木・うんちく

木材と人間の関わりを考えて思うままに・・・

254. 運命を変えた森川先生のお勧めの本

2022-05-07 16:27:34 | ウッドデッキ
私が大阪府立豊中高校に在籍の時に、森川和歌と言う風雅なお名前の独身の先生がおられました。
戦前、女学校の国語の教師をしておられて、戦後の学生改革で、男子中学との合併の際に、女学生を連れて豊中高校に来られた先生で、生徒に教えることを生きがいにされていた温厚な先生ですが、亡くなられた時に、恵まれない生徒の学資を補助する基金としてご自分の遺産1億4千万円を豊中高校に寄付をされました。
現役の時も亡くなられた後も、生徒のことをいつも考えておられた私の豊高時代の尊敬する先生の一人です。

その森川先生が、私が高校3年生の1月、高校の授業も残すところあと1週間と言う時に
古典の最後の授業で皆にこう言いました。

「今更ジタバタしても仕方ありませんが、堀辰雄のかげろうの日記と言う本があります。
薄っぺらい本ですので一日あれば読めると思います。何かの役に立つかもしれませんから読まれたらどうでしょうか。」

理科系から文科系へのドロップアウトコースに入っていた私は、学校は休憩場所と考えていて、
授業を真面目に受けていないことでは定評があったのですが、
いい加減受験勉強に飽き飽きしていたところに森川先生がこんな勉強をさぼる口実を与えてくれたものですから、早速この本を買い求めました。

平安時代の蜻蛉日記を現代語訳した内容で、私の最も嫌いなジャンルの本で、
通常であれば最初の1ページを読んだ段階ですぐに書棚に入ってしまう類でしたが、
なぜか最後まで楽しんで読み切ってしまいました。・・・その2カ月後に大学の入試があったのですが、

国語の試験の時に配られた問題を見て震えました。堀辰雄のかげろうの日記が、そのまま出題されていたのです。
しかも、本を読んでいれば100%理解できる内容で、ここだけは100点の回答ができました。

森川先生にはすぐに報告しましたが、半年後に、先生とまたお話をする機会があった時に、先生が私にこう言いました。

「私はすべての生徒に同じことを言いました。
しかし私の話を聞いて実行したのはあなただけでした。
およそ授業をまともに聞いていないあなただけが、あの本を読んで合格したことで、皆の中に不公平感がひろがっています。」

ちなみに私はその出題のところの配点は30点ぐらいだろうと思っていましたので、あの本を読んでいなければ半分ぐらいしか正解できなかっただろうと考えていました。
そのためもし私が合格した点が最低点よりも15点以上であれば、私の実力で合格したことになるし、それより下であれば、森川先生のおかげだろうと考えていました。

後日、大学の事務局に合格の時の私の得点を聞きに行きましたが、私の得点は最低点より14点上でした。
(それでも合格者の中での順位は真ん中ぐらいでしたから、いかにボーダーのところに受験生が集まっていたかが分かります)

つまり、あの本を読んでいなければ、私はケツペタで合格していたか、1点差で落ちて、2期校に行っていたかのどちらかだったと言うことになります。
どちらが人生に良い結果だったかは、人生塞翁が馬で分かりませんが、森川先生のお勧めの本が私の運命を変えた本であったことは間違いないと思います。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

253.ウッドショックとウッドデッキ

2022-04-27 08:32:36 | ウッドデッキ
現在ウッドショック中です。

輸入木材の価格が通常の2倍以上の価格になっています。
特にカナダ産のレッドシダーはアメリカでもカナダでも人気があり、
現地の価格は3倍。
その輸入価格をそのまま商品に転化すると、
一般の方にはとても買える価格ではなくなります。

しかし幸いなことに弊社には2年分の素材在庫を確保していますので、
現地の価格が下がるまで、新規の仕入れはストップし、
何とか販売価格を据え置いています。
そのためキットデッキはお買い得商品です。


さらにそこにお客様からこのような施工例の感想文を頂くと、
メーカーとしても利益だけではない喜びがあります。

キットデッキのコンセプトは、「一般の方が失敗しないウッドデッキ」です。
また、第2コンセプトは「DIY初心者が作ってもプロ以上」です。

プロの業者に施工を注文されるよりも、キットで組み立てる方が
より良い商品ができる。
その典型的なお客様の施工例です。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

252. 遊具を修理する

2022-02-24 09:48:47 | ウッドデッキ
得意先のゼネコンさんのお客様サポート部門から依頼が来ました。
「20年ほど前に竣工したマンションの遊具の木部の修理をしなければならないのですが、当時設置したところでは補修はできないらしいので、そちらで修理できませんか。」

確認に行くと、マンションの敷地の中の雰囲気の良い空間の中にこの遊具がありました。


壁板は一部外れていましたが、この構造では強度がないので無理もありません。


遊具は海外ブランドの雰囲気で、ブランドの名前も刻印されていました。
しかし、調べるとこの遊具メーカーが今はない・・・・
推測としては20年前には、そのブランドの遊具を契約して日本で作っていたのでしょうが、
今はその代理店の日本の公園施設業者も扱っていないのだろうと思います。
ゼネコンさんは、「現在の仕様にこだわらず、ベストと思われる方法で修理してくれ。」とのこと。

なかなかよく考えられている遊具なのですが、いくつかの問題点があり(壁板の強度が弱い、床板のボルトが振動で抜け落ちる)、
さらにマンション側の要望はメンテナンスしなくても良い材料にして欲しい。
と言うことで、金属も人工木材も含めて考えましたが、金属はさすがに冷たい雰囲気で却下。人工木材はかえって長持ちしないので却下。
最終的に耐久性が30~50年のウリン材で取り替えることになりました。

木部をすべて撤去し、寸法を正確に計測しました。


工場でその寸法に基づき、加工をし、取り付けたのでこれです。


振動で取れてしまうナットは絶対に緩まないと言う特殊なナットで固定しました

今後この遊具の木材はメンテナンスする必要はないと思います。

欧米の場合、業者も設計事務所も屋外用木製施設の知識がありますので、メンテナンスはどの業者でもできるのですが、日本の場合、そのノウハウを持っている業者が少なく、木製遊具を販売した公園施設メーカーですら、メンテナンスはお客様がして下さいと言うスタンスのところが多いのが問題のところです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

251.木製立体迷路の事故から、木材の使い方を考える

2021-10-27 10:04:50 | ウッドデッキ
先日、兵庫県の立体迷路で床板が落下する事故がありました。
この迷路は新聞で見る限りは5階建てで、1m角の床板パネルを柱と柱を連結した梁で支える構造になっているようです。
事故のことに関してマスコミの報道は「定期点検がちゃんとされていないのか」とか「監督官庁の責任は」と言うことをこの事故の原因として取り上げていましたが、
我々屋外木製施設の専門業者としては、腐朽対策がどうされていたのかが気になります。

一般的に市場で販売されている木材は3年しか耐久性のないものも30年以上腐らないものまでありますから、まず高耐久の木材を使ったのかどうか。
また耐久性の低い木材でも、加圧防腐注入と言う処理を行えばメンテナンスをしなくても耐久性は確保できます。ただ加圧防腐注入の場合は、材種や、木材の状態により、耐久性がかなり変わりますので、これらのことについての基本的な知識を有している必要があります。

新聞記事を見ると設置後7~8年で腐ったようですので、高耐久の木材も加圧防腐処理もされていないようです。
我々がいつも問題だと思うのは、日本では設計の方も施工する業者も防腐剤を塗布すれば防腐処理になっていると思われていることです。
特に、屋外木製施設に関係する役所・設計・施工の業者の方も、木材や木の耐久について知識をお持ちの方が少なく、耐久性が必要なところに木材を使う場合の方法をご存じありません(欧米だったら当然関係者はこれらの知識があります)。
そのため、このような事故が起きたのは、製作した業者が悪いとか、管理している遊園地が悪いと言うことよりも、根本的には日本の木造住宅や木製構築物に対する考え方の問題です。

私が材木屋に入社して45年経過しますが、これまで一度も無垢の木材でJASの製品を扱ったことがありません。・・・・JAS規程は存在するのですが、設計者も納材業者も施工業者も誰も使わないぐらいですから、防腐に関して関係者が知らないのは無理もないとは思います。
なぜJASで規程されているのに、・・・アメリカやカナダは輸入のツーバイフォー材に検査のマークが刻印されているのに、・・・日本の場合はされないのか・・・説明が長くなるので今回はしませんが、ともかく直接的な事故の原因は製造者と管理者と言うことになりますが、根本的には日本の監督官庁と業界の姿勢の問題だと思っています。

我々が最も心配するのは、間違えた知識のまま、欠点だらけの人工木材に変更したり、木材を使わずに、金属やコンクリートにされてしまうことです。
結果、日本人は木の良さを知っているのに木材を使わず、欧米人は木の欠点を知っているが故に、木材をたくさん使うと言うことになってしまいます。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

250.橿原神宮で人工木材と無垢の木材と比較する

2021-10-27 08:58:55 | ウッドデッキ
孫のお宮参りで奈良県の橿原神宮に行ってきました。
初代天皇の宮のあったところ。
広大な敷地。荘厳な雰囲気。
その池の周りの回廊風のウッドデッキ。
色あせているので材種は分かりませんが、
イペかなぁ。ウリンかなぁ。ウリンなら30年経過しても腐ることもなく同じ雰囲気のはず。
このような神社に似合った構築物です。


ところが池の周りを廻って中ほどまで行くと、池を渡る橋がかかっていました・・・・
何、これ。この汚いの。
歩いて削られてしまうところは以外は、人工木材特有の経年変化での汚れ。


とってつけたような擬宝珠がさらにひどさ感を演出


手摺笠木のジョイントは人工木材特有の変形で危ないし、見栄えも良くない。


どう考えても色あせても無垢のハードウッドの方が優れている。


なぜ、こんな日本の歴史の根幹のような文化あふれる場所に、人工木材なんか使ったんだろうと思いますが、
さらに、いつものパターンであれば、変形や汚れでハードウッドのデッキよりも早く解体撤去されてしまいます。
公共の場所には、人工木材は不向きなんですが、これがなかなか理解されません。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする