心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

知床半島・斜里岳(2)

2017年12月19日 | 北海道の山


斜里岳(1,547m) (つづき)

 斜里岳は、斜里町・清里町・標津町、3つの町にまたがっており、登山口は清里町にあります。まるで八ヶ岳の麓、山梨県の有名な観光地のような名前です。町のホームページを見ると、「清らかな里」と、「小清水村」・「斜里町」から分村した歴史からきたものとあります。主要農産物はじゃがいも、ビート、小麦です。日本全体のじゃがいも生産量は2,406,000t(2015年)でしたが、そのうち8割近くは北海道で生産されています。そして、清里町の生産量は北海道の市町村の中で第5位に位置しており、特産品を生かしたじゃがいもの焼酎もつくられているとのことです。


 登山口には立派な山小屋「清岳荘」が建っています。しばらく森の小径を下り、林道を歩くところまでは普通の山と同じですが、沢に出ると様相が一変します。沢と道がほとんど一致しています。沢のすぐ横を歩き、歩けなくなると水の流れる中を対岸へ移ります。要所要所にはテープが巻かれ、歩く方向は分かるものの、分かるまでに考え込むこともしばしばです。


 なるべく水量の少ないところ、少しでも足場の安定しているところを選んで沢を渉ります。底の深さを知るため、ここではストックが必須アイテムです。バランスを取るのにも役立ちます。普段ストックを使わない人でも、斜里岳には持っていく方が安全です。
 同じことの繰り返しで、水の中を歩くのにも少しずつ慣れてきます。
 スポーツでも、楽器の練習でも、反復が大切だといいますが、斜里岳では慣れれば慣れるほど、反復が面白くなってきます。


 後半に入ると滝がいくつか出現します。それも、上流に近づくほど滝が小さくなるのではなく、逆に大きくなっていくようです。当然正面からは登れないので、巻道を歩きます。その巻道も、足場の危なっかしいところが多く、これでも登山道かと驚くような場面が出てきます。流れの急なところは岩が磨かれているように見え、もし登山靴の底が滑ったらどうするのかと思います。反復の面白さも吹き飛びます。



 こんなにテンションが高かった登山は今までにありませんでした。写真はいつもの半分も撮れていません。今写真を見ると、よくあんなところを登ったなというところがいくつもあります。


 斜里岳の道は、登ったことのある日本百名山の中で、一番個性的な道のりでした。ここを歩くにはとにかく夢中になるしかないと思います。登山のこと以外、すべて忘れることができる道でした。

 (登頂:2017年8月上旬) (つづく)




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