現行の破産法において、債権者ができる免責の不服申立は
免責許可手続きの進捗状況によって次の3つの方法があります。
1.免責申立があったときは、1度目に官報に公告された日から1か月以上の期間内に
財産隠匿があるなどの意見を述べることができます。
この意見申述期間は裁判所から債権者に通知されます。
2.免責許可決定があったときは、2度目の官報公告の日から2週間以内に即時抗告ができます。
(現在の私はこの段階です)
3.免責許可決定が確定したとき、次の場合は取消を申し立てることができます。
ちなみに、この「確定」は官報に載りませんが
当事者が担当裁判所に問い合わせると教えてくれます。
(A)破産者が財産隠匿などの破産犯罪で刑事事件として有罪判決を受けた場合
(B)破産者に不正な行為があった場合で免責確定後1年以内
ただし、免責許可決定も一つの裁判であり、破産犯罪で起訴されて有罪となる(A)はともかくとして
(B)については、それなりの既判力(*)を持って確定するものですから
免責許可決定が確定した後に免責不許可事由が明らかになっても
原則的に申立ては認められず、よほどのことがない限り問題にはならないとされています。
これは、2.のように、債権者名簿に載っている債権者には免責確定前に異議申し立ての機会があるからで
そのときに異議を言わないで後から蒸し返して免責許可の取消を求めるのですから
なぜそのときに言わなかった(言えなかった)のか、ということについて
合理的な理由が説明できないと難しいとされているからです。
(*)…既判力(きはんりょく)とは何か?
既判力とは、「確定判決に与えられる通用力・拘束力」であり
「その判断について蒸し返しを許さない効力」と言われています。
例えば、AがBを被告として訴訟を提起して敗訴の判決が確定した場合
再度、Aが同じ理由でBを被告として訴訟を提起することは
1.そもそも非常に無駄なことである(訴訟経済上不合理)。
2.これを許すと、もしかしたら、前の訴訟(前訴)と今回の訴訟(後訴)で違う判決が出てしまうかもしれない。
このような矛盾した判断が出されると混乱が生じるので、これを防ぐ必要がある(矛盾判断防止の必要性)。
3.また、AとBには、前訴で十分に争うチャンスが与えられていたのだから
訴訟の蒸し返しを許す必要はない。
とされ、民事訴訟法は「判決が確定した場合には、同じ訴訟を起こすことはできない」と定めています。
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