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いわき市・子年生まれの”オヤジ”

草莽崛起
日本人よ、歴史を取り戻せ!

中国が「勝利して自滅」するワケ

2015年08月20日 14時37分58秒 | 国際・政治
 《ますます醜悪になった》

 5月30日付英紙ミラーに躍った大見出しは、中国の軍事膨張や侵略的蛮行を鋭く衝いていた。習近平・国家主席(62)の掲載写真も鉄面皮の悪相だった。ところがよく見ると御髪が…。汚職スキャンダルに大揺れするFIFA(国際サッカー連盟)に君臨するゼップ・ブラッター会長(79)の5選決定(4日後に辞意表明)を受けた責任追及記事と取り違えていた。確かに、中国とFIFAは賄賂と派閥の跋扈に始まり不透明な決定プロセスに至る共通の闇文化を有す。ただ、「恥知らずな」幹部を抱えるFIFAには再建が期待されるが、建国100年=2049年までの中華帝国復興をなりふり構わず強引に進める中国には「恥という言葉」すらないが故に、自滅への期待がかかる。

 シンガポールで5月末に開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ対話)でも、中国人民解放軍副参謀総長の孫建国・海軍上(大)将(63)が《ますます醜悪になった》中国の南シナ海覇権に異を唱えるベトナムやフィリピンを「小国は挑発的行動を採るべきではない」と侮辱した。反り返った態度が巨大な反作用を誘発し、自滅へと突き進む愚かを、安全保障論上は《勝利による敗北》と呼ぶ。

米軍と一戦も辞せず?

 FIFA幹部の逮捕に憤りは感じたが、驚きはしなかった。ケタはずれの賄賂を懐に入れる中国軍幹部の汚職を何度も報じてきた小欄は「免疫」ができてしまったらしい。反面《ますます醜悪になった》中国の安全保障観は分析の度、増殖するバイ菌に触れるのに似た不快感に襲われ、吐き気をもよおす。

 孫上将はまるで王朝に仕える将軍のごとく振る舞った。南シナ海で続ける岩礁埋め立て=人工島建設→軍事基地化→領有権設定を「合法で正当かつ合理的活動」と開き直り、南シナ海は「平和で安定している」とうそぶいたのだ。即時停止や不法な領海設定阻止に向け、人工島の22キロ以内で海軍艦艇・哨戒機を活動させると警告する米国への反発であった。

 「平和で安定している」にもかかわらず共産党系の環球時報紙は社説で《中米軍事衝突の危険が高くなった/米国が中国に教訓を与えるとの傲慢なたくらみを持ち、一戦も辞さないなら、尊厳のために戦う》と勇ましい。孫上将も「米国などが(中国と関係国の)不和の種をまいていることに強く反対する」と喧伝するが、中国が軍事的膨張・冒険を強行しなければ現下の緊張・対立は起きなかった。加害者が被害者を装う立場のすり替えは堂々とし過ぎで、いつもながら滑稽だ。
 同時に環球時報紙は《米国の狙いが単に威嚇と嫌がらせならば(戦争回避に向け)自制を働かせる》とも。不利になると「今日はこのくらいで勘弁してやるかっ!」とボケる、強がり漫才を聴いているかのよう。


下品な恫喝が孤立助長

 が、笑って済ませられる時期はもはや過ぎた。中国軍系シンクタンク常務副会長の羅援・退役陸軍少将(65)は「局地戦の準備をしている。米国は絶対に勝てる自信が有るのか」と凄む。2014年にも「中日が開戦すれば東京を火の海にする」と発言したが、言葉には気を付けた方がいい。ストレス解消も結構だが、国家が発する下品な恫喝は国際的孤立を助長する。

 もっとも、自身の行いに目をつぶり、行儀よく大哲のフリをする上から目線も鼻につく。習氏は3月末、国際会議で演説し、異なった政体や文化を許容するアジア共同体構築を念頭に、儒者・孟子(紀元前372頃~前289年)の教えを引き説教を垂れた。
 「物が不揃いであることは、それぞれに道理がある」

 チベットやウイグルといった他文化を“浄化”し漢文化に「揃える」凶暴を「道理」と詐称する傲岸不遜。以下、米政府・軍に影響を持つ現代を代表する戦略家エドワード・ルトワック氏(72)の著書《自滅する中国/なぜ世界帝国になれないのか=芙蓉書房》の助けを借りて論じる。

 《自滅する中国》に通底する論理的支柱の一つは、一方的に勝ち続ける過程で相手の反動を呼び起こし、結局は自らを滅ぼす逆説的論理《勝利による敗北》。政治・軍事・経済・文化・移民…あらゆる分野での国際常識を逸脱した台頭・侵出は畢竟、諸外国の警戒感や敵愾心を煽る。中立的立場の国や友好国にとっても許容限度を超え、離反をも誘発。敵対国同士の呉越同舟さえ促す。そうした国々は公式・非公式に連携・協力し、場合により同盟構築に関係を昇華する。国際情勢は中国にとり次第次第に不利になり大戦略・野望をくじく結末を引き寄せる。

漢民族に戦略の才なし

 実際、アジア安保会議を機に開かれた日米豪防衛相会談は対中警戒を確認。日本はベトナムに経済支援を実施→ベトナムはロシアから潜水艦を購入→同型潜水艦を運用するインド海軍が越海軍乗員を訓練する-互いに意図せぬ構図を生んだ。一時後退した米・フィリピンの軍事関係も、ほぼ元に戻った。全て中国の脅威の“お陰”。

 自国のパワー増大→反中包囲網形成→パワー減退をたどる皮肉=逆説的状況の回避には、軍の拡大を遅らせる他ない。だのに、中国は他国への挑発的大戦略を止められない。なぜか-。

 まず、中華思想に魅入られた中国に対等という感覚はない。冊封体制や朝貢外交に代表される上下関係が全て。しかも、2500年以上前に著わされたとされる《孫子の兵法》通りに、陰謀や騙し合いを当然のごとく繰り返す。漢民族は狡猾な策略こそが知恵だと信じて疑わず、欧米や日本などは権謀術数によって操れ、優位に立てると過信する。しかし、同一文化内では通用するものの、異文化に強要すれば自国崩壊につながる。
 モンゴルやトルコ系王朝、満州族に敗北を喫し、過去1000年において漢民族が大陸を支配できたのは明王朝(1368~1644年)時代ぐらい。ルトワック氏は自信を持って断じる。

 「漢民族に(自身が思っているような)戦略の才はない」

 賢者を気取っても、中国はどこか間が抜けている。滅亡へと誘う弱点が奈辺に在るのか、中国に悟られてはなるまい。知ったところで、聴く耳は持たぬだろうが…。

理解不能、朴大統領「慰安婦問題は最終段階」発言 「告げ口外交」も終了する?

2015年06月26日 12時36分00秒 | 国際・政治
 韓国の朴槿恵大統領が慰安婦問題をめぐる日本との協議について「かなりの進展があり、今は最終段階にある」と述べたことが、いまも波紋を広げている。同問題に関しては両国間で協議が行われているが、日本側は「現状では具体的な進展はない」(政府筋)と判断しているためだ。それだけに、発言の真意をめぐってさまざまな憶測もささやかれている。

 朴大統領の爆弾発言が飛び出したのは、今月11日に行われた米紙ワシントン・ポストのインタビューでのこと。詳しい内容については「水面下の協議だ」として明らかにしなかったが、驚いたのは日本政府の関係者らだ。

 慰安婦問題については2014年4月から両国間の外務省局長級協議の中で議論が開始。11日には8回目の協議を行ったが、これまでの協議を含め、日本側は「最終段階」どころか「進展があった」とさえ認識していなかったためだ。

 実際、菅義偉官房長官は記者会見で朴大統領発言について「外交上のやりとりはこれまでも明らかにしていないし、趣旨が明らかではないのでコメントは控えたい」と述べるにとどめたが、同時に慰安婦問題は1965年の日韓請求権協定に基づき「完全に決着済み」との日本政府の立場は変わっていないとも説明。政府関係者の1人が「かなりの進展なんてしていないのが実情だ。どうしてあのような発言が飛び出したのか理解不能だ」と漏らせば、外務省幹部も「最終的段階かと言われればそうではないし、理解こそ深まれ溝は埋まっていない」と否定した。
 それだけに、永田町などでは「実は日韓両政府が外務省を超えたハイレベルの協議を水面下で行っており、そこでまとまりに欠けているのではないか」との見方も出たが、韓国の外務省報道官は定例会見で「そのような事実はない」と否定。そのうえで、慰安婦問題について「密度ある協議が行われ、進展もあった」とややトーンダウンしたものの、大統領発言を追認したのだ。

 いったい、朴大統領の意図は何なのか。自民党外交族の1人は「日韓関係の悪化を懸念している米国に対して、『韓国は日韓関係改善のために努力をしている』とアピールしたということだ」と指摘。さらに「ここに来て朴政権は反日姿勢を急激に転換させ始めているが、なぜ急に外交方針を変えるのかという批判や指摘は出るはずで、それを抑える意味でもあのような発言を行ったのでは」と見る。
 確かに、韓国政府の対日外交はここに来て大きく変化したと言っても過言ではない。日韓国交正常化50周年に合わせて約4年ぶりに来日した尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は21日に行われた岸田文雄外相との外相会談で、これまで猛反発してきた「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産への登録について、韓国の推薦案件とともに登録されるよう日韓両国が協力していくことで一致。「加害者と被害者という歴史的立場は1000年たっても変わらない」などと反日姿勢を取り続けきた朴大統領も22日、ソウル市内で行われた日本大使館主催の記念式典に出席して「今年を新たな未来を切り開いていく元年にすべきだ」などと祝辞を披露したのだ。さらに、日韓議員連盟の額賀福志郎会長と会談した際には、これまでかたくなに拒んできた安倍晋三首相との首脳会談についても意欲を見せたという。

 日韓関係の重要性は誰しも認めるところだろうが、そのためにはさまざまなレベルやルートで直接対話を重ねていくことが必要だ。果たして、相互不信しか招かない朴政権の「告げ口外交」は終了したのだろうか? 

反日行脚”経て初の訪日 韓国外相 交錯する配慮と歴史への執着

2015年06月22日 13時44分13秒 | 国際・政治
 中東呼吸器症候群(MERS、マーズ)コロナウイルスの感染拡大で国を挙げて大騒ぎとなっている韓国から、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が日韓国交正常化50年の記念日に合わせて訪日した。朴槿恵(パク・クネ)大統領が訪米を延期するなど、政府あげて対応に追われる中、対日関係改善への姿勢を見せた格好だ。ただ、尹外相が岸田文雄外相との21日の会談で、日本の世界遺産登録に向け韓国側の意向を反映させたように、韓国は慰安婦をはじめとする日本との“歴史認識問題”には、相変わらず執着し続けている。


感染報道一色のなかで

 日常的に日本には厳しい報道を展開する韓国メディアが、5月下旬からはMERS報道一色だ。政局でもMERS。経済がらみでもMERS。4月末の安倍晋三首相による米議会演説のときのような激しい日本バッシング、反日報道は影をひそめた。

 安倍首相演説の際は、直前に李完九(イ・ワング)前首相ら朴大統領の側近による裏金疑惑が起こり、メディア報道も一時期は「裏金疑惑報道」が占めた。だが、こちらも鳴りを潜め、忘れ去られたかのようだ。朴大統領自らが「国家的困難」と言うほどに、韓国は今、MERS感染への対処で苦闘している。
 ただ、日本に関する報道がMERS騒動のさなかで、完全に消えうせたわけではない。大手紙には「韓日国交正常化50周年を機に、失意と苦痛を感じる韓国国民に対し、安倍首相が隣人、友人として慰労のために訪韓すればいい。安倍首相がMERSの完治患者を“抱きしめる姿”を見せればいい」(中央日報)といった理解に苦しむ大型コラムまで登場した。

 国内での騒動に加え、世界が韓国のMERS感染拡大に注目するなか、尹炳世外相の訪日は“電撃的”に発表された。韓国外相の訪日は、なんと4年1カ月ぶりだ。


韓国主導で関係改善?!

 国難のまっただ中にもかかわらず外相を派遣した朴槿恵政権。しかも、尹外相は韓国でも「対日強硬派」として認識されている。2013年2月の朴政権発足とともに外相に就任したが、別所浩郎・駐韓日本大使と一対一で会談したのは昨年9月が初めてだった。特に歴史認識をめぐっては、日本にかたくなな態度をとってきた。

 一方で、日本政府はこれまで、繰り返し尹外相の訪日を打診し、呼びかけてきたが、韓国側が応じなかっただけだ。国交正常化50周年に合わせての訪日に関しては、ソウルの日韓外交関係者の間でも悲観的な見方が主流だった。
 しかし、尹外相は今月中旬の訪米で、米政府に訪日の意向を伝えた。日韓の関係改善を促していた米国政府からは「歓迎された」という。

 尹外相の訪日について、韓国では「国交正常化50周年を契機に両国関係改善を韓国が主導するとのメッセージ」(中央日報)とか、「歴史認識問題への日本の前向きな回答に圧力を加えることができた」(同紙が専門家の意見として紹介)やらと、都合よく、好き勝手に解釈されている。

 一見、韓国が対日歩み寄りの姿勢を示したとも受けとめられる。韓国側では、尹外相をようやく「訪日させてやった」ことで、形の上では50周年をうまく演出できたつもりでいるかのようだ。しかも、韓国の主導で。韓国メディアによる、いつもの報道パターンだが。


余裕なくとも反日行脚

 韓国が今回も自画自賛したように、MERS感染拡大を抱えた状況で尹外相を訪日させるだけの余裕が、はたして韓国側にはあったのだろうか。

 尹外相はMERS騒動の最中の今月12日、世界遺産委員会の現在の議長国を務めるドイツを訪問。シュタインマイヤー独外相と会談し、日本が世界遺産への登録を目指している「明治日本の産業革命遺産」について、28日からドイツで開かれる同委員会で登録に反対するよう協力を求めた。「産業革命遺産には戦時中に朝鮮半島の人々が強制徴用された施設7カ所が含まれている」と反発する韓国政府の立場に基づいたものだ。
 尹外相は続いて、世界遺産委員会の委員国であるクロアチアも訪問し、同じように要求。その足で米国に向かいニューヨークで、マレーシアのアマン外相と会談し、またしても登録反対への協力を要請した。

 短期間に尹外相は、まさにフル回転で世界を駆け巡ったわけだ。本国で拡散しているMERS感染に世界が懸念を込めて注目するなかでの、“反日行脚”。日本との歴史問題で見せる韓国の“執念”を感じさせる。


日本への配慮と焦り

 国家の非常時にもかかわらず、わざわざ各国に出向き、日本の世界遺産登録阻止に奔走した韓国。内政は内政、外交は外交なのだろう。だが、今はむしろ、MERS対策で頑張っている姿をアピールし、世界を安心させるときではないのか。そして、尹外相は日本を訪れた。

 「MERSで韓国国内が大変でも、外交分野だから訪日は許されたのだろう」と、ソウルの外交筋は朴政権の胸の内を推し量る。世界遺産の委員国に「反登録」を訴え回ったものの、韓国は奇妙なことに、日本にも気を使っていた。

 韓国外務省のユネスコ担当当局者は、しきりに「産業革命遺産すべての登録に反対しているわけではないのです」と切々と繰り返す。懐柔するかのような、日本メディアの記者への説明には、一種の涙ぐましささえ感じる。
 登録をめぐって、同当局者は「韓国は不利な状況にある」とも話していた。「登録反対」を“例”によって各国に触れ回っていた尹外相は21日、日本を訪れての“直談判”で、登録問題について「韓国の推薦案件とともに日韓が登録で協力することで一致」(岸田外相)するまでに持ち込んだ。

 あれほど日本を無視し続けていた尹外相を日本に送り、韓国の意向をくませる一方で、「日韓関係の前進」を演出させた。背景には、韓国側が抱く危機感がちらつく。“焦り”の裏返しとでもいおうか。


日本にソッポを向かれては…

 デフレ傾向にある韓国経済の見通しは、ただでさえ悪い。そのうえにMERSの感染拡大が“2次被害”として、経済悪化へもろに拍車をかけている。

 海外からの観光客は激減し、韓国への渡航キャンセルは、すでに10万件を突破した。国内でも各種行事の中止が続出。外出は避けられ、高速鉄道「KTX」の乗車率は25%も減少し、ソウルの公共交通の利用客も約22%減った。飲食店の客の入りも減り、MERS感染で消費は冷え込んでいる。朴大統領自身も認めていることだ。
 国債格付け会社のムーディーズは18日、「MERSが韓国の格付けには否定的だ」と評価する報告書を出した。同報告は「MERSのために韓国では消費心理が冷え込み、内需の不振と輸出の低迷によって景気回復は困難になる」と分析している。

 韓国の有力シンクタンクが予測した「6月末までだけでも約4500億円規模の損失発生」との見通しは、ほぼ当たりそうな状況にある。韓国経済は確実に後退しているのだ。

 MERS感染が発覚する前から、韓国では財界を中心に「日本との関係改善」を切望する声が強かった。経済の悪化から抜け出すためには、何としても日本との協力を避けては通れないからだ。

 朴大統領自身が5月にソウルで開かれた「日韓経済人会議」で、日韓経済協力の重要性をしきりに訴えたように、日本との経済関係が大切なことを韓国政府は痛感している。国際社会での“孤立”を自覚し、さらにはMERS感染で苦悶(くもん)する今、日本にソッポを向かれては困るのだ。


国交50年よりも、戦後70年談話に注目

 国交正常化50周年に合わせ、日韓双方では必ずしも目立ってはいないものの、官民でさまざまな行事が行われている。7月以降の今年後半にも多くのイベントが待っている。イベントの一覧表を見ると、表向きは2002年に行われた日韓共催のサッカーW杯が再現されるかのようだ。
 だが、日韓国交正常化50年よりも、韓国の目は完全に、日本の戦後70年に合わせて安倍首相が8月に出す見通しの「安倍談話」の方を向いている。安倍首相が慰安婦問題などについて、談話の中でどのように触れるのかに注目している。

 今年の前半、特に2月末から5月にかけて韓国メディアは安倍首相に対し、執拗(しつよう)に「謝罪」を要求してきた。インドネシアでのバンドン会議や、米ワシントンでの議会演説など、韓国とは直接関係のない場所での謝罪を求め続けた。謝罪をさせるため執念の火を燃やし続けた韓国(特にメディア)では、慰安婦への謝罪がなかった当然の演説のあと、一種の喪失感が漂っていた。

 安倍首相は、過去の政権の姿勢や方針を引き継ぐという趣旨の発言をしているのに、それでも韓国は不満らしい。安倍首相に絶対、謝罪させねばならないようなのだ。

 世界遺産登録問題で“一致”し、日韓国交50周年の記念日が過ぎても、慰安婦問題は依然、協議が続けられる。消えていない韓国の“謝罪要求の炎”は8月に向けて、また勢いを増しそうにある。

日本に浸透する中国の世論戦

2015年06月14日 15時36分35秒 | 国際・政治
 現在、中国の対日戦略の重点は日本国民への世論戦(心理戦)である。中国の対日世論戦が効果的に機能する構造を分析する。

 《新たに生まれた疑似階級闘争》

 民族主義と階級闘争という視点から日中を比較すると、中国は民族主義が強く階級闘争が弱い国である。他方、日本は民族主義が弱く階級闘争が強い国である。この構造が対日世論戦を支えている。

 中華人民共和国では既に資本家階級は打倒され、労働者が権力を持つ国家になったのであり、階級闘争は存在しないことになっている。現在の中国では体制を打倒する「革命」という言葉は禁句である。現在の中国は階級闘争がない国家であり、政府と国民が一体になって行動できると中国共産党は主張している。

 元来、共産党の目標は世界の労働者を結集して世界革命を達成することであったはずだが、現在の中国共産党の目標は世界革命ではなく、「中華民族の偉大な復興」を実現することである。中国共産党のスローガンを見る限り、中国は民族主義を鼓吹する国家である。他方、第二次世界大戦後の日本では、国民が一致団結して行動する民族主義を軍国主義の一種として嫌悪する傾向がマスコミと教育界にあった。
 ソ連が崩壊し共産主義の正当性が地に堕(お)ちた後、階級闘争史観から抜けられない日本の左派は新しい階級闘争を創り出した。古典的な労働者階級による階級闘争とは異なる形態の、階級に準(なぞら)えた「リベラルな市民」が「反動的な政府」と闘うという疑似階級闘争である。

 日本の左派の歴史をみると、第二次世界大戦以前の日本で左派を弾圧したのは、天皇制に対する脅威であった共産主義や社会主義を排除しようとした軍国主義的な日本帝国政府であった。敗戦によって大日本帝国が崩壊し、日本の左派にとって最大の敵は消えた。民主主義が根付いた戦後の日本では右派も左派も共存できる社会が実現した。

 しかし、戦後の日本の左派にとって自らの生存に最も深刻な脅威を与える敵は軍国主義的な日本の復活である。従って、戦後の日本の左派にとって第一の敵は日本の軍国主義であり、中国の軍国主義ではなかった。

 《進められる左派との共闘》

 他方、歴史的に「一つの山に二匹の虎はいない」と考える中国にとって、東アジアという一つの山にいる日本は中国が生き残るためには屈服させるべきもう一匹の虎であった。特に、中国に屈服することを拒否する日本の右派は打倒すべき敵であった。すなわち、日本の軍国主義と右派を重ねることができれば、中国共産党が主張するように「日本軍国主義は中日両国人民の敵」なのである。
 元来、共産主義者にとって味方は各国の労働者階級であり、敵は自国を含む世界の資本家であった。しかし「中華民族の偉大な復興」という民族主義をスローガンにする現在の中国共産党政権は、民族対民族という構図で国際関係をとらえている。日本の左派も日本人であり、屈服させる日本の一部ではあるが、敵の敵は味方である。

 日本の左派と中国という国家は、左派の敵である過去の日本軍国主義と中国の敵である現在の日本を重ねることによって共闘できるという側面がある。従って、中国は日本の左派を取り込んだ形で日本という国家との競争を有利に展開しようとしている。

 《米国には機能しない日本主敵論》

 中国は米国に対しても同様の戦略をとっている。中米には日本軍国主義という共通の敵が存在し、中米は共闘できると主張している。しかし、現在の米国にとって主敵は米国の覇権を脅かす中国であり、過去の日本軍国主義ではない。中国の日本軍国主義主敵論は日本に対して効果をあげているが米国に対しては機能していない。
 日中関係では、中国政府が自国を階級闘争を卒業し国民と政府が一体化した民族主義国家として行動するのに対して、日本の左派は日本を「市民対政府」という疑似階級闘争が進行中の国家であると見做している。日中対立は、一体化した中国と分裂した日本の対立という構造になっている。この点が中国の対日世論戦(心理戦)が有効に機能するポイントである。

 ただし、表面的には階級闘争のない民族主義国家である中国が、階級闘争があり民族主義が弱い日本に世論戦を仕掛ける形になっている。しかし、日中両国の基本構造を見れば、日本は中流意識を持つ国民が多く階級矛盾の少ない国であり、自然災害その他で社会が不安定になっても、低所得者層による暴動が発生せず、きっかけがあれば一致団結する民族主義を内に秘めた国家である。

 一方、中国では豊かな共産党員と貧しい労働者の格差が拡大して階級闘争の圧力が高くなっており、漢民族と少数民族間の矛盾も拡大して大漢民族主義は不安定である。表面的な日中間の前提が突然逆転する可能性も視野に入れておかなければならない。

中国の“不沈空母”は覇権奪取の野望

2015年06月07日 06時14分04秒 | 国際・政治
 5月末にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ対話)から伝えられた中国の振る舞いは、中国問題の第一人者、マイケル・ピルズベリー氏(ハドソン研究所中国戦略センター長)の所論を裏書きするかのようだ。


中国「2049年まで目標」

 ピルズベリー氏は今年2月に出版した、『100年マラソン-超大国・米国に取って代わる中国の秘密戦略』で、中国が「中国の夢」などというスローガンの陰で、米国主導の世界秩序を覆そうとしていることを具体的に論証した。

 ピルズベリー氏は中国の極秘文書から、共産党指導部に影響力をもつ強硬派が、建国から100年目の2049年までに、米国に代わって世界の支配者になることを目指していると暴露する。その強硬派の一人が習近平主席に影響力をもっているという。
 習氏のいう「中華民族の復興」は、西洋や日本から受けた恥辱の一世紀が終わりを告げ、建国100年の夢の実現を目指す。彼らには「国境」という概念が薄い上、膨張する中華帝国は遠く「辺境」へと統治の範囲を拡大していく。陸の辺境はチベット、ウイグルであり、海の辺境は南シナ海なのであろう。中国は既に、南シナ海で7つの岩礁を埋め立て、3千メートル級の滑走路をもつ人工島などを出現させている。

 先のシャングリラ対話では、中国軍副参謀総長の孫建国海軍上将が人工島建設の目的を「軍事防衛の必要を満たすため」であると軍事目的を明確にした。2千メートルの滑走路があれば380人のB777-200型機が就航でき、軍用機なら楽に離着陸できるから“不沈空母”が南シナ海の真ん中に出現することになる。

 孫上将はこの埋め立ての「即刻中止」を求める米国に、「自らの主観に基づく無責任な発言をするのは控えよ」と突き放し、領有権を争うベトナムやフィリピンには「小国は挑発的な行為をとるべきではない」と批判した。“不沈空母”は覇権奪取の野望なのか。
 もはや習主席周辺の強硬派は「49年目標」を隠そうともせず、公然と「100年マラソン」と呼んでいるという。先の中国国防白書による「軍事抗争への準備」という威嚇は、300年前の帝国主義時代に引き戻されたようである。実際に彼らは中国を、世界の国内総生産(GDP)の3分の1を占めていた300年前の時代への回帰を目指している。


米有識者から警告

 だが、中国による「力による現状変更」の挑戦が、米国の戦略的思考を変えつつあると米紙が報じた。中国の一方的な海洋支配への試みから、米国の政策当局者、米国議会、安全保障専門家、ビジネスリーダー、そして有権者の意識までを硬化させている。

 『100年マラソン』が2月に刊行されたのを引き金に、3月には有力研究所の外交問題評議会が「中国に対する大戦略の転換」と題する緊急提言を行い、国防予算の上限を外し、核バランスを維持するよう求めた。同じ3月、海軍、海兵隊、沿岸警備隊が戦略報告書「海洋戦力のための連携戦略」を発表して、中国の接近阻止・領域拒否(A2AD)戦略に対抗する姿勢を鮮明にしている。

 それらの対中戦略見直しは、「中国が力を誤用する能力を抑止する賢明さが必要」と提言する。これら対中政策の転換を促す警告は、オバマ大統領が不退転の行動を起こすことを求めている。