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木・うんちく

木材と人間の関わりを考えて思うままに・・・

279. 人工木材の成功例(欠点を把握してドライな割り切りが必要)

2025-03-07 13:45:45 | ウッドデッキ
これまで公的な物件で人工木材を見る度に、人工木材特有の欠点で使えなくなっている事例を見てきましたが、
今回、初めて人工木材がうまく使われている現場を見ることができました。
これは伊丹空港の屋上デッキです。今回この現場を見て驚いたのは、人工木材最大の欠点の熱変形で、根太と根太の間が垂れてしまったり、床板と床板の間の隙間が熱膨張で盛り上がってしまうと言う問題が、ありませんでした。
納まりを確認して理由が分かりました。


■床板の長さを2mまでしか使っていません。
木材であれば長さ3mや4mを使うのが一般的ですが、人工木材は熱膨張するので、床板同士がぶつかり合い、それが盛り上がったりするトラブルになっていましたが、長さを2mまでしか使わないと割り切れば、トラブルは大幅に解消できます。
■根太のピッチを455mmとする。
このピッチは木材のデッキの場合よりも半分ぐらいですが、手間がかかっても、ここまで根太ピッチを縮めれば根太と根太の間で熱変形しても垂れる可能性はかなり低くなります。


これまで人工木材を使う場合、ここまでの割り切りが出来なかったことが人工木材のクレームにつながっていたと思います。
人工木材にしろ、高耐久の無垢の木材にしろ、それぞれの欠点を把握し、適材適所とその材の特徴に合わせた使い方をすべきと言う考え方に、ようやく人工木材のメーカーも目覚めたのかもしれません。

ただ、解決できない問題として
■人工木材は、中が空洞なので、このような木口が見える使い方をすると、木口用の板を接着しなければならず、数年経過すると、どうしてもこのように剥がれてしまうと言う欠点はあります。
■ピッチを455mmにしても、木材のように強度がありませんので、多少のフワフワ感はありますが、まあこれはかえって気持ちが良いぐらいですので私としては悪いとは思いませんでした。
■人工木材は中が空洞なのと、強度がないので、夏場に傘の柄で突っつかれたりすると、穴があいたりしますし、イベントで重量のある台車を持ち込まれたりすると床板が割れたりしますが、その場合に、床板を1枚だけ交換と言うことができません。
(熱膨張を逃がすためにデッキの床板を横から固定しているので、真ん中の1枚を外すとなると端から全部外していかないといけなくなります)


結論としては私が伊丹空港の管理者であれば、屋上デッキに人工木材を使ったことは成功であると考えますが、
私が高級レストランが並んでいるベイエリアの管理者であれば、木口のかぶせが取れて雰囲気を壊すような人工木材は使いたくありませんし、ウリンは人工木材よりも腐りにくいことを考えると、色褪せても重厚感があるウリンを使います。
要は両者の欠点を把握した上で、適材適所です。

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278.木材工法の特許 その3.ウッドデッキの手摺の取り付け

2025-02-22 10:45:11 | ウッドデッキ
ウッドデッキに手摺を取り付けるためには、日本の場合は、デッキの床下構造を作る時に束を伸ばして、それを手摺柱としています。
そのため、床板をL字やコの字に欠けこまねばならず、一般の人では加工が難しく、プロの業者が施工しても綺麗には仕上がりません。

弊社の手摺の取り付け工法の特許は、これらの問題を解決するために手摺柱の中にボルトを埋め込み、それを床下から強固に締め付けると言う工法で、
小学生でも取り付けることができ、
お相撲さんが体当たりしても外れない強度があります。

例えば、下記の例は一般の方がキットで作られたデッキですが、デッキ完成時がこれです。


これに手摺を取り付けるとこうなります。


外から見たところです。


この手摺柱は、簡単に取り付けることができ、強度高く、しかもデッキ完成後に取り付けることができるので、
一般の方からDIYプロの業者にも好評の工法です。

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277.木材工法の特許 その2.淀川を自然護岸に戻す木工沈床

2025-02-15 12:26:51 | ウッドデッキ
木工沈床(もっこうちんしょう)とは、河川の護岸工事に使われる伝統的な工法です。木材で組んだ枠の中に自然石を入れて、川岸を安定させるために設置されます。
水の中では木は腐りませんので、耐久性が高く、水生生物にとっても良好な生息地を提供し、環境保全にも寄与します。この工法は、自然環境に配慮しながら川の治水や防災を行うための効果的な手段ですので、淀川を自然護岸に戻すプロジェクトとして国土交通省発注の工事となりました。
通常であれば、川の一部を堰き止めて丸太を組んでいくのですが、
そんなことを淀川でするととんでもなく費用が高くなります。
そのためあらかじめ組み上げた木工沈床に砕石を詰めて水中に降ろす仕様にしたのは良いのですが、
当初の設計仕様に入っていたものはワイヤーを木工沈床に巻き付けて吊り下げる方法。
しかし、それではワイヤーが水中で絡んでしまって取れなくなる可能性が高く、又、丸太に欠点があった時に吊り下げた丸太が破断してしまう危険な要素のある方式でした。
かくて、困ったゼネコンが弊社に相談があり提案したのがこの方式です。

木材の中のボルトを大型のU字ナットで簡単に着脱でき、安全で、スピーディに作業ができるようになりました。

特許出願はすぐにオープン前に行いましたが、弊社が出願した特許の中でも、最も早く特許庁の認可が降りた申請でした。
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276.木材工法の特許 その1.木製のフェンス

2025-02-14 12:14:13 | ウッドデッキ
我が社は特許を数多く取得していますが、
代表的なものを3つ紹介します。
一つは大阪府のベンチャー新技術を受賞した木製フェンスです。


当時木製のフェンスで国土交通省の強度基準にクリアーするものがなく、
さらに山の中でジョイント角度がさまざまなことから、
強度が必要で角度が一定でないところは金属のフェンスを使わざるを得ませんでしたが、
このフェンスができたことにより景観にマッチする木製フェンスが使えるようになりました。


このフェンスの秘密は、木材の柱の中に人工的に枝を金属で作ったことです、


そのため強度があり、交換も簡単で、さらに金属が見えず見栄えが良いと言う特徴があります。
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275.万博デッキ完成

2025-01-24 18:22:11 | ウッドデッキ

万博の中にはいくつもデッキを設置されているところはありますが、
この写真は弊社が万博協会にデッキ材料を寄贈したデッキです。
外周リングの外側の入口のところにあり、ここでイベントをされるところです。

デッキの上でコンサートやブレイクダンス等をすると聞いたので、
当初、万博協会さんが指定されていた国産杉の90mmの巾のデッキ材では
機能的にも見栄え的にも良くないのではないかと思い、
このステージの設計事務所さんに提案をして巾を2倍にしたものに変更してもらいました。
できあがりはやはり巾を180mmにして良かったと言う雰囲気です。

本来は材料だけの寄付だったのですが、工事を請け負われたゼネコンさんからの依頼で
実施設計と工事まで請け負うことになりました。
本来であれば加圧注入防腐処理するところですが、万博の期間が半年しかありませんので、
加圧防腐処理はしていません。
設置後撤去処分と言うことになりますが、ひょっとして再利用して一般の方に格安で販売されるかもしれません。

なお、万博オーブンまでは写真等はネットに出してはいけないのですが、
自社施工なのと他の施設が写り込んでいないので、
この写真については万博協会さんからOKと言うご了解を頂いたのでアップロードしました。
4月の開幕が待ち遠しいです。
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