないですが・・・。

 このブログを書くとき、いつも本とサイトあわせて5つ参考にするのですが、この歌に関しては「私」派3つ、「恋人」派2つでした。
 一応3つのほうをとってみましたが、「恋人」のほうが共感しやすい気もしますね)

            


子どもといっしょに百人一首 43

2017年12月15日 | 百人一首 黄札

 

                 
     これやこの 行くも帰るも わかれては

             知るも知らぬも あふ坂の関

 

 

 

 詠んだ人・・・蝉丸(せみまる

 詠んだ人のきもち・・・これがあの、都から出て行く人も
            都に帰ってくる人も
            たがいに知っている人も、知らない人も
            別れたり出会ったりするという
            逢坂の関なんだなあ

 

 

   あふ坂の関・・・逢坂(おうさか)の関
           
京都府と滋賀県の境にあった関所 
           (この歌の中では、出会いと別れをくりかえす
           人生の縮図の場として、とらえている)

 

 

  余談ですが、私の知っている坊主めくりでは
  これが出ると捨て札全部引き取らなければならないという
  ルールが・・・なんでこの札なのかしら。作者の名前のインパクト?
  作者は、天皇の皇子とか、天皇の皇子に仕えた人とか、
  琵琶の名手であるとか、逢坂の関にいた乞食とか、 
  百人一首の絵だとお坊さんに見えるし、伝記不明の人物らしいです)


           
           


子どもといっしょに百人一首 42

2017年10月30日 | 百人一首 黄札

 

     あま                 かすが
     天の原 ふりさけ見れば 春日なる

            三笠の山に いでし月かも
                    
みかさ 

 

 

 

  詠んだ人・・・安倍仲麿(あべのなかまろ)

 詠んだ人のきもち・・・はるか大空をふりあおいで見ると
            (月が出ている)
            あの月は、春日の三笠山に出ている月と
            同じものなんだなあ。

 

    天の原・・・大空

    春日・・・奈良市春日山の一帯

    三笠の山・・・春日にある三笠山

   

 作者は遣唐使(けんとうし・中国への留学生)として
 長く中国にあり、やっと帰れることになったときの送別会で
 これを詠みました。
 ですが船が遭難して帰国できず、中国に戻って一生を過ごしました。

 

(「かも」を「感動の終助詞」ではなく「感動を含んだ疑問の終助詞」とする説もあるようで、高校のときの副読本では「同じなのかなあ」という意味の訳になっていました。
「同じなんだなあ」より切ないですよね。
 帰国できるうれしさの中で詠んだ句だと思うので、このブログでは切なくないほうを取ってみましたが・・・その後のことを考えると、やっぱりちょっと切ないです)
 

 

 


子どもといっしょに百人一首 41

2017年10月14日 | 百人一首 黄札

 

                        しろたえ
        春すぎて 夏来にけらし 白妙の

            衣ほすてふ 天の香具山
            ころも       あま   かぐやま

 

 

 詠んだ人・・・持統天皇(じとうてんのう 第41代女帝)

 詠んだ人のきもち・・・春がすぎて、いつのまにか夏が来たらしい
           (夏になると)白い着物をほすといわれている
            香具山(に、いま着物がほしてあるのだから)

 


   来にけらし・・・来たらしい
   
  白妙・・・白い布。ここでは、白いという意味

  香具山・・・奈良県の山