「時価20万円以上の自動車」を免責許可を得ることに支障なく残せる方法は
以下の3つが考えられるかと思います。
1つ目は、自動車ローンが残っている場合、本人以外の第三者の方が
本人の代わりに支払いを継続して自動車を維持する方法です。
2つ目は、破産管財人に申し出て親族や第三者の方に時価で
自動車を買い取ってもらい(代金は債権者に分配されます)
その方から自動車を借りるという方法により事実上維持する方法です。
*いずれの場合にも債権者の同意が必要ですし
協力してくれる第三者の存在が不可欠です。
3つ目は、自動車が生活上不可欠であることを裁判所に説明し
自動車の維持を認めてもらう方法です。
(これを自由財産の拡張の裁判といいます)
*自動車ローンが残っている場合はこの方法を取ることはできませんし
裁判所も容易には自由財産の拡張を認めないとされています。
こうして見るとやはり、時価の意味が正確には不明であっても
「20万円以下の場合は原則としてそのまま利用できる」のですから
10年以上前の軽自動車や小型車に乗り替えておくことが、足としての自動車を確保する方法として
一番間違いがないのではないでしょうか。
有ると無いでは大違い、動きさえすれば足としての用は足りるのです。
1.どの道、引き上げられてしまう車のローンの支払いはすぐに停止して
その分でこうした古い車を購入します。
“引き上げ”は自己破産申請前でも
販売会社やローン会社に申し出れば実施されますので
じっくりと比較検討して次の車が決まったら、支払いが難しいことを理由にこちらから申し出れば
駐車場所で悩むこともないし、任意保険はそのまま使えます。
査定の結果、差額を請求されても債権者に加わっていただくだけのことです。
2.ローン完済または現金にて購入した
20万円を超えそうな車を持っているのであればすぐに売ってしまいます。
代金は振込でなく現金で受け取って
その中から“内緒で”こうした古い車を購入しておきます。
現金決済なので発覚しないでしょうが、もし見つかったら
その理由は「故障してしまい修理代が高額なため、そのまま格安で売ってしまった」です。
売った金額から古い車の購入費を差し引いた金額が売却代金ですのでお間違いのないように。
入手したお金は、20万円以上は持っていかれる預金には入金せず
99万円まで許される現金で持っているようにします。
もっとも、この現金残高は申告するだけですので、正直に言う必要はないのですが。
ところで、高額な修理代の例としては普通小型車以上のオーバーヒートは
分解修理で30万円以上、リビルト載せ替えで50万円以上の見積もりが必ず上がりますので参考まで。
3.ローン完済または現金にて購入していて
雑誌などで見ても本体価格が20万円は超えなかったり、すでに商品として見当たらない車であれば
そのまま乗っていることができるはずですので、小細工なしで車検証を提出しましょう。
(注意点)
・20万円を超える破産者本人名義の車があるにも拘らずこれを隠し持っている場合
つまり、車は持っていないことにするのであれば
郵便物が破産管財人に転送される期間に、JAFや任意保険の継続案内、工場からの車検案内
また、預金通帳からの燃料代の出金記録などが発覚する原因になりますので要注意です。
・購入した古い車の登録名義は破産者本人以外の家族・知人・友人・親戚の名にし
その方から車を借りていることにすると、この心配はありません。
・任意保険は借りている車にも加入できますので、車両入替で済みます。
(お断り)
「財産隠し」が免責不許可事由に該当することは明らかです。
たかが自動車を残そうという些細な行動で
「免責許可を得て借金をチャラにする」という本来の目的が達成できないと
悲惨な結末を迎えることになることを決して忘れないようになさってください。
私は車のみならず、実質的に自宅さえ残すことができましたが
これは“結果オーライ”だけであって、常に同じ結果を手に入れることができるとは
到底、思えないことを今では知っています。
つまり、免責許可が一つの裁判である以上
殺人事件でさえ、死刑もあれば無罪の判決もあるように
個別の事情もさることながら、判断する裁判所・裁判官・破産管財人によって
結果は天と地ほどに変わるのです。
“無罪=免責許可を得る”ために、少しの疑わしい行動をも取らないことがベストであることを知りながらも
「できることなら何とか車くらいは残したい」と思う方のために
経験に基づいた浅知恵をご披露しているに過ぎないことをご理解ください。