前々回の記事で紹介した,ビギナーズ☆パブコメの集計結果に書かれた当事者たちの意見(http://www.moj.go.jp/content/000106656.pdf)については,敢えて黒猫自身のコメントを付けずに原記事を転載しましたが,法学部生たちの意見はともかく,法科大学院生や修了生たちの意見の中には,黒猫としても若干突っ込みたいところがあります。
黙っているとストレスがたまるので,この記事では一部の意見について黒猫自身のコメントを付けることにします。黒猫のコメント部分と区別するため,引用した意見の部分は紫色で表示してあります(一部,前々回の記事では取り上げなかった意見もあります)。
・経済的な事情から、すでに大学からロースクールにかけて、相当の奨学金貸与を受けており、最終的には600万を超える返済が必要です。それでも夢を諦めたくないため勉強を続けていますが、正直経済的不安は考えるのが嫌になるほど感じています。(法科大学院在学生)
<黒猫のコメント>
「夢」ってなあに? 弁護士バッジを付けてケータイ持って徘徊するのが夢なの?
参考URL:http://president.jp/articles/-/8359
・合格者が2000人にとどまっていながら、貸与制に移行するのは、立法事実に合理性が無くなっているのではないか。貸与制に移行するのであれば、せめて修習生の修習専念義務を課さないようにするなどの配慮が必要ではないか。(法科大学院修了生)
<黒猫のコメント>
この人の意見は,司法試験合格者数がもっと増えるのであれば貸与制でも良いと言っているようにしか読めませんが,司法試験に合格しさえすれば何でも解決すると思っているんですね。
(注:上記の意見は,前々回の記事では取り上げませんでした)
・多様な人材の確保などと謳っておきながら、制度設計は親に仕送ってもらいながら金銭負担に問題ない24才くらいでストレートで合格していく者を想定したものになっている。これでは多様性確保は絵に描いた餅だと思う。(法科大学院修了生)
<黒猫のコメント>
多様性の確保というのは法科大学院関係者が勝手に言っているだけで,弁護士業界の中では,社会人経験者や他学部出身者を優先的に採用するなんて動きは全くありません(むしろ,そのような人は司法試験合格時の年齢が高いため冷遇されることが多いです)。そのような問題が明らかになった今でも,就職難などを理由に合格者数減員を主張する日弁連に対し,とにかく合格者数を増やせ,就職問題など放置すべきだと主張しているのが検討会議における「有識者」の大勢です。
絵に描いた餅というより,そもそも「絵」自体が入学者を騙すために描かれているような気がします。
・私は、非法学部で純粋未修で法曹を目指しました。ロースクール進学を親に相談したとき、経済的事情から、とても強く反対されました。ロースクールは、国立でも通常の大学院の倍学費がかかります。更に合格しても、まるまる1年修習が義務づけられるのにもかかわらず、そこでの収入が全くないとなると非常に苦しい状況です。忙しいロースクール時代にもずっとアルバイトをして、奨学金で生活費をまかなっていました。修習の貸与と合わせると、社会人になる時点で借金は1000万円を超えます。結婚や出産もしたいと思っていますが、それよりもまずは自分の借金をかえしていかなければと考え、特に出産のタイミングを悩ましく思っています。(法科大学院修了生)
<黒猫のコメント>
今時非法学部・純粋未修で法曹を目指すなんて,自殺行為に等しいと思うのですが・・・。
おそらく,ローの説明会などで「多様なバックグラウンドを持った法曹」などという中身のない理念の話を聴いて感動してしまい,親に強く反対されてますます意固地になってしまい,自分から最悪の進路を選んでしまったのではないかと推測されますが,そう考えると今時の法科大学院は,ある種のインチキ新興宗教に似てますね。
・裕福な家の出身者でなければ弁護士になれない現在の制度には疑問を感じます。私は法曹となったのちは、社会的弱者を守る弁護士を目指していましたが、現在の制度のもとではまずは自己の多額の借金返済を目標にせざるを得ません。(法科大学院修了生)
<黒猫のコメント>
社会的弱者を守る弁護士ねえ・・・。口では何とでも言えますよね。
そもそも,旧司法試験や予備試験ではなく法科大学院経由で,言い換えればお金の力で楽に法曹になろうと考えるような人の中に,本当の意味で社会的弱者を守ろうと考えているような人がどれほどいるのか,黒猫は疑問に思っています。
・今年の司法試験に受かり、66期修習予定者です。家庭に余裕がないため、貸与申請を行ないます。今、一番の心配は、司法修習で地方に行くことにならないか、です。実家から通えるならまだしも、地方修習になると金銭的負担が多くなり、たとえ弁護士になっても、借金返済のため儲かる仕事を優先せざるを得なくなりそうでとても心配しています。そもそも、私は弱者の立場に立って人権活動をしたいがために弁護士を目指しました。しかし、今の制度ではそれが叶わないのではないかと、思っています。そうすると、なんのために弁護士になったのか、全く無意味に思えて仕方ありません。
<黒猫のコメント>
大丈夫。今時の弁護士業界には,「儲かる仕事」なんて無いから(笑)。
・私は、今年合格しました第66期司法修習予定の者です。法曹になることをずっと応援してくれていた両親も、貸与制になったことや就職難等の理由により最近は公務員になることを強く勧めてくるようになりました。今年合格したにもかかわらずです! そのような両親の意向も無視できず、また自分としても法科大学院での奨学金に加え、貸与制で更に300万円程度借金を背負うことに不安があるので、現在は司法試験合格者対象の国家総合職試験法務区分を受験しています。もしこちらに合格した場合には、公務員になることも選択肢に入れています。修習生の経済的な負担は本当に大きなものです。一日でも早く給付制に戻ることを切に期待しています!
<黒猫のコメント>
黒猫も公務員になることを強くお薦めします。
今時の司法試験合格なんて,成績上位に入らなければほとんど無価値ですから(笑)。
・新第65期修習生としてある地方へ配属されました。実家から通える修習地を希望しましたが認めてはもらえず、この配属先で単身で暮らすことになりました。実家に帰ろうとすれば、鉄道を使って半日はかかるところです。そうして始まった修習でしたが、その期間中に親が亡くなりました。当然ながら実家に帰る必要があるものの、その交通費は借金で工面することになりました。修習生には給与は払われていないので、貸与資金から支出するしかないのです。辞令で実家から離れたところでの修習になったというのに、亡くなった親のところへ戻る交通費は借金で払うのが今の仕組みです。生前に交流のあった方々が故人を悼むのも自然な感情で、不相応なお金はかけられないにしてもお葬式をあげました。その費用も分担しましたが、給与をもらってないのですから貸与資金から出すしかありません。司法制度を運営する国の責任として法曹養成の過程にあるのに、身内の葬儀にかかる費用は借金をしてまかなうのです。
<黒猫のコメント>
親の葬式云々は論点がずれているような気がするので,前々回の記事でもこの意見を取り上げるかどうかは迷いました。
ただ,同じ修習生の中でも,例えば横浜在住で横浜での修習が認められた人と,横浜在住で希望地が通らず釧路修習になってしまった人とでは実質的な経済的負担が大きく異なり,給費制のもとでは国家公務員に準ずる待遇が認められていたので後者のような人からも大きな不満は出ませんでしたが,貸与制のもとでは後者のような人の費用負担が全部自腹になってしまい,希望地が通らなかったために修習を辞退する人も現れるなど,法科大学院推進論者でさえ見過ごせない事態が生じていることは確かであるため,そのような問題点を指摘する意見として敢えて取り上げた次第です。
・私は、学部及び法科大学院に奨学金によって進学しました。さらに、貸与制によって借金は総額約1000万円に上ります。私は、ただ弱者の力になりたいという一心で努力してきました。にもかかわらず、国の身勝手な政策によってこれだけの経済的負担を負うことには納得がいきません。現在も、アルバイトをしながら生活費を賄っています。親は自己の借金も抱えているため、頼ることはできません。貸与制は、貧乏人は法曹になるなという理不尽な制度としか思えません。それでも私は法曹になる夢を諦めたくはない。
<黒猫のコメント>
そこまでして,「ノキ弁」やら「アパ弁」やら「ケータイ弁」とやらになりたいのですか。
・経済的に困難なため、法科大学院修了後、一般企業に就職せざるをえなかった。司法試験には合格したものの、司法修習に行く資金がなく、現在は司法修習に行けておりません。給費制が復活したらすぐに企業をやめて司法修習に行きたいです。
<黒猫のコメント>
仮に給費制が復活したとしても,わざわざ一般企業の仕事を捨てて司法修習に行きケータイ弁になるのはお薦めできる進路とはいえないと思います。
黙っているとストレスがたまるので,この記事では一部の意見について黒猫自身のコメントを付けることにします。黒猫のコメント部分と区別するため,引用した意見の部分は紫色で表示してあります(一部,前々回の記事では取り上げなかった意見もあります)。
・経済的な事情から、すでに大学からロースクールにかけて、相当の奨学金貸与を受けており、最終的には600万を超える返済が必要です。それでも夢を諦めたくないため勉強を続けていますが、正直経済的不安は考えるのが嫌になるほど感じています。(法科大学院在学生)
<黒猫のコメント>
「夢」ってなあに? 弁護士バッジを付けてケータイ持って徘徊するのが夢なの?
参考URL:http://president.jp/articles/-/8359
・合格者が2000人にとどまっていながら、貸与制に移行するのは、立法事実に合理性が無くなっているのではないか。貸与制に移行するのであれば、せめて修習生の修習専念義務を課さないようにするなどの配慮が必要ではないか。(法科大学院修了生)
<黒猫のコメント>
この人の意見は,司法試験合格者数がもっと増えるのであれば貸与制でも良いと言っているようにしか読めませんが,司法試験に合格しさえすれば何でも解決すると思っているんですね。
(注:上記の意見は,前々回の記事では取り上げませんでした)
・多様な人材の確保などと謳っておきながら、制度設計は親に仕送ってもらいながら金銭負担に問題ない24才くらいでストレートで合格していく者を想定したものになっている。これでは多様性確保は絵に描いた餅だと思う。(法科大学院修了生)
<黒猫のコメント>
多様性の確保というのは法科大学院関係者が勝手に言っているだけで,弁護士業界の中では,社会人経験者や他学部出身者を優先的に採用するなんて動きは全くありません(むしろ,そのような人は司法試験合格時の年齢が高いため冷遇されることが多いです)。そのような問題が明らかになった今でも,就職難などを理由に合格者数減員を主張する日弁連に対し,とにかく合格者数を増やせ,就職問題など放置すべきだと主張しているのが検討会議における「有識者」の大勢です。
絵に描いた餅というより,そもそも「絵」自体が入学者を騙すために描かれているような気がします。
・私は、非法学部で純粋未修で法曹を目指しました。ロースクール進学を親に相談したとき、経済的事情から、とても強く反対されました。ロースクールは、国立でも通常の大学院の倍学費がかかります。更に合格しても、まるまる1年修習が義務づけられるのにもかかわらず、そこでの収入が全くないとなると非常に苦しい状況です。忙しいロースクール時代にもずっとアルバイトをして、奨学金で生活費をまかなっていました。修習の貸与と合わせると、社会人になる時点で借金は1000万円を超えます。結婚や出産もしたいと思っていますが、それよりもまずは自分の借金をかえしていかなければと考え、特に出産のタイミングを悩ましく思っています。(法科大学院修了生)
<黒猫のコメント>
今時非法学部・純粋未修で法曹を目指すなんて,自殺行為に等しいと思うのですが・・・。
おそらく,ローの説明会などで「多様なバックグラウンドを持った法曹」などという中身のない理念の話を聴いて感動してしまい,親に強く反対されてますます意固地になってしまい,自分から最悪の進路を選んでしまったのではないかと推測されますが,そう考えると今時の法科大学院は,ある種のインチキ新興宗教に似てますね。
・裕福な家の出身者でなければ弁護士になれない現在の制度には疑問を感じます。私は法曹となったのちは、社会的弱者を守る弁護士を目指していましたが、現在の制度のもとではまずは自己の多額の借金返済を目標にせざるを得ません。(法科大学院修了生)
<黒猫のコメント>
社会的弱者を守る弁護士ねえ・・・。口では何とでも言えますよね。
そもそも,旧司法試験や予備試験ではなく法科大学院経由で,言い換えればお金の力で楽に法曹になろうと考えるような人の中に,本当の意味で社会的弱者を守ろうと考えているような人がどれほどいるのか,黒猫は疑問に思っています。
・今年の司法試験に受かり、66期修習予定者です。家庭に余裕がないため、貸与申請を行ないます。今、一番の心配は、司法修習で地方に行くことにならないか、です。実家から通えるならまだしも、地方修習になると金銭的負担が多くなり、たとえ弁護士になっても、借金返済のため儲かる仕事を優先せざるを得なくなりそうでとても心配しています。そもそも、私は弱者の立場に立って人権活動をしたいがために弁護士を目指しました。しかし、今の制度ではそれが叶わないのではないかと、思っています。そうすると、なんのために弁護士になったのか、全く無意味に思えて仕方ありません。
<黒猫のコメント>
大丈夫。今時の弁護士業界には,「儲かる仕事」なんて無いから(笑)。
・私は、今年合格しました第66期司法修習予定の者です。法曹になることをずっと応援してくれていた両親も、貸与制になったことや就職難等の理由により最近は公務員になることを強く勧めてくるようになりました。今年合格したにもかかわらずです! そのような両親の意向も無視できず、また自分としても法科大学院での奨学金に加え、貸与制で更に300万円程度借金を背負うことに不安があるので、現在は司法試験合格者対象の国家総合職試験法務区分を受験しています。もしこちらに合格した場合には、公務員になることも選択肢に入れています。修習生の経済的な負担は本当に大きなものです。一日でも早く給付制に戻ることを切に期待しています!
<黒猫のコメント>
黒猫も公務員になることを強くお薦めします。
今時の司法試験合格なんて,成績上位に入らなければほとんど無価値ですから(笑)。
・新第65期修習生としてある地方へ配属されました。実家から通える修習地を希望しましたが認めてはもらえず、この配属先で単身で暮らすことになりました。実家に帰ろうとすれば、鉄道を使って半日はかかるところです。そうして始まった修習でしたが、その期間中に親が亡くなりました。当然ながら実家に帰る必要があるものの、その交通費は借金で工面することになりました。修習生には給与は払われていないので、貸与資金から支出するしかないのです。辞令で実家から離れたところでの修習になったというのに、亡くなった親のところへ戻る交通費は借金で払うのが今の仕組みです。生前に交流のあった方々が故人を悼むのも自然な感情で、不相応なお金はかけられないにしてもお葬式をあげました。その費用も分担しましたが、給与をもらってないのですから貸与資金から出すしかありません。司法制度を運営する国の責任として法曹養成の過程にあるのに、身内の葬儀にかかる費用は借金をしてまかなうのです。
<黒猫のコメント>
親の葬式云々は論点がずれているような気がするので,前々回の記事でもこの意見を取り上げるかどうかは迷いました。
ただ,同じ修習生の中でも,例えば横浜在住で横浜での修習が認められた人と,横浜在住で希望地が通らず釧路修習になってしまった人とでは実質的な経済的負担が大きく異なり,給費制のもとでは国家公務員に準ずる待遇が認められていたので後者のような人からも大きな不満は出ませんでしたが,貸与制のもとでは後者のような人の費用負担が全部自腹になってしまい,希望地が通らなかったために修習を辞退する人も現れるなど,法科大学院推進論者でさえ見過ごせない事態が生じていることは確かであるため,そのような問題点を指摘する意見として敢えて取り上げた次第です。
・私は、学部及び法科大学院に奨学金によって進学しました。さらに、貸与制によって借金は総額約1000万円に上ります。私は、ただ弱者の力になりたいという一心で努力してきました。にもかかわらず、国の身勝手な政策によってこれだけの経済的負担を負うことには納得がいきません。現在も、アルバイトをしながら生活費を賄っています。親は自己の借金も抱えているため、頼ることはできません。貸与制は、貧乏人は法曹になるなという理不尽な制度としか思えません。それでも私は法曹になる夢を諦めたくはない。
<黒猫のコメント>
そこまでして,「ノキ弁」やら「アパ弁」やら「ケータイ弁」とやらになりたいのですか。
・経済的に困難なため、法科大学院修了後、一般企業に就職せざるをえなかった。司法試験には合格したものの、司法修習に行く資金がなく、現在は司法修習に行けておりません。給費制が復活したらすぐに企業をやめて司法修習に行きたいです。
<黒猫のコメント>
仮に給費制が復活したとしても,わざわざ一般企業の仕事を捨てて司法修習に行きケータイ弁になるのはお薦めできる進路とはいえないと思います。
それは極端でも、ある程度ハイクラスな生活ができそうだから、みんなリスクを背負って挑戦したんだよ。「異議あり!!」なんて格好よさそうなところも魅力だったんだろうけど(実際は、そんなに異議なんて言わないけど・・・。)、それに加えてそこそこの生活は大事でしょ。
それが非現実となってしまった昨今、この業界に魅力なんて、だ~れも感じないってこと。
お偉い学者さんやお左な先生方には、それがわからんのですよ。
世のため人のため弱者保護のボランティアなんて
ナンセンスでしょ
弁護士に高度の社会貢献を求めるなら
弁護士を生活の安定を得られる職にすることが必要だと思う
ケータイ弁も、それがビジネスとして成立するならありだと思いますが。
楽な時代に儲けたお金で、優雅に暮らし、若い人に偉そうなことを言って、たまにパンをやって餌付けして、左団扇を扇ぎながら、若者の人生をもてあそんで楽しみつつ、制度改革の功労者として勲章をもらう。
サイコ―でしょ?
俺らは、300人しか合格していなかった時代のスーパーエリートだから、お前ら1500人だとか2000人だとかの量産型の兵隊とは違うんだよ。
ってことらしいんです。
が、
修了生のためと思って厳しいことをおっしゃっていると
思いますが、他人に対するお思いやりが全く感じられません。
正論だと思いますが・・・もう少し丁寧なお言葉を使った方がイイのではないのでしょうか!?
でも改革(合格者削減)をすると、また弁護士が豪華な暮らしと殿様商売をはじめそうで、それはそれで好ましくないです。
適正人数は見極めつつ、多少は既存の弁護士の方も汗をかいていただかなくてはなりません。
弁護士の方の法曹養成に関する主張は、ローの教授に比べれば、勿論正しい点が多いとは思いますが、多少自らの利権が絡んでいるので、全面的に同意とはいきません。