アイヌ民族関連報道クリップ

アイヌ民族・先住民族関連の報道クリップです。各記事の版権は発信元にあります。

■ 白老・アイヌ民族博物館30周年記念誌を発行(室蘭民報)

2014-11-08 00:00:00 | アイヌ民族関連
■ 白老・アイヌ民族博物館30周年記念誌を発行
【2014年11月8日(土)朝刊】

 白老・アイヌ民族博物館(野本勝信代表理事)は、開館30周年記念誌(A4判、64ページ)を作製した。収蔵資料、調査研究、展示、出版、普及事業、古式舞踊公演、伝統儀式など30年の活動状況を伝えている。500部作製、関係者・機関に配布する。



 1984年(昭和59年)の開館式の様子を「テープカット、くす玉を割り、参列者一同で完成を祝う。北欧フィンランドのラップ民族のサーメ議会第2副議長ら3名も開館式に参列、歓迎を受けた」と記している。2011年(平成23年)の天皇陛下視察・御前講演は「陛下は伝統的家屋チセでムックリ(口琴)の演奏やイヨマンテ(クマ送り)の踊りなど古式舞踊を、拍手をしながら見入った」などとつづっている。

 民具や音声、映像などの調査研究を時系列で掲載、企画展や特別展、出版物、普及事業、定時・臨時の古式舞踊公演、イヨマンテやチセノミ(建築儀礼)、コタンノミ(集落の祭り)、シンヌラッパ(先祖供養)など伝統儀式についても時系列で網羅した。

 組織の現況を、写真を交えて掲載。野本正博館長による巻頭の「開館30周年を迎えて」は「今後も世界に向けて広く開かれた博物館として更なる飛躍を目指すために、皆様方の益々のご支援、ご協力を申し上げたい」と結んでいる。
(富士雄志)

http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2014/11/08/20141108m_08.html

民俗芸能一堂に会しフェス開催/釧路(釧路新聞)

2014-11-07 00:00:00 | 催し物の記事
2014年11月07日
民俗芸能一堂に会しフェス開催/釧路

  地域の伝統文化として受け継がれている民俗芸能を一堂に集めた第1回イコロ民俗芸能フェスティバルが9日午後2時から、釧路市阿寒町阿寒湖温泉の阿寒湖アイヌシアターイコロで開かれる。主催は関係団体で組織する阿寒湖温泉アイヌ文化推進実行委員会(大西雅之会長)で、文化庁の補助事業として初めて実施。釧路管内のアイヌ文化保存会などの6団体が貴重な伝承文化の数々を披露する。

http://www.news-kushiro.jp/news/20141107/201411072.html

色丹島にアイヌ集落跡地 学術交流訪問団発見(読売新聞)

2013-06-04 00:00:00 | アイヌ民族関連
色丹島にアイヌ集落跡地 学術交流訪問団発見

 北方4島とのビザなし交流事業で色丹島を訪れていた学術交流訪問団が3日、根室市で記者会見を開き、同島で新たにアイヌ民族のチャシ(とりで)や集落の跡地を発見したと発表した。

 訪問団は5月31日に根室港を出港し、今月1、2日に色丹島内の遺跡を視察した。同島西側の海岸線沿いでは、竪穴式住居の跡が20戸以上集まった縄文時代以降の遺跡を見つけ、チャシも4か所で確認した。

 第2次大戦の終戦後までアイヌ民族が住んでいた集落の跡地についても、ロシア人島民の証言などを基に、斜古丹地区にあったと特定した。学術交流訪問団の右代(うしろ)啓視(ひろし)団長(54)は「調査を続け、当時の集落の写真なども集めたい」と話した。

     ◇

 同じ日程のビザなし交流で色丹島を訪れていた元島民らは3日、根室市での記者会見で、親日的とされるロシア人島民との交流を評価した。同島出身の得能宏団長(79)は「小中学校では日本語の習得がより積極的になっていた。互いに良い島にしようという共通理念に到達している」と振り返った。

(2013年6月4日 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/news/20130604-OYT8T00042.htm

北海道・アイヌ民族博物館で、アイヌ料理や音楽が楽しめるイベント開催(マイナビニュース)

2013-05-30 00:00:00 | 催し物の記事
北海道・アイヌ民族博物館で、アイヌ料理や音楽が楽しめるイベント開催
OFFICE-SANGA  [2013/05/30]

チュプカムイノミの様子

北海道白老郡白老町のアイヌ民族博物館で、アイヌの儀式「チュプカムイノミ」が開催される。日時は6月1日(土)9時~9時30分まで。入場料は、大人750円、高校生550円、中学生450円、小学生300円。

同儀式では、ポロチセ(伝統家屋)を会場に、村人の健康を自然の神々に祈願する。自然神をあがめるアイヌならではのもので、"チュプ"は太陽を、"カムイ"は神を、"ノミ"は儀式を意味するという。

そのほか、同館では「ポロトの週末」と題して、各種イベントを開催。「湖畔のキッチン」では、伝統的なアイヌ料理を湖畔に設置されたキッチンで調理して味わえるという。また、アイヌ伝統楽器トンコリの音色を楽しめる「ポロト湖の響き」、アイヌの祭礼、世界観について語る「エカシとの語らい」なども実施する。

アイヌ語を覚えていくと楽しさも倍増!

同館は、建物の名称や儀式名、楽器名など、聞きなれないアイヌの言葉があふれている。良く使われる言葉には、「イランカラプテ=こんにちは」、「イヤイライケレ=ありがとう」、「チェプ=魚」、「チカプ=鳥」、「エカシ=長老」、「スイ ウ ヌカラ アン ロー=また会いましょう」などがあるとのこと。

http://news.mynavi.jp/news/2013/05/30/206/index.html

アイヌ人骨“発掘”研究の実態は依然不明――北大のずさんな管理が発覚(週刊金曜日)

2013-05-07 05:45:00 | 事件・差別問題・領土問題など
アイヌ人骨“発掘”研究の実態は依然不明――北大のずさんな管理が発覚

2013 年 5 月 7 日 5:45 PM

北海道大学を提訴した原告たち。北大は裁判所に「訴えの棄却」を求めている。(撮影/平田剛士)
 北海道大学は三月二八日、「北海道大学医学部アイヌ人骨収蔵経緯に関する調査報告書」を公表した。

 一九三〇年代以降、同大医学部の人類学・解剖学者らが先住民アイヌの墓地などから大量に掘り出し、現在も学内に保持し続けている遺骨について、同大として初めて本格的に調査。約一八〇ページにまとめた。

 しかし同報告によれば、「発掘」当時、研究者たちが残したはずのフィールドノートなどの一次資料はおろか、整理収蔵時に作成された「アイヌ人骨台帳」など肝心の原本書類までも〈所在は不詳〉。

 また所蔵遺骨を三年がかりで再整理してみると、従来「一〇〇四体」と公表していた遺骨人数が、実は一〇四〇人分に上ることが判明するなど、これまでの管理のずさんさを改めて示すばかりで、それぞれだれの遺骨なのか、どのように掘り起こしたのか、といった実態解明にはほど遠い結果に終わっている。「頭骨コレクターまがいの研究は倫理にかなうのか」といった自己批判も見られない。

 市民グループ「北大開示文書研究会」共同代表でアイヌ民族の清水裕二さん(七二歳)は、「掘られた本人や遺族など、被害者に向けて書かれた調査報告書とは感じられない」と話す。「当時の研究者たちや医学部の保存管理がまずかった、と述べられているだけ。大学はアイヌに対する責任を自覚していないのではないか」。

 この問題をめぐっては、北海道在住の三遺族が遺骨返還を求めて同大を提訴しており、次回口頭弁論が今月一九日午前一一時半から札幌地裁で開かれる。

 また同研究会主催のシンポジウム「さまよえる遺骨たちパート3 先住民への遺骨返還はセカイの流れだ。」が同二〇日午後一時一五分から札幌市教育文化会館で開かれる。詳しくはURL http://hmjk.world.coocan.jp/

(平田剛士・フリーランス記者、4月12日号)

アイヌ遺骨:11大学に1633体 管理ずさんさ浮き彫り(毎日新聞)

2013-04-19 21:25:00 | 事件・差別問題・領土問題など

アイヌ遺骨:11大学に1633体 管理ずさんさ浮き彫り
毎日新聞 2013年04月19日 21時25分(最終更新 04月19日 23時12分)

アイヌ遺骨返還訴訟で意見陳述を終え、札幌地裁前で話す小川隆吉さん=札幌市中央区で2013年4月19日、貝塚太一撮影
拡大写真
 明治時代から戦後にかけて大学が研究目的で墓地から掘り出したアイヌの遺骨が、11大学で1633体保管されていることが19日、政府のアイヌ政策推進会議作業部会で報告された。遺骨返還のガイドラインも示され、今年度中に速やかに手続きに入る方針が打ち出された。しかし、個人特定できたのは全体の約1%の23体。管理のずさんさが浮き彫りになった。

 保管している大学は、北海道大が医学部関係の1014体を含む計1027体。ほかに札幌医大249体▽東京大198体▽京都大94体▽大阪大39体−−など。個人が特定できたのは北大19体、札幌医大4体だけだった。

 アイヌの遺骨収集は北海道を中心に樺太(サハリン)や千島列島でも広範囲に行われ、1972年まで続けられた。アイヌの起源を探る人類学研究が目的で、頭骨を中心に調査された。

 返還のガイドラインは、個人特定できた遺骨を子孫に返すことを原則とし、墓がある市町村の協力を得ながら子孫を捜すとしている。だが、時間の経過で難航が予想される。

 身元が特定できない背景には、研究を終えた頭骨と四肢骨をばらばらに保管するなど管理が不十分だったうえ、身元につながる副葬品を一体的に保管しなかったことなどがある。身元特定が不可能な遺骨は、民族共生の象徴空間として北海道白老町に建設する施設で国の主導で慰霊する。

 全国の遺骨調査は、文部科学省が11年11月から国公私立大を対象に1年余りかけて行った。【千々部一好】

 ◇「過去うやむや許せぬ」返還訴訟で遺族が批判

 北海道大が研究目的でアイヌ民族の墓地から遺骨を収集したのは供養の妨害にあたり、憲法で保障された信教の自由の侵害にあたるとして、子孫3人が北大に遺骨の返還と慰謝料900万円を求めた訴訟の第3回口頭弁論が19日、札幌地裁であった。原告の小川隆吉さん(77)=札幌市=が意見陳述。「過去をうやむやにする北大の態度が許せない」と強い口調で批判した。

 訴状によると、北大の医学部教授らは1931〜55年、北海道浦河町杵臼(きねうす)地区のアイヌの墓地から、少なくとも78体の遺骨を掘り出した。

 小川さんは、曽祖父らの遺骨が墓から持ち出されたと主張。意見陳述では、81年9月に北大医学部に案内された際、エゾオオカミなど動物の骨格標本とアイヌ民族の頭蓋骨(ずがいこつ)が並べて置かれているのを見て「怒りで目の前が見えなかった」と証言した。
http://mainichi.jp/select/news/20130420k0000m040089000c.html

アイヌ文化伝承森づくり 国、町、アイヌ協会が協定調印【平取】(日高報知新聞)

2013-04-19 18:40:00 | アイヌ民族関連
アイヌ文化伝承森づくり 国、町、アイヌ協会が協定調印【平取】

日高報知新聞 - 2013/04/19 18:40



調印の後、握手を交わす(右から)津本局長、川上町長、木村支部長

 北海道森林管理局、平取町、北海道アイヌ協会平取支部は17日、「21世紀・アイヌ文化伝承の森再生計画~コタンコロカムイの森づくり~推進のための協定書」の調印式を平取町役場議場で行った。

 協定の基本理念は①アイヌの人々が伝統的な狩猟・採集の場として利用してきた北海道古来の森林の再生②文化伝承に必要な草木等の生物相の育成、回復、保全と活用③国有林野やその産物の新たな活用と保全による地域住民の雇用機会の創出④地域と国有林との協働連携による森づくり―の4点。

 対象地域は、日高北部森林管理署が管轄する平取町内約4万2千ヘクタールの国有林。3者は昨年9月に同プロジェクトの推進会議を立ち上げ協議を進めてきた。今後は地域の意見を聞きながら山林を調査し、伝統的工芸品づくりなどに使う樹木の育成のほか、観光、保養ゾーンなども視野に入れた具体的な計画づくりに着手する。

 国有林を使った地域の関係団体と協動で行う森林づくりの取り組みは、群馬県「赤谷の森」と宮崎県「綾の照葉樹林」の2つに次いで全国で3番目、道内では初めて。

 森林管理局総務企画部の竹中篤史企画課長が協定の趣旨とこれまでの経過を説明。高橋治日高北部森林管理署長、鈴木修二町議会議長、アイヌ協会平取支部役員と会員、町役場幹部職員ら約50人の見守るなか、津本頼光道森林管理局長、川上満平取町長、木村英彦道アイヌ協会平取支部長の3人が協定書に署名し、握手を交わした。

 川上町長は「アイヌ文化伝承への大きな1歩。森に民族の守り神“シマフクロウ”が戻ってくることを期待」、木村支部長は「アツシ織り、イタ、丸木舟づくりなどアイヌ文化伝承に使う木が減ってきている。国有林の活用は悲願。先人の苦労が実を結んだ」と歓迎。津本局長は「50年、100年スパンの遠大な計画の第一歩を踏み出せた。地域の皆さんと連携、協働し様々な角度からスピード感を持って協議を進め、平成27年の実施計画書作成を目指したい」と話していた。



※コタンコロカムイの「ロ」は小文字

http://www.hokkaido-nl.jp/detail.cgi?id=15342

■ 「白老アイヌ研究」刊行、明治~昭和の生活記す(室蘭民報)

2013-04-19 00:00:00 | イベント情報・書評
■ 「白老アイヌ研究」刊行、明治~昭和の生活記す
【2013年4月19日(金)朝刊】

 「白老楽しく・やさしいアイヌ語教室」(大須賀るえ子代表、5人)は、「白老アイヌの研究Ⅰ―宮本イカシマトク・妻サキを中心に」(B5判、45ページ)を刊行した。製作に中心的に携わった大須賀代表(72)=白老町緑丘=の祖父母・宮本夫妻の明治から大正、昭和にかけての生活ぶりを中心に記している。


 「自然から与えられるものを無駄にしないで頂く。生活全てにわたってアイヌ文化を実践していた」。こう語る大須賀さんは、明治期以来の苦難の時代をアイヌとして生き抜いてきた祖父母のことをいつか明らかにしたいと念願してきたという。巻頭には「この二人は白老のアイヌを語る上で欠くことのできない存在である…と私は思っている」と記した。

 1876年(明治9年)白老に生まれた宮本イカシマトク(和名・伊之助)は、大正期になってクマ猟に専念、毎年のようにイヨマンテリムセ(クマの霊送り)を行っていた。著書では猟の様子、山での儀式、右足指の凍傷、大須賀さんが実際に聞いた「激痛で呻(うめ)いていた祖父の声」、毛皮商人の買い付けなどが詳述されている。

 81年(明治14年)生まれの妻・宮本サキは1957年(昭和32年)に亡くなるまで「二十五、六頭の子熊を育てた」(著書)。子グマを育てるのは女の仕事で自分の寝床に入れて寝たこともあったという。

 著書では大須賀さんが祖母・サキと一緒にまき取りに行ったときのことを「五歳の小さな子供が背負える量はほんの僅(わず)かと思うが、それでも背負わせるというアイヌ文化を、貴重で有難い体験をさせてもらったと感謝している」と記している。

 写真は19枚。そのうちの1枚(1931年撮影)、クマのおりの前に並ぶ大須賀さんの曾祖母、祖母、伯母の写真について著書は「私はこの時生まれていないが、彼等の下端に並んでいる者(子孫)として非常に嬉しく私の宝物のような写真である」と記している。

 200部作製、非売品。16日には、白老町内の小中高校、図書館などへと16冊を町教委に寄贈したほか、道内の関係者・機関に配布した。
(富士雄志)
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2013/04/19/20130419m_08.html

米先住民の「精霊マスク」 競売、差し止め請求棄却 計1億円超で落札(AFPBB News)

2013-04-13 09:49:00 | 事件・差別問題・領土問題など
米先住民の「精霊マスク」 競売、差し止め請求棄却 計1億円超で落札
2013年04月13日 09:49 発信地:パリ/フランス

パリ(Paris)で競売に掛けられたアメリカ先住民ホピ(Hopi)族の儀式用マスク(2013年4月5日撮影)。(c)AFP/MIGUEL MEDINA

【4月13日 AFP】米アリゾナ州(Arizona)の先住民ホピ(Hopi)族の儀式用マスク約70点が12日、仏パリ(Paris)で競売に掛けられ、計90万ユーロ(約1億2000万円)以上の高値で落札された。競売は精霊の冒瀆(ぼうとく)にあたると主張していたホピ族の人々は、裁判所に差し止めを請求していたが、裁判所はこれを棄却。競売はそのわずか数時間後に行われた。

「カチナ(Kachina)」と呼ばれる精霊が宿るとされる色鮮やかなマスクや頭飾りが出品された競売会場には、多くの入札者が訪れた。これらの品は最終的に、数人の買い手により計93万1435ユーロで落札された。

 1万8000人余りが所属するホピ族は、マスクには神聖な霊が宿っていると信じており、競売に対する怒りの声を上げていた。また、アリゾナ州にある2つの博物館も競売の中止を要求したほか、米俳優のロバート・レッドフォード(Robert Redford)氏や駐仏米大使なども中止や延期を求めていたが、裁判所は競売が法律違反には当たらないと判断した。

 競売を主催した仏競売会社ネレミネ(Neret-Minet)は裁判所の決定を受け、「どんな文化のものだとしても、神聖な品物の販売を禁止する先例を作らないことは重要」との声明を発表した。

 競売会場には、パリの学生でホピ族出身のボー・ロマフクアフ(Bo Lomahquahu)さん(25)も訪れていた。ロマフクアフさんはAFPに対し「これらはただの美術品ではない。私たちはそこに精霊が宿っていると信じている」と述べ、競売は決して許されるべきではなかったと語気を強めた。(c)AFP/Sandra Lacut

http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2938527/10542295?ctm_campaign=txt_topics

資金援助も話題に 「セデック・バレ」で台湾先住民演じたビビアン・スー( 映画.com)

2013-04-10 08:30:00 | 先住民族関連
資金援助も話題に 「セデック・バレ」で台湾先住民演じたビビアン・スー
2013年4月10日 08:30共有
日本名を付けられたセデック族を演じたビビアン・スー

[映画.com ニュース] 1930年日本統治下の台湾で先住民セデック族が起こした反乱「霧社事件」をテーマに描いた台湾の歴史アクション大作「セデック・バレ」。日本でも人気の高い女優ビビアン・スーがセデック族のひとりを演じている。スー自身が台湾先住民タイヤル族の血をひいているということもあり、本作への思い入れは深く、出演だけでなく資金援助も行った。日本公開を前にスーが撮影を振り返ったインタビューと、セデック族に扮した場面写真を映画.comが入手した。

「海角七号 君想う、国境の南」のウェイ・ダーション監督が構想から10年以上を経て、台湾史上最高額の7億台湾ドル(約16億円)をかけて製作した大作。4時間36分で「太陽旗」、「虹の橋」の2部構成となっている。古来より続く独自の文化をないがしろにされてきたセデック族が部族の誇りをかけ武装蜂起し、日本の警察や軍との激しい戦いが迫力ある鮮烈な映像と共に描かれる。

スーは日本式高等教育を受け、日本人として日本の警察で働いたセデック族の花岡二郎の妻、高山初子を演じた。初子は霧社事件の後生き残った数少ないセデック族のひとりで、二郎同様本来は原住民の名前を持っていたが、幼い頃から日本の教育を受け、日本名を付けられた。

「彼女の生涯はとても波乱に満ちていて、この時代の変遷を経験しています。この役を演じるにあたりとても不安だったので入念に準備しました。忘れられない辛い過去があっても民族が子々孫々繁栄するよう現実に向き合おうとする、とても偉大な役柄だと感じました。男性の勇ましさをテーマにした映画で女性の登場シーンは少ないですが、初子を演じるために歴史的背景や彼女の人生を理解するよう努めました。幼い頃から同化教育を受けた彼女はセデック語のほかに日本語も堪能です。生活習慣や礼儀作法の面でも日本の影響を深く受けています。この役を演じられて光栄です」と役柄への向き合い方を語る。

「スワロウテイル」、「キル・ビル」などを手がけ、国内外で活躍する種田陽平氏が本作の美術監督を務めた。スーは物語の舞台となる「霧社街」の壮大なセットの印象をこう語る。「とても日本っぽい!と思いました。さすが日本から美術チームを招へいしただけのことはありますね。当時にタイムスリップしたかのようです。漢人、原住民、そして日本人という異なった民族が同じ町にいる……。とてもおもしろいですよね!」

スーにとっては自らのルーツ、そして母国への思いが詰まった作品となったようで「監督の不屈の精神、勤労、心遣い、映画や台湾、そして原住民への愛にとても感動しました。こんなにも壮大なスケールで原住民の物語を映画にしようとした人はこれまでいませんでした。原住民をテーマに映画を作ってくれた監督に感謝しています。そして、映画という言語を通じて世界中の人々に台湾の文化や少数民族の存在を知らしめてくれたことに感動しています」とウェイ監督への熱い思いを述べた。

キャストには実際のセデック族の役者を起用し、安藤政信、木村祐一ら日本人キャストも出演。台湾では大ヒットを記録し、第84回アカデミー賞外国語映画賞の台湾代表に選ばれた。スーのほか、ジェイ・チョウ、ジェリー・イェン、レオン・ダイ、ニウ・チェンザー、ツァイ・ユエシュン、チョン・モンホン、チェン・フェンフェンら多くのスターや映画人が資金を提供している。

「セデック・バレ」は4月20日全国公開。

(映画.com速報)

http://eiga.com/news/20130410/2/