パピーウォーカー日記 エルとともに

2008年11月1日より、パピーウォーカーのボランティアをはじめました。
盲導犬候補生のエルと暮らす日々を綴ります。

悲しい知らせ

2011-02-04 09:13:35 | 訓練中

自分の中では、まだ信じたくない夢の中みたいな感じのまま、このブログを書きます。

まだ気持ちが整理できていないので、支離滅裂になってしまうかもしませんが。

2011年2月2日早朝、エルは天国へ逝ってしまいました。享年2歳5カ月。早すぎる死でした。

盲導犬になったのが11月、わずか3カ月の盲導犬生活でした。

 

盲導犬センターの方の話による経緯はこうです。

たぶん1月30日夕方、エルはユーザーさんとともに外出から帰り、ハーネスを外して、脚を拭いてもらって家の中に入ったそうです。

その後、ユーザーさんは郵便を取りにポストに行きエルに続いて家の中に入り、しばらくしてエルがいないことに気付いたそうです。

エルが家の中に入ったと思っていたのが思い違いだったようで、郵便ポストに行っている間に外に出てしまったようでした。

それから、家の人たち近所の人たち、盲導犬センターのスタッフも何人か行き、夜も朝も昼もも総出で探し回ったけど、24時間見つからなかったそうです。

そして、翌日31日の夜、重傷を負って田んぼで倒れているエルを息子さんが見つけ、急いで夜間の動物病院に連れて行き、応急手当をしました。右前脚、右後ろ脚、骨折、お腹も傷ついていたそうで全身打撲の症状だったようです。

車か電車にはねられたのかもしれないというお話でした。

しかし、そこでは、処置しきれないくらいの大けがだったので、翌日、より大きい病院に搬送されて、手術を受けたようです。

1日に、盲導犬センターの方が様子を見に行った時の様子では、入っていくと頭を持ち上げてこちらを見たということで、まだ体力は残っていると思ったそうです。

この時点で我が家もエルの事故の連絡を受けました。心配でしたが、まさか逝ってしまうとは思わなかった。

でも、残念ながら、翌朝、エルは、天国に逝ってしまいました。

 

エルも何を考えてユーザーさんから離れて、ふらふらとどこかに行ってしまったのでしょう。どこに向かって走っていたのでしょう。冷たい田んぼの中でどんなに痛くて寂しかったかを思うととてもつらいです。

2日にエルが逝ってしまったという連絡を受け、夕方、神奈川の訓練センターに戻ってくるということで、娘2人を連れて盲導犬センターに出かけてきました。エビスママさんご夫妻も一緒に来てくださったのがありがたく心強かったです。

エルはたくさんの花や、おもちゃに囲まれて、家にいた時と同じ顔で横たわっていました。とても安らかな表情でただ静かに眠っているかのようでした。

私は、エルの身体の中で一番大好きだった場所、耳を何度もなでました。エビスママさんは、『エルちゃん、やっと痛くなくなって、自由になれたね、天国でいっぱい他の犬と遊んでもいいし、好きなだけご飯も食べていいよ。』と、声をかけてくれました。

末娘は、まだ死ぬということが理解できていないようで、エルをさわると冷たかったのでなぜ死ぬと冷たくなるのかと何度も聞いていました。エルのことを一番可愛がっていた長女は、静かに泣いていました。当時のパピー担当のSさんも来てくださって、エルの思い出を一緒に話しました。

 

昨日、エルの火葬に立ち会わせていただけるということで夫と出かけてきました。盲導犬センターの方が最後までエルと私たちのために心を尽くしてくださってありがたい気持ちでいっぱいでした。お骨も少し分けていただき家の庭の木の下に埋めました。エルはうちの庭がすごく好きでしたから。。。

 

実はこの1週間ほど前にユーザーさんとお電話で話すことができ、エルがユーザーさんご家族にすごく可愛がっていただいている話を聞き、では、おもちゃをエルに送りますねと話したばかりでした。エルはいい方と暮らしているんだなあと安心をしたところでした。

 

ユーザーさんは、ショックを受けておられ今はまだ混乱し、自分を責めつらい気持ちでいらっしゃるそうで、一日も早く元気を取り戻し、いつもの生活に戻っていただきたいです。エルがいなくなりどれほどご不自由な生活をしていらっしゃることでしょう。

エルは私たちの悲しみも知らず今頃天国でいつもの調子でのんびり過ごしていると思います。

私たちにとってもエルにとっても、嵐のように過ぎた濃密な2年間でした。こんな風にエルの犬生の幕を閉じることになるなんて誰が想像できたでしょうか。

エルを可愛がってくださったり、気にかけてくださったり、大事にしてくださった皆様、いろいろありがとうございました。

 

 

 


最新の画像もっと見る

20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (エビスママ)
2011-02-04 19:55:34
天使になったエルちゃん、とても安らかなお顔をしていましたね。

脚の手術にも負けず盲導犬デビューも早く
とてもがんばりやさんで可愛かったね。

短い犬生だったけど十分生ききったよね。

エルちゃんに会えてよかった。
エルちゃんが大好きだった。
エルちゃんに心からありがとう!ありがとう!

返信する
Unknown (シルクママ)
2011-02-04 20:45:16
悲しい知らせに驚きすぎて言葉を失っています。悲しくて涙が流れ落ちるままに書いています。
誰が悪いわけでもない、誰も責められない。。
分かっているけど、本当に切なくて胸が張りる思いです。
エルちゃんご家族やユーザーさんのお気持ちを思うと本当に言葉がありません・・・。
エルちゃん、、、。
手術を乗り越え、盲導犬にまでなって本当に頑張ったと思います。
駆け足で沢山の経験をしたんですね。虹の橋で元気で走り回ってるでしょうか。
どうか安らかに眠って下さいね。
エルちゃんのご冥福を心よりお祈り致します。
返信する
Unknown (イプマム)
2011-02-05 00:04:05
誰が悪いわけじゃないから、誰も責めることができず行き場のない想い。
何故? どうして! って気持ちでいっぱいだと思います。
本当に悔しいです。
南関東とは違って、きっと寒い夜を過ごしたのでしょう。痛みと寂しさと戦って一晩頑張ったのでしょう。 それを思うと可哀想で・・悲しくて涙が止まりません。
見つけてもらった時はエルも嬉しかったでしょう。
そして、『大丈夫だよ! 頑張るよ!』って 首を持ち上げてみたのでしょう。
その頑張りも虚しく逝ってしまったエルちゃん。
協会で見た穏やかな表情、最期は苦しまなかったんだ、動物は人より痛みに鈍いと思いたいですね。
いつ事故に遭ったのか分かりませんが、それまでは自由を謳歌して楽しんでたと思いたいです。

ユーザーさんがご自分を責める気持ちはよく分かりますが、誰もが起こしかねないミスによる事故なのだから、自分を責めずに元気になって欲しいです。
ユーザーさん、お辛いでしょうね。
エルママさんご家族も・・・ 元気を出してくださいね。 
人間より寿命が短いと覚悟はしていても、こんなに早くに逝ってしまうなんて・・・
ついこの間盾が届いたばっかりなのに・・
せめてもの救いは、手を離れた後ということ。今でもどこかで元気に歩いてるように思いませんか? イプサムの時がそうでした。 

写真のエルちゃんを見ると辛いです。
エルちゃんも クリクリお目目の美人さんですよね。

今頃は、イプサムや諸先輩犬たちと ガウガウしているでしょう。怒る人(訓練士)がいないからいつまでも・・

長くなってごめんなさい。

エルちゃんのご冥福をお祈り致します。
安らかに眠ってね。
返信する
Unknown (てらママ)
2011-02-05 00:32:30
久しぶりにmixiからブログを見にきたら、こんな悲しいお知らせなんて、涙が止まりません。
昨日、ニルスはキャリアチェンジになったと知らせがありました。どこに行っても、わが子同然に育てたパピーが、楽しく幸せに暮らしてくれれば、一緒に暮せなくても我慢できるというもの。
こんな悲しい別れもあるなんて。
でも、きっと今は天国で、楽しく幸せに暮らしていることでしょう。
エルママさんもどうかあまり気を落とされないようになさってくださいね。
エルちゃん、ありがとう、さようなら。
返信する
エルママさんへ (ジーナチビ指導員)
2011-02-05 14:03:12
こんにちは。ジーナチビ指導員です。

私も、エルちゃんが天国に行ってしまったなんて、信じられません。

けれども、天国で、元気に暮らしているといいですね。

ジーナに、エルちゃんの分まで、がんばってほしいです。

返信する
エル安らかにお眠り下さい (ケン)
2011-02-06 11:34:42
エル、3か月という短い盲導犬生活でしたが、お疲れ様でした。
家内から訃報を聞いて、すごい悲しかったです。会議に向かうため、車を運転中に涙が幾度となく頬を伝わりました。
大けがをして一人でいた冬の田んぼは、寒かったと思います。そう思うと辛いです。
三鷹の家が線路に近かったので、もしかしたら、線路を歩けば三鷹に帰れると思ったのでしょうか。
これからはいつでも、天国から私たちの周りに
遊びに来てください。
実は、先週月曜日1/31の昼、会社の食堂で並んでいるときに、座っているのも辛いくらいの、急に激しい目まいがしました。
もしかしたら、嫌な予感がしたのかもしれません。
エルとの思い出は、忘れません。
エル、安らかにお眠りください。
返信する
エル安らかにお眠り下さい2 (マイ)
2011-02-06 12:15:15
ケン(↑)の妻マイです。
エルが来た翌日に早速、子犬だったエルを見に行ったことが昨日のように思い出されます。

2/2の水曜日の午前10時にエルが亡くなったというメールを貰って、その日は、ケンちゃんも泣いていたし、私も翌日には瞼が腫れるほどまでに水曜日は終日悲しみました。

エルは、まだ、よく知らない寒い土地を夜さまよって心細かったと思うし、一体どこに行こうとしていたんだろう・・好奇心で線路の中に入ってしまったのだろうか・・?この線路を頑張って辿って行けば、一年可愛がってもらった三鷹の家や、横浜の訓練センターに辿り着けるとか考えたのでしょうか・・。

せめてお顔が安らかで眠っているようだったと聞いて、安堵しています。
皆に可愛がられて、惜しまれて逝って丁重に弔ってもらって・・せめてもの救いでした。

エル・・本当にお疲れ様でした。



また・・余談ですが、日本では年間30万匹以上の犬・猫が罪もなくガス室で殺処分されています。
動物は言葉も発しないし我慢強いし、純粋です!!
私が犬や猫を飼うときは、動物愛護センターへ行き、人間の身勝手さで捨てられた不幸なペットを救いたい・引き取りたいと思っています。


返信する
エビスママさま (エルママ)
2011-02-07 09:21:37
 先日は一緒に盲導犬センターに行ってくださってありがとうね。それにお土産までいただき、家族中、慰められました。エビスちゃんは、エルの分まで、長生きしてほしいなあ。
返信する
シルクママさま (エルママ)
2011-02-07 09:23:58
 コメントありがとうございます。エルは、2年間という短い犬生だったけど、幸せだったと思いたいです。本当に寂しいです。
返信する
イプマムさま (エルママ)
2011-02-07 09:28:17
 エルに対してどうしてという気持ちでいっぱいです。
 虹の向こうで、イプサムくんに新しい生活の仕方いろいろ教わっているんじゃないかなあ。しばらく向こうでゆっくりして、今度生まれかわるときは、天国でしっかり訓練してから、生まれ変わってほしいです(*^_^*)
返信する