
【地球連邦防御艦隊総旗艦アンドロメダⅡ級ネメシス】
※この艦底部に管制及び戦闘ブリッジが備わり、両舷に直角三角形状の大型安定翼が、第二主砲搭付近から後部拡散波動砲まで付くイメージです。また、主砲は3連装波動衝撃砲で、陽電子衝撃砲ではありません。
3門(1搭)から発射される火力としては、波動砲(収束タイプ)の15%の火力。15門一斉射撃(ショックカノン)では75%の威力を発揮するが、波動エネルギーの消耗が激しいデメリットがある。
これはヤマトに搭載された波動カートリッジ弾式より、髙火力を目指した結果である。
他、前編を参照。
ヤマト艦長古代は旗艦ネメシスに同艦し、観艦式に出席した藤堂長官及び参謀長である芹沢に伺いを立てた。
「艦長。ヤマト艦長古代より、映像通信が入っています。」
「うむ。繋げ。」
「直接、藤堂長官が受けると伝えよ。」
「了解。」映像通信回線のモニタは、ネメシスメインブリッジに立ち並ぶ藤堂長官と芹沢参謀長を映し出した。
「……長官。」ネメシス艦長を介しての意見交換を想定していた古代は、軽く面を喰らった表情を覗かせた。
「ここに参列した艦艇、全クルーも自分たち同様に"コスモウェーブ"を感じたものと考えます。」
「単艦戦隊であるヤマトとヤマトのクルーに調査の許可を頂きたい。」
「確かに我々も、古代艦長の云う通り、コスモウェーブを感じた。」
「あの金色に輝く宙域は気になるところではあるが、計測した結果、約30.000光年彼方だと解った。」
「今まで観測されなかった惑星と思われるが、その惑星が超新星化したのでは?と同艦する真田君の解析も得られている。」
「地球に戻り、スーパーコンピュータで解析してみなければ、詳しくは解らないが、地球に直接の被害は無いだろうとの事だ。」
「仮に影響がおよぶとしても、地球との距離などから推定しても、数百年以上先の事。」
「……ですが、長官。」
「例え、数百年以上先の事だとしても、やはりここは、調査に赴くべきと考えます。」
「先の赤色銀河の突然の出現に何らかの関係を否定出来ません。」
「備えあれば患いなし。と言葉があるように調査に向かうべきと考えます。」
「古代艦長。"コスモウェーブ"を感じた。と云ったが、それすら本当にコスモウェーブだったのかと疑問も残るのもまた、事実。」
「赤色銀河の調査に赴いている銀河からの報告も現段階では、地球に……」
と、その時であった、金色に輝く惑星と思われる物体が突如、消えたのだ。
「……消えた。」
「長官!」
「……古代艦長。やはり、あの宙域いや、この宇宙で何か変異が起こっている可能性は否定出来ん。」
「君が云った"備えあれば患いなし"かもしれんな。」
「古代艦長に新たな命令を伝える。」
「宇宙戦艦ヤマト及び古代艦長以下、ヤマトのクルーは直ちに金色に輝いた宙域の調査を行い、速やかに報告せよ。」
「了解。古代以下、クルー及び宇宙戦艦ヤマトはこれより、調査の任務遂行に当たります。」
こうして、宇宙戦艦ヤマトは、謎に満ちた宙域に向かい調査の航海に出航した。
古代は艦長席に腰を下ろし、瞳を閉じた。
ネメシスメインブリッジの映像がピンポイントに切り替わるほんの一瞬、映り込んだ艦長席の人物が、瞼の裏に映し出されていた。
「……あの人に似ていた。」
◆◆◆◆

「ラガシュ大佐!アクエリアスが!」
「騒がしいぞ!何事か?」
「ハッ!突如、アクエリアスが超重力波エリアから外れ、暴走を開始しました!!」
「なっ!?何ッ!!」
「暴走だと?」
「どういう事か?」
「解りません!現在、解析中ですがコンピュータも他、計器類も異常値を示したままです!」
「修復を急げ!」
「このまま、暴走されたでは我々は帰る場所を失うぞ!!」
「り、……御意!」
回遊水の惑星アクエリアスは突如、本来の軌道へと進路を取りつつ、暴走を始めた。
まるで自らの意思で動いているかのように・・・
そう。それは正に惑星(ほし)の意思。
惑星(ほし)に宿る髙次元の生命体の意思が、本来の軌道へと戻していたのだ。
かつて、テレザート星が結界を張り、人々の肉眼や優れたコンピュータの解析でも、見破る事の出来ない結界を張ったようにアクエリアスもまた、髙次元生命体によって人工的に創られ運命をありのままの運命に戻されていたのだ。
アクエリアス進む方向には惑星ディンギルが、存在する。
惑星ディンギルがアクエリアスがもたらす生命の水によって、水没する運命は変えられない。
あと数日後には必ず正規の軌道をたどり、アクエリアスは惑星ディンギルとすれ違う。
歴史として新たに作り、変えたとしても、それはただ単に運命を先送りにしたに過ぎない。
運命は変えられないのだ・・・
◆
ワープアウトした宇宙戦艦ヤマトは、あの金色に輝く光点が観測された地点、近傍宙域に到達した。
「艦長。超重力波が形成された痕跡が伺えます。」
「観測からして、自然に発生したものとは考えにくく、人工的に創られものかと。」かつて、新見薫情報長が着座していた席で、新たに情報長に就任した桐生美影が告げた。
「……人工的にか?」
「はい。間違いありません。」
「西条。タイムレーダーで24時間の逆算を。」
「了解。」
「森船務長。メインクルーを中央作戦室に集めてくれ。」
「了解。」
「船務長より、全艦に通達。」
「セカンドクルーは第一艦橋へ。メインクルーは中央作戦室へ集合せよ。」
「森船務長。艦(ふね)を頼む。」
「了解。」
古代は森船務長に艦(ふね)を預け、中央作戦室に降りた。
中央作戦室では西条に逆算させた24時間前からの空間映像が、ブリーフィングモニタに映し出されていた。
磁気嵐が酷いようで、モニタ画面には画像処理を施しても鮮明さは、さほど変わらない画像が映るばかりであった。
「駄目だ。ノイズばかりで……。」
「……ん!?」航空隊隊長篠原がぼやくように口を開いた。
「……西条。9分前から巻き戻せ。」
「……やはり、錯覚か。」
「ん!?」
「西条。もう一度、9分前から巻き戻してくれ。」


「ストップだ!」
ぼんやりだが、そこには人の顔、惑星を思わせる画像が映っていた。
「桐生。この画像を解析、」と古代か告げた時であったヤマトが激しく揺れた。
同時に艦(ふね)を任せていた森船務から飛び込む映像通信が、サブモニタに映し出された。
「艦長及びメインクルーは至急、第一艦橋へ!」
再び激しく揺れるヤマト。


「現在、未確認飛行物体及び※大型戦闘艦に激しく攻撃を受けています!」
※ヤマトの観測レーダー値では大型値と計測された。
「うむ。」
「指揮を変わろう。」古代は落ち着いた様子で森船務長から指揮を受け継いだ。
「総員!第一種戦闘配置!」
「南部砲雷長!パルスレーザーで弾幕を張れ!」
「島、ヤマト左90度回頭!」
「南部!全主砲、右90度旋回射撃体制!」
「了解!」
「ヤマト左90度回頭ヨーソロ!」
「全主砲搭、射撃体制完了!」
「目標!大型戦闘艦!」
「第一主砲から順次、砲撃開始!」
「未確認飛行物体!散開!」
「パルスレーザー、射程圏外!」
「パルスレーザー射ち方止め!」
「主砲、着弾まで3秒!!」
「……大型戦闘ロスト!!」
「……ワープか!?」
「右舷から大型ミサイル急接近ッ!!」
「何ッ!!」
「右舷、大展望室に直撃!!」
命令と報告が飛び交う第一艦橋内に新たに被害報告が飛び込んだ。
爆発音、被弾による誘爆、黒煙がヤマトを呑み込んでゆく。
「全艦!状況知らせ!」
「ダメージコントロール急げ!」
「……ワープ戦法か。」
南部が呟くように云った。
古代は、その言葉である戦法を思い出していた。
それはイスカンタル航海時に対戦したドメルとの戦いだ。
ドメルとの初戦はバラン星海戦だ。
次々にヤマトの行く手を拒むようにドメルの指揮下、ワープアウトと同時に攻撃を仕掛けられた一戦だ。
ヤマト初代艦長沖田が見せた"沖田戦法"を古代は、それを試そうとしていた。
「南部。右舷の大型戦闘艦に主砲、撃て!」
「島。主砲射撃と同時に最大戦速で主砲光弾を追ってくれ。」
「了解。」
「徳川機関長。聴いての通りだ。」
「機関最大戦速準備を。」
「了解。」
古代の命令が下され、主砲射撃が開始されると、その射ち放されたエネルギー光弾にヤマトは回頭、最大戦速に加速した。
古代の予測通り、ラガシュの戦闘艦はワープした。
「島!コースターン!」
「回頭180度!」
「主砲!連射よーーーいッ!!」
右舷艦首姿勢制御スラスターが噴射、間髪入れずに左舷艦尾姿勢制御スラスターが噴射、更に艦首艦底姿勢制御スラスターが噴射、ヤマトはまるで競泳でターンするがの如く宙返りしながら回頭、急加速した。
ヤマトの艦内スーツが対G構造に成っていなければ、気を失っているであろう重力が重くのし掛かる。
クルーの顔が苦しさに歪む。
「……ぐぐぐっ。」
「あと一息だ!踏ん張れ!」
「……お、大型戦闘艦、ワープアウト!」
「ヤマト、前方200!!」
「島!急降下だ!!」
「主砲、仰角45度!てぃーーーい!!」
上下に交差するヤマトとラガシュの戦闘艦。
ラガシュ艦の沈黙を確認したヤマト。
だが、そのヤマトは別の未確認飛行物体から攻撃の目標とされていた。
「後方から大型ミサイル2つ接近!!」
「特殊熱量を検知!先ほどの大型ミサイルとは異なると思われます!」
「くっ!」
「島!緊急ワープだ!!」
「了解!」

「……ヤマトをロスト!」
「ワープされました!」
「追撃致しますか?」
「いや、今は止めておけ。」
「ディンギルへ回頭せよ。」
~fin~
この物語りは【宇宙戦艦ヤマト完結編】のオリジナル二次創作です。
登場人物、メカ等は架空です。実在する人物とは関係ありません。
また、私的設定が混ざってます。
挿し絵的画像はイメージです。