心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

三国山・生藤山 カツラの巨木と新緑の縦走路 

2022年05月02日 | 奥多摩・高尾・陣馬


三国山(960m)・生藤山(990m)・熊倉山(966m)


 「笹尾根縦走路」を広くとらえると、奥多摩の三頭山から槇寄山・浅間峠・三国山・陣馬山・景信山を経て高尾山まで尾根伝いに一本の登山道でつなぐことができます。距離は30kmあります。その中で、浅間峠から三国山までおよそ3kmの区間だけ、歩いたことがありませんでした。
 出発が遅くなったので、三国山へ最短で登れそうな軍刀利神社まで、中央線の上野原駅からタクシーで送ってもらいました。国道20号線を左折して県道へ入ると境川を渡ります。細い川ですが山梨県と神奈川県の境界です。小さな橋の上に、県境を示す「神奈川県」の大きな標識があります。
 もう一度境界を通り、登山口の軍刀利神社は再び山梨県です。教えてもらわなければ読めなかった「ぐんだり」神社は日本武尊を祀り、「由緒沿革」には「永承三年(一〇四九)五月創立」とあります。手水舎では勢いよく湧水が流れ、ところどころ苔生した急な石段に趣きがあります。
 上がったところが本殿で大きな剣があります。「天屋建設記念碑 平成二十六年十二月吉日」という大きな石碑もあり、そんなに新しい建物かと思ったら、本殿をさらに覆う屋根が造られていました。本殿は小さく、みるからに複雑な彫刻が施されていました。


 さらに進むと奥ノ院で、カツラの古木があります。何本にも枝分かれしていて、高いだけでなく横にも広く、どこから見ても迫力のある木です。本州で見た木の中では、屋久島の巨大な杉に、一番雰囲気が似ている気がします。一本一本の枝は滝の流れを現しているようで、水は上から下へ流れるのに、このカツラの枝は上へと伸びます。万有引力に逆らうほどの力がある樹だと思いました。
 植林された杉林の中をつづら折りの道が続きます。左は軍刀利神社元社・右は三国山と示す分岐の標識に出ますが、どちらを選んでも三国山に着くことはできます。周りには桜の木はありませんが、桜の花びらがたくさん落ちています。左側を選ぶと、急な斜面に落ち葉が積もって登りにくいところもありました。
 三国山は名前の通り山梨・神奈川・東京の境になっています。全国各地にある三県境の中では、栃木・群馬・埼玉の三県境(東武日光線の柳生駅から歩いて10分)ほどではないものの、行きやすい方の三県境だと思います。
 とても狭い生藤山の頂上まで往復して三国山に戻り、東京と山梨の県境線に沿って浅間峠まで歩きます。
 途中、急な木段を登り切った場所に軍刀利神社元社があり、大きな鳥居と小さな祠が建っています。石碑には「~ 社殿が破却されたため今の奥の院の処に御遷宮されるまで祭典が続けられた処です ~」とあります。今日のコースでは、最も大きな平地が広がっているところでした。
 初めて歩く縦走路はとても明るく、アップダウンも少なくて歩きやすい道でした。すれ違う人はほんのわずかでした。
 浅間峠は8年ぶりに来た場所で、正方形のあずまやに見覚えがあります。ここから北へ、上川乗バス停まで1時間ほどの下りです。視界は広がりませんが、遠くの車道の音は聞こえてきました。西東京バスに乗り、瀬音の湯でかけ流しの温泉を楽しんで帰りました。







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【三国山から笹尾根を浅間峠へ】
 軍刀利神社11:40→三国山13:17→生藤山13:26→軍刀利神社元社14:04→熊倉山14:19→浅間峠15:21→上川乗バス停16:20
※眺望の広がるところは少ないですが、森の中を進む縦走路は新緑を味わうには最適です。距離も短目で、気軽に歩けるコースで、不明瞭なところ、分かりにくいところはありません。高尾山に登りに来たけれど他の山を歩いてみたくなったという時にまた来てみたいと思います。
 (体力●●○○○ 技術●●○○○) (登頂:2022年4月下旬) 



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