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(実録)会社倒産&自己破産のススメ

コトの顛末と関連する法律・理論をお伝えすることで、この道をお考えの方々の心の負担が軽くなるよう願っています。

本格的な調査の呼び出し ②やはり“本当に借金があったのか”だった

2011-11-09 | 【免責許可を心配する私の事情】

「親戚を連れて来い」という指示をようやく翻してもらい
一人でK先生の事務所を訪ねたのは翌日の午後一番のことでした。

こうした弁護士事務所の事務員はなぜこうも
おとなしそうで化粧っ気のあまりない女性ばかりなのだろうなどと思いながら
“馴染み”になったから少し微笑んでくれる彼女に案内されて
引き継ぎの時とは違う狭い部屋に通されました。

そこがK先生の個室のようです。

数日後に債権者集会と免責申尋を控えて尋ねられたことは
まさに“蛇の道は蛇”、S先生の予想通りでした。

つまり、親戚から借り入れた数百万円のお金の流れは
提出されている通帳コピーのどれに該当するのか、再度の説明を求められたのです。

破産しそうだからタダで、または格安で不動産などの財産を譲ってしまったり
破産することが明白になった以降、隠匿する目的でそれら売却してしまったりすると
それらは「詐害行為」と呼ばれる…

さらに、返済時期が来ていない借金を一部の債権者のみ返済してしまうと
詐害行為の中でも「偏頗(へんぱ)弁済」という行為に当たる…

などなど、あれほど一生懸命勉強したのに
「実際には借金などしていなかったのではないか」などという一番の原点
それも、善人はそこまでしないのではないか、と思うような部分を疑われるとは
なんともはや、情けないというかなんと言うか。

逆の言い方をすると、本当の悪人は有りもしない借金をでっち上げ
それを返済する風を装って財産を隠匿するということなのでしょうから
返済の原資がなく自宅をもって代物弁済した私など
善人中の善人ではないかと思わずにはいられないではありませんか。

それも、当初は事業を継続するために残された唯一の方法で資金を手に入れることが目的であって
隠匿などという大それたことを考えていたわけでは決してなかったのですから。

ただし、二女夫婦がダメで、止むを得ず親戚へ売却するように方向転換してからは
事業継続の意思が萎えたことは確かですが、かと言って
隠すよりも彼らを住まわせてあげたい一心だったわけで、結果としてそれが
銀行に損害を与えるという理屈などに考えが及ばなかったと言ってもあながち外れてはいないのです。

ところで、借金そのものの存在については
親戚の通帳に残る出金ページのコピーと私の通帳にある入金ページのコピーによって
3回に渡る借金のお金の流れが明白でしたので、K先生も納得せざるを得ない状況でした。

これでホッとしたのもつかの間、次なる質問です。

(K先生)「自宅建物と地上権の売却価格の算出はどうやって行いましたか?」

(私)「懇意にしている△△不動産のHさんに代金を払って相談に乗ってもらいました」

(K先生)「ああ、△△不動産ですか。具体的にはどんな計算方法ですか?」

Hさんの勤めるこの不動産屋は歴史も古く
この近辺では名の通った会社なので「ああ」と言ったのでしょう。

Hさんがかつて、不動産の評価額はキチッと算出しておいた方が良いと言ったのは
こうした事態を予想していたからに違いなく、さすがプロ、と改めて感心させられました。

ところが、あれほど詳しく何度もレクチャーされていながら、肝心なこの時になって
地上権評価額の算出方法を失念、慌ててその場でHさんに電話して
「あんなに何度も教えたでしょ」となじられながらも、次のような回答をしました。

(私)「建物は固定資産税課税評価額を売却価格にし
地上権については(当時の路線価)÷0.8×(面積)を土地の時価として
そこに(借地権割合)の0.5を掛けて算出したそうです。
ただし、相談の上、端数は調整して総額〇〇百万円としてあります」

(K先生)「なるほど、専門家が算出したのですね」

(私)「ハイ、然るべき代金を払って依頼しました。ただ、仲介料を支払う余裕はありませんでしたので
契約書の作成までを頼み、売買自体は個人間で行うことを了解していただきました」

(K先生)「分かりました。ところで、××(貸金業者)の〇十万円は何の支払いですか?」

(私)「数年前に歯医者で組んだインプラント代です」

(K先生)「治療費ですね。僕も1本、それが入っています。
ところで、仕事以外での浪費はまったく見られませんね」

(私)「若い頃はともかく、独立してからは仕事以外には何も・・・」

インプラントでちょっと仲間意識が芽生え、それまでの緊張が緩んだのでしょう
ウカツにも涙ぐみ、言葉に詰まってしまったのです。

(K先生)「もう結構ですよ。自宅を購入した親戚の方も連れて来る必要はありません。
いろいろお尋ねした結果、管財人という立場上、何の問題もなしというわけにはいきませんが
裁判官には免責許可やむなしの意見書を提出しておきます」

(私)「・・・、ありがとうございます」

かくして、破産管財人の調査は無事終了。

それにしても、あそこで涙がこぼれるとは…。

もしかしたら“誠実性”を伝える役に立ったのかも、などと
不埒なヤツというそしりを受けてもしょうがないことまで考えた私でした。

 

 


本格的な調査の呼び出し ①親戚を連れて来い !?

2011-11-07 | 【免責許可を心配する私の事情】

その後数回、やはり郵便物の引き取りにK先生の事務所に伺いましたが
特に面倒な質問はありませんでした。

債権者集会と免責審尋という気が重い10月〇〇日までの3ヶ月間を
決して長い時間と感じなかったのは
一方では早く免責許可が出て欲しいという思いがあったからでしょう。

免責許可に意見がある人はその1週間前の〇日までに
書面をもってされることになっていましたので
核心に触れる質問があるとすればそれ以降のことだろうと思っていたら
案の定、7日前にK先生から電話がありました。

「お尋ねしたいことがありますので、自宅を購入された親戚を伴って事務所に来てください」

“親戚を伴って”は正直、まったく予想していませんでした。

(私)「親戚の都合を聞いて折り返しお電話します」

この親戚はかなり高齢な女性ですので、相手が弁護士となると何を言うか分かりませんし
そもそも何を話してよいのか打ち合わせるにしても
それすら守れるかどうか、極めて心もとない気がしました。

(私)「なんで私が弁護士に呼び出されるのか、と不満を口にしていますし
心臓の病があって煩わしい話は嫌だと言っています」

(K先生)「ほんの数分で済みますのでぜひ、と再度お願いしてください」

心臓の病は本当ですが、なんとか連れて行くことを断るためいろいろ考えて末
本人に尋ねることもなく折り返しかけた10分後の電話でもこうして粘られてしまいました。

念のため急遽、S先生を訪ね、親戚を呼びつけて何を探ろうとしているのか
また、こうした呼び出しにはどうしても応じなければならないのか、を聞いた際の私とのやり取りです。

(S先生)「K先生の傾向からすると親戚からの借金が現実にあったのかを確認するのでしょう」

(私)「え、そこから疑うのですか!だって借用書もあるし…」

(S先生)「そんなものは後から簡単に偽造できるでしょ」

(私)「…」

(S先生)「評価額に近い借金があってそれと相殺して自宅を売った今回の場合
普通まず疑うのは本当にそんな借金があったのかどうか、なんだよ」

(私)「なるほど」

私の中ではむしろ、自宅を相殺で売却した時期が閉店の僅か1ヵ月前で
それが支払不能の状態になった以降のことだとすると
それが債権者に対する「詐害行為」に当たるということについてのみ心配していたのです。 

借金そのものの存在を疑がわれているのだとすると
親戚の通帳からの出金と私の通帳の入金のページのコピーを提出しているのですから
今さらなぜそこを確認するのか全然理解できませんが、そうだとすれば何の問題もありません。

(S先生)「まあ、親戚を連れて行って『銀行に自宅を持って行かれないために買いました。
すみませんでした』などと余分なことを言われてもマズイので
同伴は止めておいた方が良いでしょう。再度断ればそれ以上は言わないはずです」

こうしたアドバイスで2時間後に再度K先生に電話

(私)「先生、親戚を連れて行くのは勘弁して下さい。無理に頼んでいたら
胸が苦しくなってきたと言い出してしまいましたので」

(K先生)「そうですか。止むを得ませんのでとりあえずお一人でお越しください」

こうして翌日、一人で伺うことになりました、やれやれ。

 

 


破産管財人からの最初の呼び出し

2011-11-05 | 【免責許可を心配する私の事情】

S先生から管財人のK先生に引き継がれた以降で
その事務所を一人で最初に訪れたのは、溜まった郵便物を取りに来るよう言われた時で
一見して広告のDMと分かるもの以外、なるほどすべて開封されていました。

たった3カ月間の郵便物のこうした転送で
隠そうと企てて隠してある財産が見つかるとは到底思えないのですが…。

いえ、私がそうしているという話ではありませんので念のため。

この訪問時、K先生からふいに質問されました。

「今日は何で来たの?クルマ?」

「ハイ、この一件がすべて終わるまでの間、動き易いように知人から借りています」

「そう・・・」

この質問の趣旨を確認したわけではありませんが
前回、S先生からK先生への引継ぎでこの事務所を訪れる際
車に乗っていてもよいのか、との私の疑問に「他人から借りてりゃいいんだよ」との
S先生の回答を参考に、瞬間思いついた模範的な返事をちゃんと言うことができました。

10年も前の軽自動車なのですから何の問題もないでしょうが
特に実際の車を確認されることもないのですから
この回答でコトが済んでしまうなら、例え300万円の高級車に乗っていても
どうということはないのでしょうか。

ともあれ、突然何を訊かれても慌てることなく、不必要なことはなるべく言わず
難しい質問には「記憶が定かでないので調べてお返事します」などと
事前に心構えや回答の仕方を学んでおいたことが役に立ったのでしょう。

そしてさらに、この郵便物を取りに来ただけの訪問にも拘らず
K先生に臨時決算書の現金残高8千数百円を預けるように言われたのです。

この時点でこの残金を徴収されることは
まったく聞かされていませんでしたので正直、ちょっとビックリ。

これも財布の中身をチェックする目的でもあるのか、などといぶかしむのは
私の単なる思い過ごしかもしれません。

財布にその程度は持っていながらも「お金がありませんので明日お持ちします」と約束して
その場は退散したのは、お金に不自由している風が良いと考えたからです。

と同時に、「たったそれだけ?」と内心で思ったのには理由があって
事前に打ち合わせた現金残高は60万円程度だったはずなのに
いつの間に“スズメの涙”ほどの8千数百円になっていたからです。

多分、S先生とM先生がそう操作(?)してくれたもの以外は考えられず
この僅かな金額を預ければ(支払えば)よいのですから感謝しないわけにはいきません。

こうした味方に回りをガードされていることを実感しつつ
翌日、早々に8千数百円を届けたのは言うまでもありません。

私にできることはたった2つ、免責許可にマイナスになる余分なことを言わないことと
もう一つはK先生に“誠実性”を訴えかけることですから…。

 

 


官報に載る。

2011-11-03 | 【免責許可を心配する私の事情】

破産の事実は7月の「破産手続開始決定」
つまり、いわゆる破産宣告が出ると2週間後に「官報」の公告欄に掲載されます。

この官報は、いわば政府の発行する新聞で
法律・政令・条約等の公布をはじめとして国や特殊法人等の報告や資料を公表します。

行政機関の休日を除く毎日、国立印刷局から発行され
国内主要都市にある「政府刊行物サービス」や県庁所在地にある「官報販売所」で販売されていますが
今やこちらから無料インターネット版が閲覧できます。

破産&免責申立の場合はもう一回、「免責許可決定」の際も掲載されることになります。

これは、債権者に対して結果が何も報告されることがないため
この官報に載せることをもって結果報告としているのだそうです。

そして、破産&免責においては載った日の翌日から2週間が「異議申立期間」とされます。

こんな事態を迎えて官報なるものを人生で初めて目にしましたが
載ることが分かっている自分の名前さえ見つけるのに一苦労するほど
毎日いろいろな内容が掲載されることに正直、ちょっとビックリしました。

こと破産に関しては、貸金業者がブラックリスト作成に利用すると聞いていますが
本来の目的はこの結果の公表にあるようです。

さて、破産の事実はこの官報に載ること以外、本人が語らなければ周囲の人々に一切
それが知れることはないと聞いていたのですが、実際にこうした立場に置かれてみると
もうひとつ、世間に知れる可能性があることに気が付きました。

それは私のような管財事件になった場合だけですが、「免責許可決定」までの約3カ月間
銀行や保険会社に財産を隠していないかチェックされるため
私宛の郵便物が全て、破産管財人に強制的に転送されることに因ります。

具体的には、私の宛名の上にシールが貼られ、そこには朱書きの転送期間とともに
「住所+破産管財人〇〇(弁護士名)」と印字されているものがあるからです。

この印字の仕方ははがきと封書、それも窓有りと窓なしで違うようですが
「破産管財人」とわざわざ記載する必要性が理解できません。

事実、ただ単に「〇〇弁護士事務所内」となっているものがほとんどです。

そのうえ、このシールが薄くて下が透けて見えるのですから
住所部分に黒の模様があり読み取れないように工夫していても
シールが少しずれて貼られていたりすると充分、解読可能なのは考えものです。

名前はそのままなのですからこれで住所と名前が判明してしまいます。

郵便局内で何人がこの作業に関わるのか不明ですが
少なくても配達員の目に留まることは間違いないのですから
ほとんど見る人がいない官報よりはむしろ、この方が気持ち的に嫌かもしれません。

郵便局で働く人の多くは地元住人のはずですから。

まあ、「そんな所を見ようとする人はいないよ」と言われればそれで終わりの話ではありますが。

ちなみに、郵便物のみで宅配便が転送されることはありません。

 


破産管財人を“味方”にしなければならないワケ

2011-11-02 | 【免責許可を心配する私の事情】

「破産手続開始申立書」が6月にS先生から裁判所に提出され
それから約1カ月後の7月に届いた裁判所からの「破産手続開始」の書面に
管財事件となったことによる破産管財人K先生の住所と氏名が記載されていました。

同時に、財産状況報告集会・計算報告集会(以下、債権者集会)と
破産手続廃止に関する意見聴取のための集会が
3カ月後の10月〇〇日に裁判所の会議室で開催されることと
さらにこう付記されていました。

・免責についての意見申述期間 10月〇日(〇〇日の1週間前)

・免責審尋期日 10月〇〇日

意見申述期間とは、債権者のなかで私の免責許可に対して意見がある者は
その1週間前の〇日までに書面をもって裁判所に提出しなさいということです。

(または裁判所で行われる集会当日に出席しても可能です)

また、免責審尋期日とは、私がこの破産&免責申立ての一連の流れの中で
裁判官と顔を合わせることができる唯一の機会のようで
質問されたり意見される場所とされています。

ただ、私の場合は破産管財人がいますので
このうえ何を聞かれ何を言われるというのでしょうか。

それよりも気になることは、債権者集会に
どなたか文句の一つも言いに来る方がいるかどうかです。

この集会を裁判所の大会議室”で開催することがこの書面に書かれていて
広さが分からないとは言え、“大”で実施されるとなると出席者がいると見込んでいるのでは
などと僅かなことにも気が回ってしまいます。

普通、一般の債権者のうち余程腹にすえかねた人はともかく
貸金業者は、それだけの手間暇を掛けても何の役にも立たないことを知っているので
出席することはないと言いますが本当にそうなのでしょうか。

私には“一般の債権者で腹にすえかねた人”が思い当たりませんが
考えてみれば店舗を閉めた以降、これら踏み倒された方々にお会いする機会はなかったのですから
どう思っているかなど私には知る由もない話であることは確かです。

基本的には代理人のS先生も同伴するので私は何も言う必要がないと聞いていますが
裁判官や破産管財人は一体何を言って何をするのか
もう会うはずがないと思っていた債権者と顔を合わせたらどうすればよいのか。

そんなこんなの初めての経験を前に、心は不安でいっぱいでした。

ところで一方では、この書面から分かるように、K先生はこの3カ月の間に
私について免責を許可するかどうかの意見書を裁判所に提出することになっています。

いうなれば私の将来はこのK先生に懸かっているのです。

破産者のレッテルが復権により剥がされてもなおごく一部の資格制限があるにしても
また、約10年間はブラックリストに載り借金ができないにしても
いままでの借金の全てがゼロになるということは今後の返済がないのですから
将来の収入の全部は好きに使えるということになるのです。

今まで、破産管財人は債権者の味方、すなわち私の敵と認識していましたが
それではマズイのです、味方にしなければ。

「免責許可が相当」でも「裁量免責が相当」でも
とにかく「不許可」の文言が裁判所に提出される意見書に載らないように
少なくても心情的には味方になってもらわなければなりません。

刑事事件の調書にしても「情状酌量の程お願い申し上げます」の文言を
最後の1行に加えてもらえるかどうかが重要だと聞いたことがありますし…。