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胸毛ネットワークス

格闘家に関する余計なお世話なコラム

選手考察:三島☆ド根性ノ助編

2005-05-31 18:32:39 | 選手考察
強いレスリングと極めを持っているのはさることながら、相手を分析して弱点を突く合理的な戦い方や判定勝利への持ち込み方、序盤から自分のペースに持ち込む術に長けているといったズル賢さが特に目立つ。スタンドでは打撃で押し込む場面はほとんど見られないレベルだが、トリッキーな蹴りでなんとか自分の距離を保っていると言ったところか。全体的に器用で嫌らしい攻めをする選手だ。

格下の相手だと相手を飲み込むかのような一方的な試合をする三島だが、実力が伯仲する相手や自分の計算通りにいかない展開だと極端に堅くなる場面が度々見て取れる。過去完敗した五味戦とハウフ戦を見てみると表情からはプレッシャーを感じているのはもちろん、冷静さを失った動きが随所に見られた。五味、ハウフともにどんどん前に出るタイプであり、そういった考える暇を与えないスタイルは三島の苦手なタイプでもある。

もちろん五味、ハウフともトップクラスの選手であり負けてもおかしくはない。だが三島が更に上を目指すなら“展開が思うようにいかない試合”が当然増えてくる。その時にどう気力を維持するかが今後の問題だ。


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選手考察:近藤有己編

2005-05-30 18:20:47 | 選手考察
打撃スキルが飛び抜けて高い選手かのように見られるが実際はオールラウンドに近い選手であり、むしろ技術よりも大胆でセオリー通りでない動き、常に前に出る強靭な精神力などメンタル面でのスキルの高さが一番の武器ではないか。特に動きに関しては独特で、通常その場面では考えにくい、予測できない動きが細かいのだがよく見られる。それを支えるスタミナも抜群だ。

その独特の動きの原動力は何か、それはチャンスを掴み取る能力の高さにある。よく近藤が外国人選手から「デンジャラスファイター」と形容される所以には、数々の試合で対戦相手を膝蹴りで葬ってきたことに代表されるような、とにかくチャンスと見るや思い切った行動に出られることが「一発のある相手」という恐怖感を与えていることがある。普通チャンスと思っても失敗して下になってしまったり、スタミナを浪費することを考えると大胆な動きは控えるものだが、近藤は迷いも無くそれを実行してしまうところに直感の鋭さや実行力の高さを感じ取れる。

決して打撃巧者であるとは思わないし、寝技、レスリングにおいても目を見張るほどのものがある訳ではない。しかしワンチャンスをモノにする能力は日本人選手の中では群を抜いているように見える。


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選手考察:ジェンス・パルヴァー編

2005-05-26 08:18:21 | 選手考察
元々レスリングをやっていたパルヴァーだが、相当殴るのが好きなのかMMAではボクシングスタイルの試合が多い。プロボクサーとしても試合を重ねておりパンチのスキルは高いのだが、試合を見る限り“MMAにおけるボクシングスタイル”を完全に確立しているとは言い難い。当然のことを言うようだがMMAはMMAであってボクシングではない。

五味戦では殴り合いになった挙句KO負けしてしまったが、これは五味とパルヴァーのMMAという競技の考え方における柔軟度の差が出た試合だった。五味はパンチだけでなくタックル、ローなどMMAにおけるあらゆるスタンド技術を用いていたが、パルヴァーはパンチ一辺倒。これでは効率が悪い。MMAではタックルも打撃の有効なフェイントになりうることを考えるとレスリングの経験を生かしたタックルをもっと見せるべきだった。またKO負けしたラドウィック戦やマックスウェル戦のように打撃スキルが同等、あるいはそれ以上の選手を相手にして、弱いアゴで打ち合いに応じる必要も減ってくるしパンチの精度も上がる。

ただそれをやらなくても優れたスタミナ、精神力も後押しし、65kg級でトップコンテンダーとしてのポジションを確立していることには間違いはない。しかし大舞台での階級設定が今のところ70~73kgということを考えた場合、彼にとって決して無駄な技術ではないと思う。


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選手考察:サム・グレコ編

2005-05-24 21:28:01 | 選手考察
強い。現時点で4試合しかしてないが試合を見るたびにそう思う。総合デビューとなる佐竹戦の時からその予兆はあった。打撃のポテンシャルは今さら言うに及ばないし、特に驚かされたのは寝技での反応の良さである。その後の試合を重ねていく度に成長する寝技は目を見張るほどだ。そして何といってもクレバーである。

ヒーリング戦ではヒーリングの負傷により勝敗が決したが、戦前からヒーリングが勝つイメージが全く沸かなかった。勝つ要素が見当たらなかった。実力的には大体同じライン上にいる2人かもしれないが、相性を考えると猪突猛進タイプを料理するのを得意とするヒーリングには余りにもタイプが違う。むしろ苦手なタイプであろう。負傷TKOという結果はむしろヒーリングにとって良かったのではないか、とさえ思う。

ただあと何年現役でいられるか、年齢を考えるともっと強い相手との試合が見たい。動きを見る限りでは軽やかだし、判定までいったLYOTO戦でも目立ったスタミナ切れも見られなかった。層の薄いヘビー級にとっては良いソフトなだけに残りの試合数を考えるともったいない気がしてならない。


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選手考察:山本”KID"徳郁編

2005-05-22 08:56:05 | 選手考察
良くも悪くも“無鉄砲”だ。それは類まれな肉体、身体能力の高さが生んだ産物でもあり、自分に自信があるために行動に躊躇することなく思い切り踏み込んでいくことができる。その自信漲る佇まいから、対戦相手が臆してしまう場面を度々見ることすらある。

だが“無鉄砲”ならではの弊害もある。パーリング戦でのタックルに膝を合わせられての敗北は悪い方に出た典型的な形だ。そして圧勝と言われたトニー・バレント戦ではあるが、実はタックルに入る際の場面はパーリング戦のデジャヴかと思わせる危ないシーンであった。バレントはカウンターの膝を狙っていたのだろう完全にタイミングがあっており、当たらなかったことに感謝してもいいくらいであったし、安廣戦では安易に首を取られてしまったこと、カラン戦でもカウンターの膝を胸に受けてしまったことなど、“無鉄砲”がゆえの必然的弊害も多い。

一発大怪我しかねないスタイルではあるのだが、そのアグレッシブなファイトスタイルがKIDの実績、人気の原動力になっていることは疑いの余地はない。


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