木・うんちく

木材と人間の関わりを考えて思うままに・・・

199. 人工木材(合成木材・樹脂木材)の欠点その11:割れる

2018-12-11 10:30:08 | ウッドデッキ

この写真は弊社が15年前に施工した公共の物件の人工木材で作ったデッキです。
歩道と建物との間の設置のウッドデッキですが、この商品はアメリカ製です。
アメリカではこのようなグレーの色が好まれるのですが、日本ではあまりグレー色は使われません。

もともと木は色あせるとグレーになるので最初からグレー色を選ぶと退色も少ないと言うことになります。
博物館の建物の石造りとマッチして15年経過してもなかなか良い色です。
一般的な日本製や中国製の人工木材であれば、中が空洞になっていますので、
10年経過せずに使えなくなってしまうものが多いのですが
(傘の先で突いてできた穴があちこちに空いていたり、デッキの端が衝撃で割れてしまっていたり、熱膨張で床板がせり上がってしまったり等々)、
アメリカ製のこのデッキは木材と同じような使い方ができるように、中まで完全に詰まっていますので、
価格は高いですが、日本で公共の場所で人工木材を使う時におきる破損は全くありません。

しかし、ここで問題が発生しました。

この写真をよく見て頂くと、根太と根太の間が垂れていることが分かります。
これは人工木材を使う限り必ず発生する現象です。
つまり木材であれば繊維があるので、荷重がかかっても、元に戻りますが、
人工木材は荷重がかかっていると、その部分が曲がって垂れてきます。
そのため、床板を固定している根太の部分が引っ張られてひび割れが発生しました。


木材のひび割れの場合、強度に影響することは少ないのですが、人工木材の場合、ひび割れたところが脱落破損するおそれがあり、
このままでは危険なことになる可能性があると言う判断を役所がしました。

かくてこのデッキは安全を優先して15年でウリン材に変更することになりました。
人工木材の色褪せが少ないと言うのは良いところなのですが(特にグレー色の場合)、
このような欠点があると、結果的に30年以上の耐久性のあるウリンのようなハードウッドの方がベターと言うことになります。
さらにこの人工木材を解体した場合、木材のような燃やすことができないので、産業廃棄物扱いとなり、処理費用は高額になります。

公共物件の場合、中が空洞の人工木材は強度的に不安で、中が詰まっているソリッドタイプなら大丈夫と思ったのですが、
やはり人工木材はオールマイティの商品ではありませんでした。
役所の物件で、15年経過していることもあり、製造メーカーや施工した弊社が責任を問われることはありませんでしたが、
10年もたない日本製より耐久性があると思ったアメリカ製ですら15年で取り換える必要が出てきたと言うことは、やはり人工木材は公共物件には無理があるようです。
最初から30年~50年の耐久性のあるウリンにしておけば良かったなぁと反省した物件でした。
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