富沢地区で見つけた先住民の落とし物!?(7/7)~旧石器捏造事件のこと 2018年09月21日 | 考古学に関すること 今から17年前、考古学上の大事件=旧石器捏造事件が発覚しました。考古学にそれほど関心がない人も、記憶されていることと思います。日本に人間が住んでいた=住み始めた最初の時代は、これまでの発掘調査やその後の研究から「旧石器時代後期」が定説とされていました。もし、それ以上の前の時代=旧石器時代中期、前期の遺物や遺跡が発見されたとしたら、それこそ世紀の大発見!になります。私もよくわからないなりに考古学に関心を持ってきたので、注目していました。1970年代半ばから、次から次へと年代を遡る大発見が続きました。日本に住み着いた人間は、岩宿遺跡の関東ローム層から発見された遺物の年代鑑定から3.5万年前とされていましたが、それが70万年前にまで遡ることになったのです。それも、日本には世界の同年代と比較しても類のない文化があったことが発掘により実証されたのです。 ところがー これは捏造だったことがわかったのです。発掘調査に携わっていた考古学研究者が、自ら事前に埋設した石器を自ら掘り出して発見した!と。 彼は、民間研究団体「東北旧石器研究所」の副理事長の職にありました。捏造発覚までの約25年間、周囲の研究者が期待するような石器を、期 待されるような古い年代の地層=ローム層から次々に掘り出しました。今でいう「忖度」しての行動だったかも知れません。自分の地位や名誉のためにも。そのためグループにとって欠かせない人物として評価され、後に、「神の手」(=ゴットハンド)と呼ばれ、周囲から期待されました。1970年代半ばから各地の遺跡で捏造による「旧石器発見」を続けていま したが、不信に思う人も当然現れ、現場証拠!を写真でーということに。ある筋の情報から、毎日新聞が動き、遂に石器を事前に埋めている姿を 2000年11/5の毎日新聞の朝刊にスクープされ、不正が発覚しました。これにより日本の旧石器時代研究に疑義が生じ、中学校・高等学校の歴史教科書はもとより大学入試にも影響が及んだ日本考古学界最大の醜聞となり、海外でも報じらました。日本人としても、本当に恥ずべ き誠に残念で腹立しいできごとでした。 彼の自白から、「発見」された遺物の9割方は、彼自身の手によって表面採集(=縄文時代)されたり発掘されたものであり、他人の手によって発掘されたものは、彼があらかじめ仕込んでおいたものとされています。彼が掘り出して見せたり、埋められていた石器は、自らが事前に別の遺跡の踏査を行って集めた縄文時代の石器が殆どであったとのことです。捏造された「偽遺跡」は宮城県を中心とし、一部北海道や南関東までも。 旧石器時代前期:約200万年から10万年前中期:約10万年から3.5万年前後期:約3.5万年から1.2万年前