昭和四年四月未明。香港のタイプライター販売店で店主が鼻と口にポマードを押し込まれて、窒息死する事件が起きる。公安(中国の警察)が奥さんから事情を聞くと、「イギリス人がうちの店で『大麻を販売しろ』と言いにきて、主人がことわると顔にポマードを塗りつけたんです」と言った。公安は若い公安に応援を要請したが、全員別な現場に出払っていたっ。公安は住所を聞いて前向きにそこへ行く。海辺の倉庫でシートを広げて、大麻を中国人が三人でいじくっていた。公安が近づくと倉庫のなかで上半身に、真空パックみたいにポマードを塗りたくった坊主頭のイギリス人が立っている。公安が「どうして殺した」と聞いたら、男は足もとの特大ポマード缶から両手でかたまりをつかみながら「おまえを殺すためだ」と答えて公安に近づいてきた。公安は機械油につかった殺人マシーンのような、男のひとことにおじけついて心の電話で、小学生の息子(被害者幽霊を小学生に変換して対話する特殊能力がある)に呼びかけたが、応答がない。金貨の使い道が飽和して、これが誕生したんだろう。とりあえず公安はキックを男の顔面にヒットさせたが、鼻のそばをすべっただけで、男は鼻のまわりにポマードをつけなおす。男は公安が足払いを、してくる瞬間を狙って、片手をベルトの高さで左右に振っている。公安が飛び蹴りを、片足ずつ男の顔面に命中させたが、男は少しのけぞっただけでダメージがない。男がポマードを肩口につけてから、顔にポマードをつけなおした。男が肩口のポマードをつかんで公安に突進してくる。公安はふせて地面を転がってよけた。男が向きを変えて突進してくる。公安は大麻のシートに飛び込む。男がシートを蹴り上げる。公安は大麻を両手につかんで、男の顔に飛びついて貼りつけた。男がよろけて公安は背後にまわり込む。公安は飛びはねて男の頭にキックしたが、男が振り返ってポマードを持っている方の手で受けとめられる。なぜ気づいたんだ。男が目のまわりについたポマードと大麻をぬぐっていた。男が首まわりのポマードを両手につかんで、公安につかみかかってくる。公安は靴底のポマードですべった瞬間に足をかけられて押し倒された。公安は顔にポマードを塗りつけられる。腕をつかんでも手がすべってつかめない。そのとき奥さんが倉庫に入ってきて、男の頭に、タイプライターの活字をひとつかみ投げた。公安は渾身の力を込めて、男の股間をキックして、男の顔についているポマードをかきまわす。公安は男を逮捕した。