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(実録)会社倒産&自己破産のススメ

コトの顛末と関連する法律・理論をお伝えすることで、この道をお考えの方々の心の負担が軽くなるよう願っています。

担保不動産の競売について

2011-12-20 | 【倒産、破産に関する一般的な話】

〇〇銀行(以下、銀行)の借り入れについては、会社創業時から
母親所有の分譲マンション一室(当時、賃貸中)を担保に差し入れていました。

その後、当初の2千数百万円の内の1千数百万円については
新たな融資のたびに「保証協会保証付」の県や市の制度資金に変更されましたので
銀行に対する残り1千数百万円の担保として根抵当(限度額2千5百万円)が付けれていたのです。

当然、11月月初のXデーの2日後、弁護士からの受任通知にて
銀行は私の会社の支払停止状態を確認し
この日をもって「期限の利益を喪失した」ものとされたことになります。

銀行から委託を受けた回収会社はその後
今年5月に競売を申立て、同時にこれは差し押えられたはずです。

「はずです」と書く理由は、実は事前の相談の際に父親と一悶着あって
その以降、“実家への出入り禁止”にされ直接尋ねることができず、私の経験に基づく推測によるからです。

通常、競売になると、まず裁判所の執行官による現地調査が入り
人が住んでいる状態のままで内外の写真を撮られたうえで、現況が細かに記載され
同時、評価額も算出されて、これらがまとめられた報告書が作成されます。

この公開された資料を参考にして、最低落札価格の2割の保証金を支払ったうえで入札に参加し
最高額を入れた方が落札できるのですが、このマンションには2名の入札があって
結局、銀行の負債額の約20%、2百数十万円で落札されたことをネットでの競売情報で知りました。

住人は、新しい所有者と新たな賃料での契約を交わすことができればそのまま居続けられますが
賃料の交渉がまとまらなかったなどで立ち退きを要求されれば
6カ月以内に出ていかなければならないはずです。

ところで、1週間ある入札期間の最終日が、なんと
私の債権者集会&免責審尋日と同じ10月〇〇日だったことは驚きでしたが
意図的にそうした日程が組まれるのかまたは、たまたま偶然にそうなっただけなのか
それを知る機会はありませんでした。

落札代金は一旦、裁判所に支払われ、そこから競売に伴う各種手数料約35万円が差し引かれて
残りが回収会社に弁済されたのは、この日から約2カ月後の弁済金交付日のことでした。

債務者(私)、所有者(母親)、債権者(回収会社)の3者は裁判所の民事部にこの日に呼び出されて
手数料などが記載された売却代金交付計算書を渡されると同時に
回収会社は小切手などで弁済金を受け取れるのです。

裁判所からの弁済金交付日通知書に添付された事務連絡にはこう書かれています。

配当期日は債権者・債務者・所有者等が出頭しない場合でも開かれます。

したがって、遠隔地である、異議がない等の理由により
ご自身が出頭する必要がないと判断される場合は出頭されなくても構いません。

出頭された場合、配当表等の写しお渡ししますので、呼出状、受領書及び印鑑を持参して下さい。

出頭されず、配当表等の写しの交付を請求される場合には
同封の受領書に署名押印のうえ、90円切手を貼って宛先・宛名を書きこんだ返信用封筒をお送りください。

 

 


自殺ではなく、まず自己破産を考えてください。

2011-11-17 | 【倒産、破産に関する一般的な話】

私自身も経営難に陥った以降、自殺という言葉が数回、頭をよぎったことがありました。

監査役をお願いしていたTさんも同じような経営状況の下
冬を間近にした今頃のことでしたが、首吊り自殺を自宅物置で敢行して自ら命を絶ちました。

ところが、お互いの苦境を訴えてキズをなめ合っていながら
私とTさんの口から自己破産という言葉が出ることはありませんでした。

今にして思うと、二人ともこの制度の存在と利用方法などを含めて
それに関する知識が不足していたからでしょう。

もし当時、私に今ほどの経験と知識があったなら彼を死なせずに済んだかもしれません。

失敗したら即、切腹という日本人的DNAの影響とも思えませんが
また、“生きて恥を晒す”などという間違った認識が未だに持たれているからでもないでしょうが
自殺は思い付くのに、ゼロからの再スタートを認めたこの国の制度を
肝心な時に考えが及ばなかったのですから、今となっては残念でしょうがありません。

特に自営業者やそれに近い規模の会社経営者に多く見られる自殺です。

この、自らを抹殺して現実から逃げてしまう最悪の方法で頭が占拠されている方は
右のサイドバー「自ら命を絶とうとする方へ」をまずお読みください。

 

 


まだまだ免責が取り消されることもある。

2011-11-15 | 【倒産、破産に関する一般的な話】

現行の破産法において、債権者ができる免責の不服申立は
免責許可手続きの進捗状況によって次の3つの方法があります。

1.免責申立があったときは、1度目に官報に公告された日から1か月以上の期間内に
財産隠匿があるなどの意見を述べることができます。
この意見申述期間は裁判所から債権者に通知されます。

2.免責許可決定があったときは、2度目の官報公告の日から2週間以内に即時抗告ができます。

(現在の私はこの段階です)

3.免責許可決定が確定したとき、次の場合は取消を申し立てることができます。
ちなみに、この「確定」は官報に載りませんが
当事者が担当裁判所に問い合わせると教えてくれます。

(A)破産者が財産隠匿などの破産犯罪で刑事事件として有罪判決を受けた場合

(B)破産者に不正な行為があった場合で免責確定後1年以内

ただし、免責許可決定も一つの裁判であり、破産犯罪で起訴されて有罪となる(A)はともかくとして
(B)については、それなりの既判力(*)を持って確定するものですから
免責許可決定が確定した後に免責不許可事由が明らかになっても
原則的に申立ては認められず、よほどのことがない限り問題にはならないとされています。

これは、2.のように、債権者名簿に載っている債権者には免責確定前に異議申し立ての機会があるからで
そのときに異議を言わないで後から蒸し返して免責許可の取消を求めるのですから
なぜそのときに言わなかった(言えなかった)のか、ということについて
合理的な理由が説明できないと難しいとされているからです。

 

 (*)…既判力(きはんりょく)とは何か?

既判力とは、「確定判決に与えられる通用力・拘束力」であり
「その判断について蒸し返しを許さない効力」と言われています。

例えば、AがBを被告として訴訟を提起して敗訴の判決が確定した場合
再度、Aが同じ理由でBを被告として訴訟を提起することは

1.そもそも非常に無駄なことである(訴訟経済上不合理)。
2.これを許すと、もしかしたら、前の訴訟(前訴)と今回の訴訟(後訴)で違う判決が出てしまうかもしれない。
このような矛盾した判断が出されると混乱が生じるので、これを防ぐ必要がある(矛盾判断防止の必要性)。
3.また、AとBには、前訴で十分に争うチャンスが与えられていたのだから
訴訟の蒸し返しを許す必要はない。

とされ、民事訴訟法は「判決が確定した場合には、同じ訴訟を起こすことはできない」と定めています。

 

 


ここで再度、民法・破産法・免責不許可事由での詐害行為について

2011-11-10 | 【倒産、破産に関する一般的な話】

私の自己破産・免責許可申立の唯一の障害が
「閉店の1ヵ月前に自宅不動産を借金のあった親戚に相殺によって売却した」
ことにあることを何度も書いています。

それが「債務者が無資力の状態にある時に、債権者を害することを知りながら
債務の弁済にあてるための自己の財産を故意に減少させる行為」
である詐害(さがい)行為に該当する可能性があるからです。

この単語をこの歳になって初めて目にしたのは
売却の相談をしていた時期の税理士M先生のメールでしたが、正直、あまり気にしていませんでした。

理由は簡単で、事業の継続を画策していましたので「債権者を害する」意図がなかったからです。

次にこの単語を耳にしたのは、弁護士S先生を紹介してくれた I さんに
窮状を訴えいろいろ相談していた時のことですので、正式契約はまだでしたが
すでに親戚への売却が決まった後のことでした。

I さんの口からは何度も聞いていましたし、S先生と私を引き合わせてくれた時も
この話を真っ先に伝えていましたので、何か重要な部分なんだな、くらいの感じは持ち始めていました。

ところが、今になって思い返すに、S先生の口からこの単語を聞いた覚えがないのです。

もしかしたら、先生なりの意図があって
敢えて口に出すことをしなかった可能性もありますが、それは分かりません。

いずれにしろ、結果として案の定、その後のキーワードになったことは間違いないのですから
債務整理の専門家である税理士、弁護士の先生方が共通して懸念していたことを
よく理解していなかったからこそ平気でできたと言えるのかもしれません。

その後、この「詐害行為」という言葉がさまざまな段階で形を変えては登場するものだから
とても気になって放っておけず、ネットを利用してかなり時間をかけて勉強することになりました。

しかし、よく分からないのです。

法律の素人である私が見つけただけでも多分、次の3箇所に出てきます。

A.破産法252条、免責不許可事由

B.破産法160条~162条、破産管財人の否認権

C.民法424条、債権者の取消権

現実の流れの中でどの場面でどれが関係するのか難解ですが
以下、私なりに理解した範囲です。

もちろん、正誤のほどは不明です。

 

1.まず、破産・免責許可申立がされると裁判官はA.に基づいて許可・不許可を決定します。

(A.の中に詐害行為に当たるものが含まれています)

A.に該当しない場合は許可をしなければなりません(同時廃止)。

2.財産がある場合及びA.に該当する恐れがある場合は破産管財人を選任します(管財事件)。

*財産がある場合、破産管財人はそれを債権者に配当します。

*A.に該当する恐れがある場合、許可・不許可の意見書を提出します。
ただし、A.の詐害行為に当たる場合は破産管財人はB.に基づき
この行為を否認でき、結果手にした財産を債権者に配当します。

(どちらの場合も、終了した後に意見書も提出するのかどうかは不明です)

3.上記の一方で、債権者側が破産・免責申立人に詐害行為の疑いがあるとした場合
C.により取消を求める訴訟を起こすことができます。

詐害行為は判断が難しいため、裁判に訴えて判断を仰ぐこととされています。

 

 


会社の印鑑証明書はどうなるか。

2011-11-04 | 【倒産、破産に関する一般的な話】

自動車販売会社における印鑑証明書の使用頻度は頻繁で
特に問題になるのは「所有権留保」でお売りした車についてです。

所有権留保とは、ローンなどで売却した際によく採られる方法で
車検証の所有者欄はローン会社や販売会社の名前
使用者欄にお客様の名前が載ることになります。

つまり、お客様は単なる使用者に過ぎないのですから
所有者の印鑑証明書と署名捺印された書類がなければ何もできないことになります。

これらの必要書類を入手するためには、所有者に「譲渡依頼」をする必要があり
売掛金や自動車税の未納がないことを調べられた後で発行されますので
所有者がお金を取っぱぐれることがないのです。

いわゆる“債権保全”というヤツで、所有者の許可なく売却・下取りはもちろん
抹消すらできないようにしているワケです。

一方で、販売会社にとってはユーザーの乗換え情報が管理できるメリットもあります。

“自分のものなのに自分のものでない”この車検証のパターンは
お客様がよくその事情を知らないことをいいことにして
ディーラーでさえ「下取りの際にお客様の印鑑証明書が不要で便利ですよ」などと
本来の目的を隠した言い方をしてよく利用されています。

私の会社では、登録に1通、譲渡で1通、合計2通の印鑑証明書が必要なため
経費がかかるこのパターンを採ることを好んでしてはいませんでしたが
ローン会社との約定上などでやむを得ない場合はそうしていました。

ところで、会社(法人)には免責制度がありませんので
破産手続開始(破産宣告)をもって処理が終了します。

この時点で会社の登記簿がどう変わったのかは確認しませんでしたが
それまで登録されていた印鑑で印鑑証明書が発行されないことは事実です。

すなわち、会社の代表者印(登録印)自体もすでに私の手元にはありませんし
破産宣告が出て破産管財人が選任されると同時に
会社の登録印が破産管財人の印鑑に変えられてしまうのです。

このため、所有者が私の会社になっている車検証における譲渡依頼は
破産管財人に依頼をしていただくようになります。

(ローン会社であればそこへ依頼なさってください)

法律的な解釈では、この車も“会社の財産とみなされる”ためといいます。

ただし、私に免責許可が下りて破産管財人の仕事が完了してしまうと
会社の登記が抹消されるため、必要書類が少し面倒になるようですので
陸運支局にお尋ねいただくしかありません。

やはり破産管財人に依頼することになるようですが
有料との話も聞いていますので、該当するお客様には本当に申し訳ないことです。