娘の誕生日に２年前を想い出す

子煩悩です。おぼんこぼんとは関係ありませんパーシーです。

ちょうど２年前。

もうすぐ、昼になろうとしている時間に携帯が鳴った。
急いで病院へ向かうと、妻はまだ余裕の表情を浮かべていた。

「そんなに薬も効いてこない」

そんなことを言っていたのも束の間。
陣痛は徐々に激しくなり、胎児の心拍モニタが妻のお腹に付けられた。

「ひぃ　ひぃ　ふう」なんて呼吸法を助産婦さんが教えてくれた。
妻の手を握り、私はモニタを睨む。

針が大きく振れ始め、その間隔も短くなっていった。
産道も開き始め、助産婦さんが妻を陣痛室から分娩室へ移動させた。

立会い出産を希望していたので、一緒に入ろうとすると
「まだ準備がありますから、これを着て待っていて下さい」と手術着を渡された。

緑色の手術着に袖を通し、帽子を被り、マスクをした。
マスクがなかなか耳にかからず、自分の顔の大きさを疑っていたが
どうやらマスクは、伸びる仕掛けになっていた。

着替えてみると、やはり写真を撮りたい衝動に駆られ携帯を自分に向けて撮影開始。
ポーズを変えて、さあ２枚目というところで助産婦さんから
「ご主人、どうぞ・・・何、写真なんか撮ってるんですか」と声が掛かった。

慌てて分娩室へ入室すると、
「奥さんが上半身を起こしますから、頭を支えてください」と言われ
激痛のため起き上がる妻の頭を起き上がらないように上から押さえつけた。

「え？起き上がったら、頭を支えてください」
「あ・・・『押さえて』って言ったんじゃなくて、『支えて』か」

間抜けな夫を許せ。初産の妻よ。

しかし出産の痛みは経験者でないと分からないと言うが、男性に置き換えると
『尿道からスイカを出すくらい』痛い等と聞いたことがある。

実際、エスパー伊東でも無理だろう。もし出すって言うなら立会いをしてみたい。
立会い放尿・・・もとい、放スイカだな。
出産が想像を絶する痛みだということは伝わった。妻の表情からも分かった。

生まれたばかりの子供を洗い、産着を着せるところをビデオに撮れるというので
すぐにビデオを片手に部屋を移動した。

とにかく感動し、ビデオで撮影しながら涙が溢れていた私は助産婦さんに
「くせ毛ですか」と訳の分からない質問をしていた。

誕生日おめでとう。娘よ。