goo blog サービス終了のお知らせ 

Curse priest

Trigger Happy 出張所。D.Gray-manとシャドーハウスのネタバレ感想、アニメ感想を書いてます。

神様ドォルズ 7話 「追憶の肖像」

2011-08-17 20:55:38 | 神様ドォルズ

来たぁぁ、過去編!!!
作画危うしと序盤心乱れましたが、大丈夫でした。
阿幾ぃぃぃぃぃ!!!!!(号泣)

神様ドォルズ 7話 「追憶の肖像」

前回までは、お客さんに過ぎない日々乃から見た「明るい」「もっといたいわ」空守村でしたが、仮面を剥いだ本当の空守村の姿が今回。
匡平と阿幾、そしてもう一人の物語。

千波野(ちはや)という女教師が赴任してくる事から話は始まる。
「ちはや」とは荒海に吹く強風の事、つまり荒瀬の事をいうので、
停滞している村、また匡平や阿幾の運命を大きく揺り動かす事になる「大風」を
暗喩してるんだろう。
巫女服も千早というらしいが、うちの近所で「千早」と言えば海の難所だった地名。

阿幾の腹違いの義兄である篤史が今回のキーパーソン。
ひじょーーーに解りやすい小物の悪役(^_^;)
暗密刀の隻だけど、阿幾との才能の差は比べようもなく低い。
暗密刀が音痴になってるよ(笑)
まっすぐに立たせる事も出来ず、阿幾から嗤われる始末。
せっかく阿幾から隻の座も奪い取ったのに、ロコツにチンピラで、仲間と徒党を組んで、
犬をいじめたり、女に手を出すゴロツキ。
父親は愛人作った上、早死にしてるので、母親が甘やかしたかね??

村の評判は悪いのに、枸雅家の一員であり、隻の特権もあるのでやりたい放題。
弱者には口うるさく居丈高なお社が何故こんな奴を野放しにしてるか解らないが、
お社の面々も昔はこーだったのか、若気の至りで知らぬ振りなのか。
なかなか土地から離れられなかった昔ならともかく、特権階級にない村人が
村を嫌になって、過疎化が進んでるのも、これが理由の一つだと思うな。

千波野はそういう奴に因縁をかけられてしまった。
過疎のせいで若い女がいないのも、目をつけられる要因になったし、
阿幾をかばったのも癪に障ったんだろうな。
匡平と玖吼理にやり込められたのも腹立ったろうし。

その時助けた縁で、千波野が初恋の人になった匡平と、
助けた犬は最後まで面倒見ろと、世話を押し付けられた阿幾。
まだ、中学生だよ、二人共。かわいいのー。
匡平はいかにもボンボンだし、阿幾は世間をひねてる少年て感じ。
今よりもっと一方さんに凄く似てるけど、気にしなーい(笑)
原作者曰く千波野は「犬に「ノォノ」(現代音楽家)とつけるような面倒臭い女性」って
設定らしい(笑)

千波野は音楽を子供に教えるいい先生だったんだけど、篤史の「俺の女になれ」って
強引な誘いを拒んだことで、村での立場をなくしていく。

女になったらなったで、捨てられた時、それこそボロカスに言われると思うんだが、
「村のやり方」にそぐわないから不適合者の烙印をすぐさま押されるのが、
この村の怖い所。

そして、そのやり方は露骨にひどい。
「父兄と不倫してた」と黒板に書く。
悪い噂を流す。
教え子に先生の授業を受けないようさせる。
買い物するのもいい顔をしない。

噂は何やらは篤史達の仕業だと皆解ってるのに、村人は総ぐるみで千波野が
悪女だという風に、穢れそのものとしてしか扱わない。
「いじめ、ダメ絶対!!」なんて、この村では通用しない。

篤史のやってる事を止めずとも、牽制くらいはお社も出来た筈で、
村人が従ってるのは、恐らくこのいじめ自体がお社の指示じゃないかと思われる。

つまり、過疎で若い女がいない事で荒れてる篤史をなだめる為、
千波野は最初から「嫁もしくは愛人」にする為あてがわれた女なんじゃないかな。
千波野自身が知らなかっただけで、国会議員もいるし、教員の派遣に口出ししたんだろ。
「美人だけど問題がある女教師」ってのも、最初から逃げ場ない女にした理由だろうし。

だから、篤史様のご意向に沿わなかったのを、いじめで追い詰めてんだろうね。
意志を曲げるように。
篤史でなく、阿幾に近付くなと、わざわざ念押ししてるのも、阿幾を「魔性の子」
呼ばわりして気持ち悪いように思わせるのも、いかにも牽制だ。

匡平のパパが最初からこの件に関し、匡平が文句言っても投げっぱなのは、内情を知ってたんじゃないかな。
当然、子供以外にそこら辺は匂わせてあるだろうし、過去にも例があったんだろ。
外部の血は入れないといけないから。

ただ、匡平は中学生でそこらへんの習いは知らなかっただけで、東京に行ってまで、やはり
村出身者の娘である日々乃をあてがわれたのも、千波野と同じ理由だと思われる。
これも「お社の指示」ですからね。志波のおじさんに対して、一緒に住まわせろと。
おじさんが日々乃と匡平に言わないだけだろう。
匡平は日々乃に惚れたからいいけど、お社の意に沿わない女性とくっついたら、
村に連れてこようものなら、総出で嫁いじめが始まるんじゃないかな。


そういう事情を知らない匡平の初恋は空回り。
先生を篤史の魔の手から必死に守ろうと、玖吼理まで持ち出してくるけど、
まだそこまで追い詰められてなかった頃なんで、千波野から
「先生、特権を振り翳すのは好きじゃないな」と軽くあしらわれる。
まぁ、確かにやってる事は篤史と一緒な訳だし(^_^;)
父に介添えしてもらおうと思ってもダメ。
阿幾にも「玖吼理なしじゃ何も出来ないのか?」と揶揄される。

まー、しょうがないよねー。中学生なんだし。
必死でやってるつもりでも、村の誰の心も動かせない。
(大学生になっても、未だにそうだから困る(笑)

しかし、千波野の立場は瞬く間に悪化。
一夏の話なんで、いかに最初から村からシャットダウンされたか。
こえええ、村こえええよ。


「諦めて俺の女になれよ」

すっかり凹んだ頃だろうと頃合を見計らって篤史はまたもや千波野に粉をかけるが、
バレてるから、きっちり拒絶される。当然だわな。
仕方ねぇ、力ずくだ!と襲おうとした所を、ノォノと阿幾から救出される。
うーむ、何処までテンプレな悪党なんだ(笑)

千波野は阿幾を自宅に招き、礼を言う。
そして、何故この村に赴任してきたか理由を話す。

昔、父子家庭の世話をしてるうち、父親とねんごろになってしまったこと。
それを小学生の息子に見られてしまった事。
ショックの息子は車に撥ねられ、それが原因で教師を辞める事になってしまった。

ケチがついた教師は誰も雇ってくれず、この村しか職の当てがなかったらしい。
教師以外にも仕事はあるんじゃないかと思うがー(^_^;)
お社の臭い匂いがプンプンしますが、村の軽い説明だけ受けて囲い込まれた以上、
もう千波野が逃げる当てはない。

そう話しながら、阿幾は千波野の目が欲情してる事を知る。
阿幾にキスする千波野。

でも、それが阿幾を好きだから、という理由ではない事を阿幾は知っている。
千波野は言う。
阿幾は自分と父親の現場を見た時の少年と同じ瞳をしていると。
「魂が砕けた瞳」「何も見てないからっぽの目」
千波野が阿幾に惹かれるのは、その子に自分を重ね合わせているからだ。

だから、キスしてきた千波野に阿幾は平然と言う。

「そのガキの代わりにオレ相手に腹いせかい?
 随分、セコイんだな」

見抜かれて、千波野は顔を赤らめる。
「イジワルね」
だが、千波野の勢いは止まらない。
阿幾を押し倒しながら、言い放つ。

「そうよ、腹いせよ」


中学生の男子を女教師が襲う。
逆でなくても、犯罪です(^_^;)
ここらへん、規制があるけどどーするかなと思ってたけど、きっちりヤリましたね(笑)
でも、これをカットしたり、変更は出来ない。

匡平は千波野を憧れの初恋の人として、崇拝視してるけど、阿幾にすれば、
村に排斥された弱い普通の女性に過ぎなかった。
必死で自分を保とうとして、表面は気強く振舞ってたが限界が来ていた。
でも、他に縋る人がないからといって、中学生を押し倒すのはどーやろって思う(笑)
父子家庭の男性とデキたのも確かに不倫じゃないけど、時と場所を考えてなかったってのもあるし。
でも、その場の勢いってあるし、千波野は天涯孤独で、誰かに縋っていたい女性じゃなかったのかね。
彼女が阿幾を押し倒したのは、ただ突き抜けるように淋しかっただけなんだろう。

篤史も最初から紳士的に接すれば千波野も心を開いただろうに。
匡平と同じくいいとこの坊ちゃんのくせに、態度が徹底してゴロツキだからなー(^_^;)


阿幾は彼女の打算や弱さを知っていて、拒まず、受け入れた。

これが匡平なら誰かの代わりにされるのは絶対ダメだろうな。
少年の潔癖性から考えて。

そこが阿幾と匡平のとの差であり、千波野が阿幾を「対等な相手」として選んだ原因だろう。
匡平はぬくぬくとした坊ちゃん育ちだが、妾の子である阿幾は否応なく一人で生きていくしかなく、早く大人にならなければならなかった。

匡平が阿幾から先生の事で挑発された時、あんなに怒ったのは、阿幾に先生を寝取られたからではなく、あの夏に決定的な差がついていたと思い知らされたトラウマによるもんだろう。
匡平は最強の隻だけど、未だに少年の影を引き摺ってるし、大人にはなり切れない。
阿幾は匡平が最強だと知ってるが、それで自分が劣ってるとは思ってないし、
完全に大人にはなってなくても、少しだけいつも匡平の先に立っていて、匡平にだけ拘り続ける。

だから、匡平に日々乃がいようが、阿幾に千波野がいようが、二人の関係は揺るがない。
精神的なライバルなんだよね、何処までも。

千波野と寝て、「一緒に遠くに行きたい」と誘われたが、阿幾はその手は拒む。
彼の視線の先にいるのは、いつも匡平で、千波野も本当に阿幾を愛してる訳ではない。
ただ、ほんのひとときのぬくもりを交わしただけだ。
だから、どうしても暗密刀を取り戻さねばならない。
匡平と共に立つ為には。


「何か妙な事になっちまったなぁ」
阿幾は匡平の気持ちを知ってるし、村全体の空気も解っている。
でも、それでも孤独だったからこそ、人同士のぬくもりを知ったのは悪くなかった。
そして、犬のノォノは人の世界の隔てなど飛び越えて、阿幾を慕ってくれている。
阿幾がこの村で心から笑えたのは、この瞬間だけだったろう。

この笑顔を見て、靄子が一目惚れしてしまうのもしゃーないよなー(笑)
まさに天使。日々乃が泣くほど綺麗なんだもん。

アニメじゃ最初からちょっと気になる男の子と意識してるっぽいけど、
原作じゃ最初は「嫌われ者」を見る目で敬遠してたのよね。
阿幾に一目惚れしたのは、この瞬間です。

しかし、阿幾が千波野とデキての、すっきり顔だと思うと、何だか複雑だ(^_^;)

だが、二人がデキた事はすぐ村中に知れ渡る事になる。
校長から千波野は閨での写真を突きつけられ、クビを宣告される。
もちろん、写真の出所は知らされない。
うわあああ、ひでええええ(-_-;)

篤史の為に用意した女が、注意したにも関らず阿幾とデキちゃったんだから、
村としては表面的には不要って事か。
何かもう決められたコースみたいに落ちていくなー、先生は。

そんな訳で村を出る決意をした千波野だが、荷造りしてる夜、庭でノォノの吠え声が悲鳴に変わったのを聞く。
庭に出た彼女の前に飛び込んできたのは、大鎌で切り殺された愛犬の死体。
慄く彼女の背後に立っているのは暗密刀と篤史。


千波野の家を訪れた阿幾はノォノの死骸を発見する。
自分を無条件で慕ってくれた唯一の犬を思わず抱き締めた阿幾は、その腹の下に
血まみれの書置きを発見する。

「女は預かった。返して欲しくば、お社の参拝所に来い」

お社は関係者でないと入れません。
匡平も隻でなくなったら、入れないのです。(原作では)
そこで篤史が待つ理由は、やっぱり篤史とお社は繋がってたって事ですな-。

阿幾は必死に夜道を走る。
ひと時だけの僅かな関係かも知れない。
でも、彼女はぬくもりを与えてくれた。
冷たすぎるこの村で彼らは二人きりだった。
だが、それは完全に崩れた。
ノォノの死で始まった夜はまだ始まったばかりだ。

「もうこの女はお前だけの女じゃねぇ」

下着姿でぐったりした千波野と共に仲間たちと篤史は待っていた。
篤史は阿幾を脅し、屈辱の日々を語るが阿幾は動じない。
その事が篤史を逆上させると解ってもだ。
篤史のようなクズにへりくだる心は持たない。

かといって、孤立無援で隻でもない阿幾に反撃する手立てもない。
匡平を巻き込む気にもならなかった。
これは千波野と阿幾の問題なのだ。
自分に出来るのは、運命を受け止めるだけだ。
目を閉じず、死を見据える。最後のその瞬間まで。

だが、暗密刀が刃を下ろそうとしたその瞬間、千波野が踊るように飛び込んできて彼をかばった。
「うれしい…来てくれて…」

その一言を残して。
千波野も篤史達に輪姦されて、この村に呼ばれた本当の訳を悟ったのかも知れない。
この先の運命も。

でも、阿幾は来てくれた。
あの子は自分の浅ましさを知って逃げ出したが、同じ瞳を持つ少年は彼女を助けようと
危険を顧みず、来てくれた。
それだけで私は救われた。
だから、死なせたくない。
そう思った瞬間、身体が動いていた。茫然とする阿幾の脇を滑り落ちるように。

頬にかかった血を拭いながら、阿幾は千波野を見下ろす。
阿幾はこの村から出られない。
だから、自分をかばう必要などなかったのだ。
彼女を助ける事もできない自分など。

それなのに、うれしいと言った千波野。
遠くに二人で行く事を望んでいた千波野。

どれも泡のように儚くて、絶望しかない場所から発せられた言葉。
なのに、どうしてこんなに心が痛むのだろう。

「バカな…女だよ」
思わず阿幾はその血に濡れた手を握り締める。

「バカ案山子、言うことを聞けよ!」
まともに制御もできない篤史は怒鳴り散らす。
まるで責任は暗密刀にあるように。
仲間達も動揺する。
阿幾は厄介者だが、あくまで枸雅の人間だし、元隻だ。
ちょっと痛めつけて、立場を思い知らせるだけ。
そう篤史に聞いていた。
美女の相手もできるおいしい役得もあるから従った。

だが、さすがにシャレにならない。
千波野を篤史が殺してしまった。
聖域を、お社を血に濡らした。
この場に立ち会ってしまったのだ。最悪だ。

それでも、篤史は「うるせぇ」と一喝する。
噂は流してある。
傷が大きすぎるかも知れないが、心中に見せかける事は出来るだろう。
今まで散々悪さをして、何とかお咎めなしで来た。
今回だって切り抜けてみせる。
お社の力を借りれば。

「くたばれ」

篤史は暗密刀に今度こそ阿幾を殺せと命じる。
阿幾は暗密刀を見つめる。
奪われた、たった一つの自分の力。
何もくれなかった村が唯一与えてくれたもの。
心をかつて共にしたもの。
自分の存在理由。

暗密刀に殺されるなら、いいのかも知れない。
刃が食い込む瞬間だけ、また一緒になれるから。
だから、阿幾は暗密刀を見つめる。

だが、千波野の血の匂いが、ノォノの死が、
そして、匡平の存在が阿幾を死への誘いを踏み止まらせる。
死の運命を受け入れるのをやめる。

自分はここで終われない。
まだ終ることなど出来ない。
何もなさないままで。

阿幾は思わず暗密刀に手を翳す。
止まれとも、やめろとも念じない。願わない。
ただ、自分の死の運命の執行を静止しろというように手を翳す。

その動きに呼応するかのように暗密刀は静止する。
その瞬間、阿幾は気づいた。
あの「感触」が戻ってきた事を。
案山子と心を共にする、あの高揚感が手の内にある事を。

「暗密…刀、俺のいう事を…?」

信じられない。
主の書き換えが終らない限り、案山子は主を違える事はない。
ただのからくり人形なのだ。森の木で出来たそれだけの。

だが、その瞬間、阿幾は案山子が神の抜け殻と呼ばれる所以を知った。
案山子にも意志があるのではないのか。
心を持つのではないのか。
暗密刀が篤史を見限り、阿幾を再び選んだ理由はそうとしか説明できない。
その衝撃に阿幾は陶然となる。
暗密刀の蓄積した膨大な人間どもの心の渦に、凶暴な波に自分も共鳴していくのを感じる。
溜め込んでいた破壊の大河の決壊を促すために。

そこにお社に詰めていた人々が駆け込んでくる。
最悪な事が起こってから、大量に現れるって本当にお約束だよね(-_-;)
ホントは騒ぎを起こしたのは問題児の阿幾と千波野の筈で、それを糾弾する「目撃者」の予定だったんだろうに。
篤史もその為の「言い訳」は山程用意していたんだろう。

だが、あくまで篤史が暗密刀の隻であるという前提の下での事だ。
阿幾と暗密刀が殺ったと言い訳しても通る話ではない。
阿幾は先生殺してないしね。
お社の人々も篤史も大混乱。事態はカオスに。

そして、「とにかく、阿幾。お前はこっちに来るんだ」と暗密刀を引き離そうとした瞬間、
阿幾の中の荒れ狂う荒瀬は防波堤を突き崩し、正気を粉砕する。

そして、全ては紅に彩られる。
破壊。破壊。破壊。
阿幾を、千波野を潰し、支配し、壊そうとした全てを破壊する。
リバウンドのように溜め込まれたそれはそれ以上の濁流になって全てを押し流す。

後に残ったのは暗密刀を前に立ち尽くす阿幾ばかり。

その悪夢に匡平は踏み込んだ。
全てを殆ど知らず、関れなかった部外者として。
匡平は先生の死体を見た。
惨劇の場にへたり込んだ。

「お前が殺ったのか?」

その問いを阿幾は否定しなかった。
助けられなかったのだから、殺したも同然だと阿幾は思った。

その姿を匡平は苦々しげに見つめる。
先生が死んだのに、こんなに人が死んでいるのに、むしろ、楽しそうだった。
罪悪感のかけらもなかった。
全て、元通りになった。取り戻したと。
やっと「お前と」共に、そう笑う阿幾の笑顔は狂気が浮かんでいた。

だから、殴った。
先生を殺した。
その怒りのためだと最初、思った。
だが、怒りは収まらず、興奮は高まるばかり。
制止する村人にも激情は向けられ、詩緒にも玖吼理で襲い掛かろうとした。
それを阿幾は高笑いしながら、お前と俺はやっぱり同じだ!と叫んでいた。

その通りだ、と思った。
詩緒が玖吼理を止めた時、思い知った。
事態に乗り遅れたから、阿幾に激情を向けているのだ。
阿幾は受け止めてくれるから。
自分より上だから。
その矛先を阿幾だけでなく、周囲にも怒りのまま弾けさせる。

同じなのだ。
ただ、人が死ななかった。それだけだ。
だから、自分は玖吼理に見捨てられたのだ。
玖吼理は詩緒を選んだ。

そして、匡平は自分のうちに潜むものを恐れ、そのまま隻を辞めた。
阿幾は座敷牢に入れられた。
阿幾は暗密刀と感応し、隻の資格を取り戻したが、大量殺人者を隻と認める事は出来ない。
忌まわしい子である事は変わらなかった。
そうなった責任については誰も言及せず、問題にされず、阿幾の処遇は決まった。


匡平はノォノを埋めながら、泣いた。
千波野の死を、喪った恋を、理不尽な村を、自分の無力さを、阿幾との複雑な感情を、過ぎ去る夏を埋めようとして、それがどれもかなわなかったことを泣いた。
自分は余りにも子供なのだと泣いた。
阿幾が闇に沈んでしまったことを泣いた。

「阿幾が先生を殺したんじゃないと、後で聞きました」

匡平はそう言って、雨が止みましたねと話を終えた。
日々乃は一筋の涙が頬を伝うのを感じる。
それは恐らく靄子が見せた心のかけら、阿幾の笑顔を思い出したからだろう。
みんな、失われた。
もう取り戻せない夏の日々を思って。


序盤の作画が「…………」でしたが、力ずくで何とか話をまとめましたね。
石川さんの新しい挿入歌が嬉しかった!
でも、やっぱりカットしたシーンも多々あって、一番痛かったのは
阿幾が座敷牢に入れられる間際「一つだけ頼まれてくんねーか?」と匡平にノォノの
埋葬を頼むセリフ。

散々自分を殴った相手にこう言えるのは、二人の友情は変わらないから。
そして、阿幾が誰かに頼みごとが出来るとしたら、匡平しかいないから。
真夏に死んだ犬が放置されても、禁忌のある家は誰も片付けないし、近付かない。
それがこの村の冷たさを恐ろしいほど物語っている。
阿幾はそれを知っていたから、匡平に頼んだ。

そういうのが凝縮されたセリフなんだけどな。
阿幾の笑顔で締めてくれたのはいいけど、その一言がないのがとても残念だったよん(泣)

匡平が何故この惨劇に立ち会ったのかもカット。
戦闘能力に特化してるせいか、隻同士の探知能力はポコペンな匡平ですが、
何故か阿幾の時だけは夜中に急に目が覚めて、胸騒ぎがして出かけてるのよね。
気配を読むのは最低ランクのくせに、阿幾だけは別らしい。
ちくしょー、カット残念(泣)

靄子もちょっと変わってたね。
最初から少しだけ阿幾を意識してるみたいな顔になってた。
むしろ、村の嫌われ者だと噂を鵜呑みにしてた相手をあの笑顔で、感情が一転する瞬間が好きだったんだけどな。
視聴者には解りやすい方を選んだか。
「あいつ(阿幾)が村であんたとだけ仲いいのは昔からでしょうが」
と、匡平に言うセリフもカット。
ちょっとやっかみも入ってるし、匡平たちの関係を教えてくれるセリフなんだけどー。

日々乃さんの涙はちょっと余計臭い。
靄子の感情に共鳴して泣いたってのも考えられるが、それだと東京の図書館で阿幾との再会でのセリフと噛み合わないんだけど。
日々乃は他人のトラウマに無遠慮な女なんだけど、ここで泣いたら、恐らく阿幾にあんなセリフは投げつけないと思うから。
感情移入は匡平に対してだけで充分じゃないか?

アニメじゃ、日々乃はいい人で心の綺麗な女性で通したいんだな。
原作じゃ出来過ぎてて、善良な優等生過ぎるし、人間的な面白みに欠けるので、そういう欠点もあった方がいいと思うんだけど。
俺は日々乃の巨乳に全く興味ないしね(笑)

過去編は時代劇ならマジで「よくある話」なんだけど(特に必殺 笑)、あえて少年を話に絡めたのがよかった!凄く深いしね。

OPもEDも全面カットでこの過去編に凄く力を入れたのがよく解りました。
阿幾ファンとしちゃ天国でしたよ。ごちそうさま!
今回、一番かわいそうなのは、やっぱり犬のノォノだよな。
匡平が動かすと、やっぱ玖吼理の声は野太いのかー(^_^;)
しかし、阿幾と匡平のセリフカットが…(まだ言うか(笑)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。