晴山雨読ときどき映画

“人生は森の中の一日”
山へ登ったり、本を読んだり映画を観るのは知らない世界を旅しているのと同じよ。
       

BSで映画「ヒマラヤ」を観る

2014年09月24日 | 
8000m以上の14峰をすべて登頂した唯一の登山家となったラインホルト・メスナー。
山を趣味としていながらこの映画を観るまでは知らなかったことが恥ずかしい

1970年に、彼は兄弟でヒマラヤの超難関と云われるナンガ・パルバットのルパール壁の初登攀に挑戦。しかし弟が下山中に遭難死を遂げたために、メスナーの帰国後、弟の遭難をめぐって大きなスキャンダルとなり、遠征隊長ヘルリヒコッファーとの裁判にまで発展し敗訴している。
それを兄ラインホルト・メスナーが自らの著作に基づき映画化した作品だった。

メスナー兄弟が遠征隊に加わり傍若無人な態度で組織を乱す描写などは観ていて辟易するだけに、却って私にはラインホルトが真実を話しているように思えた。チームを組んだ以上、チームワークほど大事なものはないのに、このチーム(遠征隊)は最初からうまくいってなかったように見える。自分勝手なメスナー兄弟と、そんな彼らをよく思わない他のメンバーとの軋轢や功名心。天候不順で出費がかさみ何としても登頂を成功させたい隊長の意地など。
裁判の焦点となった赤の信号弾の真相は?最終の第5キャンプには無線機がないことから、悪天候なら赤、好天気なら青の信号弾をBCから打ち上げることにするのだが・・・。間違って青の入れ物に入っていたことが後に分かった。なぜ彼ら兄弟の翌日に登頂を果たした2人が救助しなかったのか(一人は亡くなり、もう一人は自殺しているのも不可解)。しかもメスナー兄弟の登頂は認められていない・・・。隊長だったヘルリヒコッファーはベースキャンプで指揮を執りながら音信でキャッチしたことを基に登頂記録を作成しているなどなど。

ラインホルト氏は単独行で力を発揮できる大人物なのだ。もともとチームワークを重んずる大遠征隊のメンバーにはおおよそ適さない人物だったから、彼が加わわったこと自体が間違いだったと思う。私でさえ山に登っていてこの人はそうで、あの人は~とだいたい見分けが付く。

彼は見事に1986年に、世界初の8000メートル峰全14座の無酸素登頂という大偉業を成し遂げている!
ラインホルト・メスナー氏の素顔


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2 コメント

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Unknown (宵乃)
2014-09-26 07:53:18
録画していたのを観ました。
なんだか意味がよくわからなかったです。
自分から強引に話を進めていったのが悪いのに、なんで自分は悪くないみたいな感じで話してるのか。

>なぜ彼ら兄弟の翌日に登頂を果たした2人が救助しなかったのか(一人は亡くなり、もう一人は自殺しているのも不可解)

ここはbambooさんでも疑問でしたか。
わたしは登山のことがよくわからないので、彼らができないと言ってるならできないのかなと思ってしまいました。
自殺した事を考えると、危険を冒してでも助けに行くべきだと本人も思っていたのか、それとも誹謗中傷に耐えられなかったのか…。

>彼が加わわったこと自体が間違いだったと思う。

ですよね~。

ところで、10月は秋の音楽映画祭を開催いたします。
「音楽映画」の定義は、
1、ミュージカル
2、音楽を題材にした映画:音楽関係の伝記や歴史劇、ドキュメンタリー、フィクション
3、音楽が有名、もしくは印象に残る映画:「ジョーズ」とか「スタンド・バイ・ミー」とか、ジブリ作品とか
という感じです。
開催期間は2週間後の10月10日~19日なので、よかったら観たい作品を探しておいて下さい。
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嬉しい、宵乃さんも観たのね! (bamboo)
2014-09-26 15:56:15
冒頭の10分を観れず不明な箇所もあり、観終わった後でググって知識を得ました。
実際の裁判結果を知らないと、この映画を理解するのは難しいのではないかな?彼は弟を頂上に置き去りにし、また登頂も果たしていないと当時は叩かれたようです。
山は人の目がなく当人同士しか知らないいわゆる藪の中”そのものです。単独行だったら証拠写真を残しても、後に背景となった山頂の風景がおかしいということで取り消され疑義を申し立てられたという話も聞きます。勿論著名な登山家が競って登るハイレベルな話ですが。よって山岳小説にはミステリー仕立てが多いのよ。

>彼らができないと言ってるならできないのかなと思ってしまいました。

映画「アイガー北壁」で、岩壁途中に一人残されたトニー・クルツを目の前にしながら救助できないシーンは壮絶でした。実話です。

自殺した一人のインタビューを読む限り、メスナー兄弟は自業自得だったようなニュアンスが受け取れました。主な人たちの中でラインホルトのみが生き残っていて、真相はまさに『藪の中』なのかも・・・。
実際、野口健さんの講演会などを聴くと、神々の頂では想像以上のことが行われているようです。エベレストベースキャンプ地で酸素ボンベが盗まれるのですから!。山は傍で云われるほど美しいものだけではなく、そこには人間社会の縮図があって欲望が渦巻いていても不思議ではないと思っています。遠征隊を組むと莫大なお金が動きますからね。

10月は秋の音楽映画祭!
私の誕生日も期間中に含まれているようで楽しみです。
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