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胸毛ネットワークス

格闘家に関する余計なお世話なコラム

選手考察:五味隆典編

2005-06-16 21:48:58 | 選手考察
修斗からPRIDE武士道へ戦いの場を変えた五味が変わったのは、「場」だけではない。“判定でも勝てばいい”的なコメントが聞かれた修斗時代と違い武士道では“魅せて勝つ”ことに重点を置いたコメントに変わり、それに伴いスタイルも一本かKOを狙ったスタイルに変わった。その変化に賛否両論の声はあれども、結果を出している以上は責める理由は全くないのが格闘技の世界だ。

そのKO狙いの打ち合うスタイルへの変更は「功を奏している」という表現よりは「必然」の方がふさわしい。その理由はボクシングテクニックの非凡さ以上に並外れた“打たれ強さ”にあり、過去に桑原戦でハイキックをカウンターでもらうというKO必至の技を食らいながらも逆転勝利してしまった経緯もある。それゆえ打撃系選手に対してはめっぽう相性が良い。穴と言えば過去の手こずり具合からしてねちっこい柔術系の選手が苦手なところか。

修斗にとっては酷な話だが、五味が武士道に移ったことでのスタイル変更は皮肉にも修斗で持て余していた能力を開花させることになったのではないか。そのあたり非常に強い運も持ち合わせている選手だ。


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選手考察:ヴァレンタイン・オーフレイム

2005-06-13 15:16:31 | 選手考察
一般に黒人選手というのは感情の起伏が激しい。気分が乗れば格上の相手を倒すこともあるが、その反面ナーバスになりやすく唐突なタップや無気力ファイトが目に付く。そんな黒人選手の中でも特にその傾向が強いのがこのヴァレンタインだ。クートゥアーやババルなど一流選手から一本取ったかと思えば無名の選手に連敗するなど浮沈の差は実に激しい。そして不利なポジションになっただけでタップするシーンなどからはかなりのデリケートさが伺える。

打撃と関節技のスキルは非常に高い。しかしそれが生きるのも先手を取った時だけである。ナイーブな彼にとって後手に回るということは負けに等しいようなもので、例えば得意の極めを相手に凌がれた途端、戦意喪失して逆に極められる場面などは、もはやある意味で彼の十八番と呼んで差し支えない。打撃も自分の距離になった時は強いのだが、相手が前進して距離を潰されると後手に回ってしまうのがオチだ。

しかし戦績を見てもほとんど一本勝ちか一本負けという極端さは、スタミナにも難があるのを差し引いても珍しい。昔のような型にハマった時の怖さは取り戻せないだろうか。


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選手考察:桜庭和志編

2005-06-08 18:28:22 | 選手考察
今や日本総合界のエースとして認知され一般層には“気のいい兄ちゃん”で通っている桜庭だが、コアな層からすれば自尊心が高くカッとなりやすい“激情型”のイメージが強いのではないか。それは試合を見ていても勿論、専門誌でのインタビューでも激情型ゆえの感情の高まりが見て取れる。

各スキルが高く戦術にも長け、独特の片足タックルや独自の関節技の入り方などに「発想の自由度の高さ」を感じさせるあたりMMAに持って来いの選手だと思うが、気になるのは前述の激情癖が試合で裏目に出る事が多いことだ。一旦頭に血が上ると、そのクレバーな戦術から形容される“IQレスラー”の面影はそこには無く、殴り合いに走って墓穴を掘ってしまう、といった展開は桜庭ならではのお約束といった感もある。

だがそういった欠点は本人も自覚して、殴り合いに走る場面は近年はそれほど見られなくなった。ただその程度の柔軟さでは、シウバ戦を諦めて階級を下げるまでには至らないあたりは激情型の名残か。


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選手考察:ダン・ヘンダーソン編

2005-06-06 08:30:53 | 選手考察
あらゆる格闘技メディアの媒体で常に高い評価を受け、93kg級のランクで5位以内に入ることもしばしばのヘンダーソンだが、やや過大評価気味の感は否めない。確かに強い選手には違いないが、その過大評価に繋がりやすい原因には応援しやすい“善玉キャラ”が影響しているように思えなくもない。何にしろきちんと戦績を総合的に判断すればもう少し評価が落ち着いてもいい選手だと思う。

試合では輝かしいレスリングでの実績とは裏腹にレスリングに固執したところは見られない。腰の強い相手に対してテイクダウンしようと躍起になることはあまりないし、むしろ自分があっさり倒れる場面もよく見られるが、逆にその辺のスマートさが彼の持ち味とも言える。グラウンドの攻防はやや劣勢に回りがちだが、相手の動きを読んで凌ぎきる辺りは五輪代表の運動神経が伺えるし、スタンドでは最短距離で届く強い右ストレートがありレスリングに固執しない理由は分からなくもない。

ただ逆に言えば固執するだけのタフネスさが無いとも言える。過剰に顔面を殴られるのを嫌うフシがあるヘンダーソンだけに、テイクダウンに手間取って殴られたくない気持ちが強いのだろう。その辺りは同じチームでもクートゥアー、リンドランドらとは対照的だ。


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選手考察:ガイ・メッツァー編

2005-06-03 21:21:54 | 選手考察
一時期「膠着大王」などと不本意なアダ名が付けられ、その挙句興行主の圧力によりアグレッシヴなスタイルに変更した途端連敗を重ねてしまった過去を持つメッツァー。だが本人はルール通りに戦っている訳なので圧力をかけられる筋合いはないし、むしろルールの不備を選手に押し付けた興行主に問題があったことを鑑みると、地力はあるだけにやるせない気持ちにさせられる。

スタイルはスタンドでの打撃を主体とするがややそれにこだわり過ぎか。キックでの実績もあり全体的に上手い打撃なのだが右ストレート以外は特に怖さを感じるものは無いし、逆に柔術家の打撃に押される場面も度々見られ、打撃に固執できるほど突出したスキルがあるとは思わない。むしろ関節技に対する反応は良く、あまり見られないがパウンドもフェイントを交えていて上手いことから、もっと自分からテイクダウンを狙っていくスタイルに変更した方が良さそうな気もする。

だが仮にメッツァー本人がその辺を理解した上で、アグレッシブに見せるよう打撃を使っているとしたら残念である。ファンから賞賛を浴びたくてやっている分には本人の勝手だがそうでないとしたら、興行主が“選手が勝つことだけを考えて試合をした結果面白くなるルール”を設定しないことに問題があると言えるのだから。


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