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ACID JAZZ FREAK

一時のブームとして流されがちなアシッドジャズ。その作品群を取り上げ、思うところを書いていく、時代に逆行したブログです

Get Organized / JAMES TAYLOR QUARTET

2010年12月30日 | FUNK

James Taylor Quartet、通称 JTQ は、ACID JAZZレーベルの代表格バンドだ。
とはいえ、ACID JAZZレーベルのロゴが入っていないアルバムが多数あり、さらにベスト盤と銘打ったものもいくつかある。
正直言って、どれから聴いたものかわからなくなってしまう。

JTQサウンドを特徴づけるのは、なんといってもハモンドオルガンである。
リーダーの James Taylor (ヴォーカリストのそれとは別人)はキーボード奏者。そこへギター、ドラム、ベースを加えた4人編成(カルテット)。
さらに、必ずと言ってよいほど管楽器を加えている。

その指向は、主に3つに分類できるだろう。
ひとつは、初期の# Blow Upや# Mission Impossible's Themeに代表されるチープなオルガン。
もうひとつは女性ヴォーカルを入れた歌もの。
そして残るひとつが、いわゆるアシッド・ジャズ的ジャズファンクだ。

まだJTQのアルバムをすべてチェックしたわけではないので、途中記事で申し訳ないのだが
初期の頃のサウンドというのは、どちらかというとサーフミュージックにも通じる単純な音楽であったように感じられる。
それはそれでいいのだろうが、そこにジャズを感じる要素は薄いように思える。
したがって、この時期の作品はスルーしている。

歌ものに関しては、どれも楽曲の質が高い。
バンドのアンサンブルが練られているのはもちろん、ゲストのヴォーカルも実力者ぞろいで聴き応え充分だ。

ただ難点を言うと・・・、
歌ものになると、このバンドのアイデンティティとも言うべきオルガンが、あまり目立たなくなる。
バンドサウンドを作ることに徹しているのは好感が持てるのだが、それではBNHやIncognitoとなんら変わらないとも思ってしまうのだ。
バンドサウンドを作るにあたってオルガンでなくエレクトリック・ピアノやアナログシンセなどを弾いている時もあるが、
オルガン好きとしては、JTQにはオルガンサウンドを期待する。楽曲自体は良いので、なんとも言いがたい部分なのだが・・・


そうした観点から紹介したいのが、本作である。
3つ目の彼らの特徴、アシッド・ジャズ的ジャズファンクを全編にわたって展開しているアルバムだ。

4ビートやボッサ・ビートの曲も多く取り上げ、彼らの作品の中では「ジャズ度」が高いものではなかろうか。
#1 Grooving Home は、イントロから「これぞハモンド!」とも言いたくなるようなオルガンサウンド全開の曲だ。
(タイトルはおそらく、ジャズオルガン奏者Richard "Groove" Hormesに捧げたものだろう)
#3 The Stretchや#6 breakout なんかは、トラディショナルなジャズファンクと言えるだろう。

#4 It Doesn't Matter はこのアルバム唯一の歌ものだが、めずらしく男性ヴォーカル。
4ビートでスイングするバンドをバックに、スキャットのアドリブを混ぜるなど多分にジャズを意識した作りである。
(独特の声質には、上手いんだか下手なんだかよく分からない感覚を覚えるが・・・)

#5 Touchdown は管楽器を入れずに、ストイックなグルーヴに乗ってスリリングなキメを見せる。
#8 Bluebird はストレートなバップナンバー。メンバーのソロの応酬は、往年のオルガンジャズを踏襲している感じだ。
#7 Brothers Batucada や#9 Bossa Pilante などはタイトルから分かるとおり、ラテンジャズ的アレンジを施した楽曲。

10曲収録でもトータル50分弱と短く、耳に心地良いので、BGMに流しているとあっという間に終わってしまう。

 Jimmy Smithなど60年代のオルガンジャズに馴染んた方には物足りないかも知れないが、
反対に、それらがゴリゴリすぎてちょっと・・・という向きには、是非本作をおすすめしたい。

その物足りなさの原因のひとつには、やはりベースの存在があるように思う。
モダンジャズのオルガンは、オルガン奏者が左手もしくは足鍵盤でベースも弾くので、ベーシストが入らないのが通常だ。
しかし、強力なグルーヴを求めてベーシスト(エレキベースが多いがウッドベースの場合もある)を入れることも多い。

ところがJTQの場合、ベーシストを入れることで逆にグルーヴはマイルドになってしまっているように思える。

オルガンはキーボード化し、ベーシストはオルガンの邪魔にならないよう当り障りのないラインを弾くのみだ。
これならばオルガンがベースも弾いたほうが、よりオルガンジャズらしくなると思うのだが・・・
ベーシストを入れるならば、ベースも自己主張するように太い音色、独自のラインで、グルーヴを推進して欲しい。

まあ、これは好き好きだろう。聴くぶんにはあまり気にならないポイントであるように思う。


もっとファンク色を出したオルガンものをお望みならば Soulive がお勧めだ。
またMaceo Parkerの諸作も、オルガンが(ベーシスト不在で)強力なグルーヴを送り出している。
これらについても頁を改めて紹介する予定だ。


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