心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

北海道・十勝岳 火山らしい火山の風景

2020年03月01日 | 北海道の山


十勝岳(2,077m)


「 新らしい火山は、大地の生命のしるしをあざやかに刻みつけているようで、その前に立つ度に、大地の鼓動が、自分の全身に伝わってくるような思いになる。 」(田中澄江『花の百名山』(文春文庫))

  初めて登った北海道の山が十勝岳でした。登山は登るごとに楽しいし、北海道旅行は行くごとに必ずいいことがありました。その2つが組み合わさった北海道の山は素晴らしいに違いないと思いました。
 十勝岳は、火山であること、昭和37年に大噴火を起こしたことくらいしか知りませんでした。「十勝」と言えば新得や帯広が思い浮かびますが、十勝岳の登山口へは富良野線の美瑛駅から行きました。十勝地方の山という感じがしませんでした。
 登山口の望岳台は標高およそ930mのところにあります。最初から登山らしい風景で始まり、50分で美瑛岳へ向かう道との分岐点に出ました。さらに避難小屋を過ぎると、緑がいよいよ少なくなってきました。
 緑はなくても雪はありました。8月なのに残雪が多いです。氷河のように続いている残雪もあります。熱く燃えるような火山にも雪が解けない場所があるのかと思いました。
 尾根を登り切ると美瑛岳が凄まじい威容を見せています。こんな姿の山は、本州では見たことがありません。
 火山礫だけが広がる台地で、1本の踏跡だけが細く白く続いていたのも忘れられません。
 頂上の眺望は素晴らしく、南の方角には富良野岳へと稜線が続いていました。やや遠くに、小さく円錐を見せる山があり、地図を見ると「下ホロカメットク山」と書いてあります。登山道はひらかれていません。今立っている十勝岳の山頂とは違い、濃い緑に覆われていました。
 美瑛岳の荒々しく複雑な火口では、あちこちの方向から向かってきたエネルギーが乱反射しています。
 対照的に、十勝岳はシンプルで、これ以上どこも削ぎ落とすことができないくらいの姿でした。自分自身をも焼き尽くそうとするほどの力に満ちあふれた、本当に火山らしい山だと思いました。






 (登頂:2013年8月上旬)



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