暗い穴倉の中、
“奴”は密やかに隠れていた。
自分の存在に気付いてもらえる日を、
今か今かと待ちわびていた。
そして、
ついにある日。
その穴倉を覗き込んだ私を、
“奴”はすっとぼけた顔で見上げ、
「ケロケロリーン♪」と鳴いたのだった。
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さて。
現在ぶぶは、2機のハンディークリーナー所有している。
これはそのうちの1機。
カードのポイントで貰った景品だったのだが、
使ってみたらコレが意外と便利で、
何気に
掃除魔のぶぶは、毎日愛用し大変に重宝していた。
ぐいぐい使えば、中にゴミも溜まる。
一週間もすれば、
握りこぶし程度の綿ぼこりが溜まるので、
大抵は、週末にまとめて、中のゴミを捨てていた。
その手順は、
本体のボタンを押し、分断する。
フィルターを外し、本体ケースをひっくり返す。
と、
溜まったゴミが、固まってポロリと落ちる。
いたって簡単である。
2年くらい、そんな感じで使い続けていた。
・・・・・・ある日。
いつものように、本体を真ん中からパカッと割り、
中のゴミを捨ててから、
なんとなく、たまには内側も拭こうという気になった。
カンカンと細かい埃を叩き落したのち、
濡れティッシュを片手に、中を覗き込んだ そ の 時 、
何者かの視線を感じた。
(ΦωΦ)じぃぃぃーーーーーー
(゜Д゜)ハッ
つぶらな瞳がコチラを見上げていた。
そして、
初めて、
“奴”と目があった。

じぃぃぃーーーーーー
( ̄◇ ̄;)!!
・・・・・・・それから、一呼吸の後、
たじろぐ私を尻目に、
“奴”は、嬉しそうに、
「ケロケロリーン♪」
と鳴いたのだった。
「カッ、カッ、カエルぴょんだぁぁぁぁーーーーーっっっ!!」
どう見ても、
これはカエルである。
設計上の偶然?
それとも、
設計者のちょっとした遊び心?
真相は分からねど、
とにかく、
可愛い~!!
“奴”を発見した私は、ひたすら嬉しくなった。
“奴”も、
やっと見つけてもらった嬉しさに、
もう一度短く「ケロッ」と鳴いた。
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以後、
週末になると、私は“奴”と会う。
ちょっと埃まみれなのが気の毒ではあるが、
それでも、毎度表情を変えることなく、
すっとぼけたその顔で、“奴”は私を迎えてくれる。
会えば、2人は必ず挨拶をする。
「やあ!」(^_^)/~
「ケロケロリーン♪」
そうやって、
いつも、
いつも、
私を和ませてくれるのだ。
このカエルくんは。

ケロッ