質問要旨 |
7月に厚生労働省が、2040年度には介護職員が280万人必要と なる推計を発表した。これを静岡県に置き換えると、最新の資料では 約1万8千人も足らない。 その対策として、9月補正予算案の中の「福祉系高校修学資金貸付 事業費制度」については大いに評価するが、具現化を求めたいのは、 浜松市からも要望が上がっている「県立天竜高校への介護福祉学科の 新設」である。 県内には、東中西に一校ずつ介護福祉学科を設置する公立高校がある。 西部の磐田北高校の本年度入試倍率は1.05倍であるが、本年度 1,000人を超す定員割れを起こした公立高校の中では悪くない 数字であり、ニーズを感じられ、浜松市からの要望は理にかなって いると考える。 また、天竜高校には総合学科福祉系列がある上に、設備は十分であり、 近隣の複数の福祉施設によるバックアップ体制も恵まれている。 確保が難しい福祉系教員の代わりとしては、文部科学省の 「マイスター・ハイスクール」事業を同時に推進すれば解決可能だと 感じている。 以上の観点から、天竜高校への介護福祉学科設置とマイスター・ハイ スクール制度の導入支援についての所見を教育委員会に伺う。 また、才徳兼備の人づくり小委員会がとりまとめた報告書では 「地域を見据えた人材育成の必要性」と「地域の実情に応じた魅力 ある学校づくりの必要性」が課題とされ、さらに「地域ならではの 新しい価値を創造し地域を支える人材を育成するために、地域の 将来像や地域が求める教育等を十分踏まえる必要がある」との提言を 受けている。まさに天竜高校のことを謳った提言のようだが、 これも踏まえ、真摯な答弁を求める。 |
<答弁内容> 木苗教育長
県立天竜高校への介護福祉学科の新設とマイスター・ハイスクール制度導入についてお答えいたします。
本県では、介護福祉士試験の受験資格を得ることができる福祉科を県内の東部・中部・西部の3校に設置しており、
令和3年度募集定員の合計は全国で3番目に多くなっております。また、天竜高校など8校で、
訪問介護などの介護業務が可能となるカリキュラムを設けております。
しかしながら、多くの生徒は多様な進路が選択可能な学科を志願する傾向があり、
福祉科は磐田北高校で令和3年度入試では定員を満たしたものの、近年、定員割れが生じております。
また、総合学科を有する天竜高校でも、福祉系列の選択者は少なく、卒業後も福祉関係に進む生徒は限られております。
ただし県教育委員会といたしましても、高齢社会に対応した福祉人材養成の必要性を認識しているところであり、
高校における福祉の学びの魅力化に取り組むことが重要であると考えております。
こうした中、浜松市から天竜高校への介護福祉学科新設の要望を頂いたところであります。
このため、健康福祉部と連携し、天竜高校における福祉系列の選択者増加に向けて、福祉の魅力を伝える出前講座の
更なる活用に取り組んでまいります。また、令和4年度入学生から教科「福祉」の科目数を増やすとともに、
地元の社会福祉施設との連携を強化して実習を一層充実し、福祉の仕事に対するやりがいを伝えてまいります。
なお、次世代地域産業人材を育成する「マイスター・ハイスクール」事業につきましては、
来年度全国で15か所の採択が予定されております。現在、浜松市から工業分野での提案を頂き、県、市、産業界及び
導入候補校において申請に向けた準備を進めているところであり、この事業の継続と採択枠の拡大についても注視してまいります。
天竜高校への介護福祉学科の新設につきましては、天竜地域をはじめとする西部地域全体の福祉分野への志望動向を見極める
とともに、天竜高校が今まで以上に地域の期待に応えられるよう、地域づくりや産業振興に関するビジョンなどを伺いながら、
高校長期計画の改定作業の中において、さらに議論を重ねてまいります。