あひるやま家の「きょうはここ」

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名勝負でわかる選手心理

2012-07-27 13:22:58 | 
『名勝負でわかる選手心理』(野呂修次郎 著/三恵書房)

この本は、競輪の魅力と著者が新聞記者時代に出会った古今東西の選手の話を交えながら、かつての名選手がどのような気持ちでレースに臨み、どんな作戦を立てて戦ったか、また今後の競輪競走の行方を分析したものです。

過去の競輪について、
著者の印象に残ったレースを詳細に記されていて、
草創期から昭和40年代の詳細をあまり把握していない私には、
かなり参考になりました。

また、それぞれの時代にネーミングをつけて、
分かり易く記されています。

具体的に挙げると、
「高原永伍時代」「三強時代」「戦国時代」「中野浩一時代」「滝澤正光時代」「吉岡稔真時代(または二強時代)」という感じ。

が、その「時代」単位が、
以前は5~10年単位であってわかりやすいのですが、
現在は、実質2年単位。

しかし、著者はまだ10年単位で見ている感があり、
吉岡稔真氏引退後、「天下を取った選手はいない」と記しています。

でも、2年単位で見ると、
数年前には山崎芳仁選手が明らかに天下を取っていますし、
昨年からは中部王国と東北王国の対決図式。

強いて言うなら、
伏見俊昭・武田豊樹両選手が今の輪界の中心と言えるかと(今年の伏見選手はパッとしませんが)。

したがって、やや、現代の時代の捉え方に違和感はあります。

それ以上に、この本、ケアレスミスが多すぎ。

例えば、佐藤慎太郎選手は殆ど「佐藤信太郎」と記されていますし、
浅井康太選手も殆ど「浅井慶太」になっています。
挙げ句の果てに、浅井康太選手と深谷知広選手がゴッチャになって「深井」になっていたり…

文章構成にも「?」を感じる記述多数。

他にも挙げるとキリがないくらいです。

まぁ、著者の如何に現代競輪への興味が薄れているかを現していると思いますが。

あと、神山雄一郎選手への記述が少ないことも、
ポイントでしょうね。
明らかに一時代を築いた選手だけに意外ですが、
その分、吉岡氏に記事が割かれています。

山田裕仁選手もほんの少ししか書かれていません。

ということで、近現代の競輪については、
著者のかなりの独断と偏見が混じっているので、
著者の言う「滝澤正光時代」以前の記述も、
そういう視点で記されているのかな、と考えてしまいます。

今の競輪に対し、スピード重視の傾向になっているという見方には、賛同できるんですがね。

競輪のこの手の本が少ないだけに、
読んでいて面白かったので、
もう少しクオリティの高い本だと、もっと良かったかなと思います。

今日は四日市競輪場(パシフィックエース協賛 Kドリームスカップ<FⅡ>[2日目])に行ってきます。