Siamo tutti un po' pazzi.

~我々は皆少しおかしい(イタリアの慣用句)~

普段色々考えていることの日記です。

「エリザベート」宝塚大劇場

2009年05月23日 | 宝塚歌劇
【宝塚大劇場】
月組
三井住友VISAミュージカル
『エリザベート』-愛と死の輪舞(ロンド)-
公演期間:2009年5月22日(金)~6月22日(月)

出演者
トート:瀬奈じゅん
エリザベート:凪七瑠海(宙組)
フランツ・ヨーゼフ:霧矢大夢
ルイジ・ルキーニ:龍真咲
ルドルフ:明日海りお
エルマー:遼河はるひ
シュテファン:青樹泉

感想
 残念ながら私はミュージカル「エリザベート」が嫌いだ。
 そもそも主人公のエリザベートに共感が持てない。
 ミルクが無いのにミルク風呂に入り、何億という宝石やドレスを買い、贅沢三昧した挙句、適応障害になりましたと言われても、
 だから?
 と言いたくなる。
 世の中には明日食うパンに困った上に犯罪や自殺へと追い詰められている人間がわんさかいるのに。
 
 とはいえ、知り合いが「雪組公演の時のエリザベートは良かったよ~」と大絶賛していたし、
 私も花總まりと瀬奈じゅんがエリザベート役した時の公演は良かったと思ったので久しぶりに見に行きました。

 で、感想は、
 ・・・・・・・・・。
 微妙。
 はっきり言うと面白くない。
 なぜだろう。
 瀬奈じゅんのトートは彼女の中性的な魅力が発揮されこれ以上に無いぐらいセクシーなトートだった。
 霧矢大夢のフランツは彼女の暖かな雰囲気が生かされこれ以上に無いぐらい優しいフランツだった。
 驚いたのは龍真咲のルキーニ。ルキーニ役を若手役者のエネルギッシュさで生き生きと演じており、目を離すことができなかった。
 明日海りおのルドルフもつたなさがありながらもその不安定さがルドルフにぴったりだったし、遼河はるひのエルマーも知的な野心家という感じで良かった。
 なのに、なぜか全体的に面白くない。
 感動することもないし、美しい歌声に聞き惚れることも、格好いい踊りに見惚れることも無い。
 後半部分はただひたすらあくびをかみ殺し、早く終わらないかと時間ばかり気にしていた。
 エリザベートをトートが迎えに来るラスト。
「やっと終わる」
 と心底から大きなため息を付いてしまった。

 何が悪いのだろう。何が面白くなかったのだろうと友人とひとしきり首を傾げて、一応結論づいたことは
 エリザベートの演技に感情移入ができなかったことじゃないか
と思う。

 宝塚歌劇は男役こそが主演で娘役は刺身のツマのように考えられている。
 時には「相手役」などと言われて男役あってこその娘役のように考えられている娘役だが、彼女達がひそかに男役を輝かせるように立ち居振る舞いを気遣っていることは知る人しか知らない。
 男役がいてこその娘役ではない。
 娘役がいてこその男役なのだ。
 そして腐ってもタイトルロール。
 この「エリザベート」は主演娘役の演技如何で公演の出来が決まるのだろうと思う。

 今回のエリザベート役は宙組の男役が特別出演している。
 エリザベート役に抜擢されるぐらいだから実力はあるのだろう。
 だが、彼女がエリザベート役にふさわしかったかどうかは、今後の演技如何ということになりそうだ。


コメントを投稿