武は廃墟探検マニアだった。
浮遊霊が出ると有名な病院の跡地を週末の夜一人で訪れた。
マニアの中でも有名な建物で行かないほうが良いという書き込みがあった。
懐中電灯を片手に後はビデオをもってゆっくりと前に歩き始めた。
最初の通路を右に曲がった時の事だった。
女性の顔がビデオに鮮明に映ったので、武は思わず腰を抜かしてへたり込んだ。
恐怖で声が出なかった。
その女は そんな武の方に近づいてきた。
「助けてーくれー頼むから・・・。」
すると女は武にこういった。
「私は幽霊ではないわよ。だから不幽霊・・・・といえばいいのかな」
武は 落ち着くまでに時間がかかりようやく立ち上がった。
「あなた 廃墟探検する資格はないわ・・。私と握手してみて」
武が恐る恐る手を伸ばした時 冷たい感触を感じた。
「建造物不法侵入の現行犯で逮捕します。はいきょしゅしなさい」
おしまい