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(実録)会社倒産&自己破産のススメ

コトの顛末と関連する法律・理論をお伝えすることで、この道をお考えの方々の心の負担が軽くなるよう願っています。

残った仕事

2011-12-19 | 【Xデー、そして直前と直後】

Xデーの夜をどう過ごしたか、全然覚えていません。

すぐに続いて、今後同居する義母宅へ私達夫婦の引っ越しが待っていますし、それが終わったら
親戚に売却した私の自宅への二女夫婦の引っ越しも手伝わなければなりません。

まさに“ところてん式”に2つの引っ越しを、それも、経費節約のために
業者を頼まず全部自分たちで、ほぼ1カ月以内に終わらせないと
ゆっくりと年が越せなくなってしまうのです。

こうして、何かに追いかけられるような急いた気持ちではあっても、店舗の閉店もこれらの引っ越しも
所詮、倒産から自己破産に至る行程の最初の一歩に付随する周辺作業に過ぎないのですから
過去の思い出や感慨に浸る余裕などなかったのでしょう。

閉店の翌日の月曜日、朝一で電気を止める作業に立ち会い
同時に、地主立ち会いの下で店舗の返却と、立ち退きに伴う残り20万円の現金を受け取って
これで完全に商売の幕を下ろす作業は終わりました。

この日まで猶予をお願いした銀行を初めとしたいくつかの踏み倒し先から電話が入れば
「お掛けになった電話は先方の都合により繋がりません」と聞くことになるはずで
そんな方々が様子を見に来るといけないので早々と退散したことはもちろんのことです。

特に銀行は、僅か100mほどしか離れていなかったのですから。

帰宅途中でS先生の事務所に寄ってこの20万円を預けましたが
後日、これが管財事件としての予納金に充てられることになりました。

振り返ると、実行する前は散々悩んだり苦しんだりしても、イザ、一歩を踏み出すと
肩透かしを食ったように呆気ないものだったことは以前から聞いていた話そのものでした。

 

 


Xデー当日のこと

2011-12-17 | 【Xデー、そして直前と直後】

漠然と「もうダメかも」と思いながらも数年間は頑張って来たのですが
どこで気持ちの踏ん切りを付けたのか、今ひとつはっきりしないのです。

多分、友人の I さんに相談した際に
S弁護士を紹介するから、と言われた時だったと思います。

なぜ曖昧なのか問われても、所詮、人の心は常に揺れ動いているものだから、と
お答えするしかしょうがなく、特に経営者の多くは、私のみならず、業績に陰りが出始めると
心の中で天国と地獄の間をしょっちゅう行き来しているのでは、と思えてなりません。

ただ、S弁護士に会って“この道”を具体的に歩み出してからは
余程のあぶく銭でも手に入らない限り、再度気持ちが揺れ動くことはなかったでしょう。

そして1カ月ちょっと、一直線にゴールのXデーを目指してきました。

この最後の一日は日曜日でした。

前日の土曜日には、車解体業者の4トン車に満載になった廃棄物の片付けと
本来、休日のところを無理にお願いした看板類の撤去も終わらせています。

またその日には、買掛金の振込の際にすでに事情を話してあった外注先工場の社長と
偶然、お茶を飲みに来た得意先である従兄と、これまた、たまたま立ち寄った知人らと
小一時間もワイワイと取りとめのない話をしたあと、長年お世話になったお礼を述べることができたのですから
人知れずそっとシャバから姿を消す姿を予想していた私には、この上なく嬉しく感じたものでした。

当日は、朝から自宅に持ち帰る荷物を、予め借りておいた1トン積トラックに積み込み
また、スペースを埋めるために借りていた数台の展示車をお返しして、これですべて空っぽになりました。

20年近く、明けても暮れても会社のことが頭から離れたことはありませんでしたし
晩飯・風呂・睡眠だけのために自宅に戻る以外の私の居所は、ほぼ14坪程の事務所建物の中でした。

この期に及んでは、資金繰りに窮々とすることから解放される安心感よりも
そんな生活の場をなくすことへの不安の方を強く感じるようになっていました。

何年もの間、繰り返してきたお金の心配からは、すでに1カ月以上も解放されていましたし
すぐに続けて、義母と同居すべく、売ってしまった自宅の引っ越しも控えていたのですから。

夕方5時頃、事務所ドアにお客様向けのご挨拶文を貼り付け
まだ明るいうちに20年近くお世話になった会社を後にしましたが
意外に思えるほど感傷的になることはなく、むしろサバサバした気分だったことを覚えています。

 

 


最後の支払い

2011-12-15 | 【Xデー、そして直前と直後】

会社の毎月の支払い日は20日にしていました。

インターネットバンキングのデータ送信を忘れたことで
1~2日支払いが遅れたことが過去に2、3回ありましたが
資金不足でこのほとんどを占める部品代や外注費が遅れたことは皆無でした。

この遅れた際も、催促されたことは一度もなかった経験から
最後になる10月20日の支払いをせずに、24日か25日が着金日になるようにデータを送信したのは
万が一、新たな請求が発生したらそれを加算するようにできるだけ遅らせていたからで
曜日の関係もあって、この日になってしまったのです。

ギリギリまで取引が必要な先は2軒、ここは今後の関係を考え未払いを残しませんので
もし訊かれたら、閉店する事実を伝えるつもりでしたが
数日お金が遅れるという連絡だけで快く了解していただき
これはXデー3日前の金曜日の朝一番にちゃんと振込みました。

結局、20日の支払いから外して、すでに未払いを決め込んでいた先からの催促は一件もないまま
また一方、前月分を未払いにし、今月分も引き落とされるはずがない個人分についても
どこからも電話等による督促がないまま、この平日最終の金曜日は過ぎようとしていました。

また、その日の夕方、依頼通りにNTTが電話器一式を撤去したのですから
土日の2日間がまだあるとは言っても、尋ねてくるのであればイザ知らず
この日を最後に、私に直接、請求できる機会はなくなってしまいます。

もちろん、それほど長期に渡る未払いでもないですし
土日にわざわざ訪問してくる請求元など一つもなかったことは予想通りでした。

Xデーを日曜日にした理由の一つは、ここら辺のことを考えていたからで
月曜日からは固定電話は「繋がりません」、尋ねて来ても「もぬけの殻」
郵便物は「個人宅へ転送」ですが、着く頃には弁護士から受任通知が発送されますので
着いた郵便物は弁護士に回せば済んでしまうのです。

こうして、心の負担になるはずのイヤな請求は一度も受けることなく、閉店まで辿り付くことになります。

 

 


ライフラインを止める依頼

2011-12-13 | 【Xデー、そして直前と直後】

電気・水道・ガス・電話を止める作業の依頼は
事前の問い合わせでは1週間前にするよう言われていました。

それぞれに締め日があり、振替日もまちまちですが
9月の口座をカラにした日までに引落しになった所もあればならなかった所もあります。

実際はどうなのか、試すことはできませんでしたが
支払いがなくても2カ月は供給が止まらない、と言われていましたので
Xデーまでは普通に暮らすことができました。

「引っ越すから」と言う理由で、11月〇日(Xデーの翌日)の午前中にそれらの供給を止めるよう
また、その日までの月割分と引落し不能だった所へはその分を加算して
振込用紙を送るよう依頼したのはちょうど1週間前のことでした。

閉店後の郵便物は個人宛に転送するよう郵便局に後日、依頼しますが
これらの請求はどのみち、一つも支払うつもりはなく、債権者に名前を連ねていただくことになります。

作業希望日は日曜日ですが、電気だったか、どれかひとつだけ対応できないとのことで
翌日、地主立ち会いで店舗の返却をする際に同時に行なうように、時間指定で依頼した覚えがあります。

ところで、電話器は数年前に新型を導入し、その際に組んだNTTリース料の残金が数十万円
残っている状態でしたが、2日前の金曜日中の撤去を依頼
原則、解約できないリース契約ではあっても一括請求が上がって終了します。

もちろん、これも電話料を含めて支払わず、債権者名簿に載っていただきました。